2006.11.24, Fri
DVD作品の試聴期間中、
タムくんに関わりのある人たちからいただいた、
タムくんへのメッセージを紹介させていただきます。
トップバッターは、タムくんも連載中の
コミック雑誌『月刊IKKI』編集長の江上さんです。

タムくんの描く漫画に関して(映像作品も含めて)、
僕が最も強く感じるのは「自由」の2文字です。

僕が担当しているIKKIという漫画雑誌も
「コミックは未だ黎明期である!
(つまり、まだまだ新しい漫画は生まれるはず!)」
などと偉そうに標榜してますが、
実際に“新しい漫画”を生み出すのは、
そんなに簡単なことではないです。

次は野球漫画にしようか、恋愛漫画にしようか、
などと思った瞬間、
作家も編集者も過去の漫画の呪縛に囚われます。
逆に、今までにないモノを作ってやるぞ! と思っても、
それはそれで同じ呪縛に裏側から囚われてるだけです。

新しい表現は、真の意味で「自由」な精神からしか
生まれてきません。

そして、タムくんの作品には、
その「自由」を感じるのです。

ジャンルに括れない不思議な世界観、
ドラマ的に唐突とも言える展開、
漫画文法的にあり得ない描写
‥‥そこには、僕たちが日頃
“当たり前すぎて、囚われていることすら忘れている”
様々な約束事から解放された、
見たこともないような「自由な表現」が溢れているのです。

でも、見たことがないような表現なのに、
一方で、見た瞬間、誰もが心を揺さぶられてしまう。
近過ぎて、
ピンぼけになってしまった内なる感情たちに、
その自由自在な表現でもって、
タムくんはいとも簡単に
フォーカスを当てることができる。
「ほらっ、ここにあるよ!」って。

タムくん、キミは漫画界の「コロンブスの卵」だ!!

‥‥と、それこそ古くさい表現で恐縮ですが、
南の国から来た、このチャーミングな青年により、
僕は改めて「漫画の黎明期」を確信することができました。


IKKI連載中の「ブランコ」。
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© wisut ponnimit / HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN