TBS徳川埋蔵金ライブに向けて。
ヘルメットをかぶった
経済番組をご一緒に。

第3回 スタッフの話


どうも、木村です。
埋蔵金関連、盛り上がって参りました。へっへっへ。
きいてる俺が一番得なんだ、おもしろくって。

前回につづいて、
関係者インタビューをお送りします。
ロマンを語ってくれた堀さんに加え、
一回目発掘から参加している
ディレクターの恩田さん、そして
放送作家の藤岡さんを交えて話をきいてみました。

あ、会話の前に、ちょっと前のぼくみたいに
徳川埋蔵金関連についてあまり知らなかった、
という人のための説明があります。
この徳川埋蔵金プロジェクトは最初、
超能力バラエティとしてスタートしてたのです。
二人の外国人が超能力で埋蔵金のある場所を指定、
そんで、みんなで現場行って掘る
(まあ言ってみれば、かなりの力技番組だったわけ)。
だけど、それが三回目になると、
不思議な穴がばしばし出てくるなどする。
そうなってくると番組の路線が変更するんっすね。
世界初の本格的土木番組と同時に
堂々たる「黄金スペクタクルロマン」として
今に至るのですが、ここのへんについては
またあとできちんと特集することにします。
それでは、三人の語りをどうぞ。

恩田 何となく続けていくうちに、おもしろくなったね。
最初からシリーズにするつもりはなかったんですよ。
まあ超能力ではじまって、糸井さんもそういうの好きだし、
宝探しで、それに糸井さんの地元の群馬で、
だからはじめは遊び半分だったんだよね。
一回目は穴掘って探すというよりは謎解きの部分で
わいわいがやがややってて、
まああやうく出たらいいな、って。
でも、そうやって最初に井戸の跡を探してたのに
井戸さえ見つからないっていうとね、
納得いかない、で超能力はもういいやっていう、
執念に満ちたものまであって。それで掘っていくと 
天然の層じゃなところが出てくる。
ということは前に人が掘ったということなんです。
僕らも最初は素人でして、
はじめのほうは土建屋にも頼まないで、
こう、ほんとに素人仕事だったんですよ。
ちっちゃいユンボ(掘る機械)をリースで借りて、
免許持ってる人に掘ってもらったんですけど、
でもやっぱり掘り方がまずくて
落盤になったんですよ。
まあ幸い事故にはならなかったんですけど、
折角掘った穴が全部埋まっちゃった、
というところで二回目の発掘は終わっちゃった。
そういうことで労働監督基準所にえらい怒られてね。
今度やるときはヘルメットをかぶる、
しかもあごひもを締めなくちゃなんない、
きちんと法律に沿うようにっていうことで、
土建屋頼んだんですよ。そこで深く掘れば掘るほど
穴が出てきたり茶碗が出てきたり、
いろんなものが出てきたりしたんで、
それでもうああいう状況になっちゃった。
シリーズといえるのはこの三回目以降ですね。

このシリーズはいちおう四、五年前に終わって、
ぼくもあれで終わりだって思ってたから、
いろんな人に「次は?」って聞かれても、
いや、あれは終わったよといってたんですけどね。
やっぱり手紙おくってくれる番組好きな人もいて、
いろんな人が情報を送ってきてくれるんですよ。
手紙とか送ってくれる人もいたりして、
それが奇妙に現場でのうわさと重なるんですよ、
そういうのがあわさって、
変な話だけど「番組としてできる」
っていう気持ちになったんですね。
「番組としてできる」っていうことは、
ひょっとしたらあるかもしれないってことになんでね。
現場で一番そういう話の多いのが
今回狙っている長井小川田ってところなんですよ。
前回までは水野家に集中してたから
そっちの話を見てなかったんですけど
(「水野家」などの専門用語に関しては
後日まとめて予習篇として取り上げます)、
そっちの人たち、ぼくらが掘ってる時から
「あんなとこ掘ってちゃだめだよ、こっちだよ」
っていってたみたいなんですよ。それに、
視聴者からの手紙にも長井小川田って書いてあるんですよ。
長い間「何だこのいんちきくさい古文書は」
って放っておいたんだけどね。
で、調べてみたら、
いろんな人が大々的に掘ってたんですよ。
だからそっちの線もあるかな? って。

大変だったのは、どうやって終わらせたらいいかな?
って考えるときですね。
はじめの超能力の頃は、どうやって番組を
終わらせようかっていうことを考えてたんですよ、
テレビって放送日が決まってるじゃない?
だけどぎりぎりまで掘ってる、だから、
どうやって収拾つけるか、が大きかったんです。
だけど三回目からは、掘っても掘っても
そのあとまた何かがあるっていう感じだから、
ある程度放送のリミットまでやったら
あとは次の回がある、って思って
多少は気が楽になりましたけどね。

現場は楽しかったですよ、やってる最中は楽しい。
まあ煮詰まる時っていうのは、あるよね。
ずっとやってると、煮詰まることは、あるし。
でもだいたい番組作るっていうよりは、
子どもの泥んこ遊びじゃないけど、楽しいじゃないですか。
みんな、自分が一番はじめに見つけるんだっていうのが
密かにあったんだ(笑)。

現場にいるのはぜんぶで35人くらい。
夏はいいんですよ、問題は冬だよな。寒いんだ。
藤岡 しばれんだ、赤城は。
恩田 夏は糸井さんも「熱闘甲子園だ」
なんて言ってたくらいで、暑いけど楽しかったんですよ。
藤岡 穴の中入るとちょっと涼しいしね。
恩田 あとね、「どうやって終わらせる」って話でいうと、
掘ってたら石垣が出た回があったんですよ。
「これはもう絶対この石どけたらあるな」って。
その日ってロケ初日だったんですよ。
あらかじめ掘り進めておいたあとにロケしたんですけど、
それでぼく、「明日にしよう」って言った。
早すぎると思って。それでホテルに帰って考えたんですよ。
どうしよう、もし明日出たら、二時間半の番組のなかで
ずうっとえんえん二時間金を運んでいるのを作るのは
つらいな、って。僕その時本気で考えてたの(笑)。
だからその翌日厄払いのお祈りしてもらって(笑)。
恩田 まあ別にお祈りしてもらわなくてもいいのに、
やってもらったんですね(笑)、いろいろ考えたんですよ、
お祈りだろ?他にあれだろ?とかいって。
まあ石ぜんぶどけても何もなかったんですけど。
藤岡 その、石どけた後っていうのは、まあ悪あがきだったね。
あの回ははっきり言やあ石どけて終わってたんだよ(笑)。
でも一応ヘリコプター使って
衛星でボーリングしたりして(笑)。
でもおもしろいんですよね、そういうのが。
視聴者の人も「こっちじゃないか?」って
行ってないのにいろいろ推測してくるんですよ。
「あそこをもう一回調べろ」って。それで、
「あの穴はダミーでその10メートル先に
ほんとのがあるんだ」って話になってくるから、
全部やってたら終わらないんですよね(笑)。

個人的に言わせてもらえば、やっぱり
可能性のあるところは全部掘っていきたいよね。
今回出ればいいんですけど、
出なければ他にもいろいろ噂はあるんで、
だったら、やれるなら
毎年紅白の裏で掘りたいっていうのはあるんでね。
10年くらいやったりしてさあ。
年末恒例で「第11回、今年も駄目でした」(笑)。
除夜の鐘、108回(笑)。
藤岡 108回やると煩悩が消える、ははは。
徳川埋蔵金108か所(笑)。
できれば言われてるところはぜんぶ掘ってみたい。
でもみんな、掘れないところ言うんだよ。
どっかの寺の下とか。
例えば、徳川埋蔵金じゃないんだけど、家康の財産が
東照宮の鶴と亀の像の下に埋められてるとか言うけど、
掘れないんだよ絶対。
でも最後はこういうとこまで掘りたいよね(笑)。
恩田 世界遺産になっちゃったから。
世界遺産の下を掘るために
国からちゃんと資格をもらう、とか。
藤岡 えんえんずっと掘ってて文化勲章とかもらったら
国から認められるんだよ(断言)。
30年、30箇所くらい掘って、
それで認められたらOK。
糸井さんが発掘者として紫綬褒章でももらった暁には
そういうとこを掘る、それが夢ですね。

はははは、この人たち、すごいよ。
格好いいです。弟子入りしたいです。
この喋りはまだ続くのだった。

(つづく)

1999-12-04-SAT

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