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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第759回

ほぼ日編集部様

4月2日のニュースから

今日は気になった人の、幾つかの言葉を紹介しておこう。
まずは朝日新聞の7面、
国際面の「地球24時」という囲み記事の中にあった、
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の
労働党機関紙・労働新聞の1日付けの論説から。

「朝鮮のない地球などあり得ず、
 敵が核攻撃を仕掛けてくるなら
 地球を壊すというのが、
 わが軍隊と人民の決死の意志だ」


北朝鮮はいつもラジオやテレビの語り口が
こういう大言壮語ふうなので
今回もそういうもんだと誰しも思うから
それほどの大ニュースにはならんとでしょうが、
まあ、しかし、この言葉よーく噛みしめてみると、
なかなかすごみのある言葉ですばい。
死なばもろとも、というより、
死ぬなら地球全部壊しちゃるけんねえ。
やるならやりんさい。ま、こういうことですかね。
とてもこんな国とはまともにゃやっとれませんばい。
ばってん、こげな国でん、
拉致問題やら何とか相手にして
行かにゃいかんとでしょうたいねえ。
こりゃ、まあ、やおいきませんばい。
何だか急に筑後弁がぞろぞろと出てきました。
なーしてやろうか。

次はやはり朝日新聞の7面に3段見出しで

「マレーシア首相『自爆攻撃もテロ』 
 各国の非難集中  OIC会合足並み乱れ」


これは1日からマレーシアの
クアラルンプールで開かれている、
世界56カ国・機構による
イスラム諸国会議機構(OIC)の会議の席上で、
マレーシアのマハティール首相がこう発言したという。
「自由の戦士とテロリストは別だ。
 民間人への攻撃はテロと見なさなくてはならない」
そして、テロの例として、
米国での同時多発テロや
スリランカのタミル・イーラム解放の
トラ(LTTE)の武装闘争に加え、
イスラエルの攻撃とパレスチナの自爆を列挙したという。
イスラム国家の首相としては
こういう情勢下でよくもこういうことを言ったなあ・・・
と思いながら記事を読むと会場からは
一斉に厳しい反論が噴出したそうだ。
「まずイスラエルによる国家テロがあり、
 (パレスチナ人の自爆は)
 テロとされるべきではない」
 (PLO・カドウミ政治局長)
「聖地のために戦うパレスチナ人はテロリストではない」(カタールのハマド外相)

イスラエルの武力攻撃とパレスチナの自爆。
これは現在どちらに立つかで
見解が180度に分れる問題だ。
私はこれまでかなり中東の取材をしているので
パレスチナの問題は
普通の日本人よりはかなり知っているつもりだ。
でも最近の相次ぐ自爆と戦車部隊攻撃との
イタチごっこには正直どうすればいいのか分りません。
どちらの気持ちも分るというのは変でしょうか?
どちらの言い分もそれなりに
歴史的な背景を持っていてそうだよなあ、
と思わせる部分があるんです。
私が言えるのは双方とも
にこういう武力の衝突をしていても
何も解決はあり得ないということです。

さてこちらは毎日新聞の7面、国際面のベタ記事だ。

「エジプトの最高聖職者『自爆は最高の殉教』」

記事によると、エジプト最高位の
イスラム聖職者アフメド・アッタイーブ師は1日、
パレスチナのユダヤ人入植地での自爆テロは
「最も高度な殉教行為の一つ」
という見解を発表したそうだ。
このニュースはもともとエジプトの
アルアハラム紙が伝えたもので、
これを読んだ現地のロイター通信の記者が
こんな人がこんなことを言っちょるばい、と配信。
それをエジプトに駐在する共同通信の記者が見て
日本に送ってきた。
それを日本で配信。
毎日がそれを載っけたという、
まことにややこしいリレーでの記事だ。
まあ、それにしてもこういうことを偉い人が言うと、
次々に出てきますよねえ、自爆テロ志願者が。
こんなんでいいのかなあ・・・・・
と、私が言うと、
パレスチナ側に立った人からは
またものすごい剣幕の反論が来るんでしょうが。
自爆という行為に私は胸が痛みます。
こんなことはなければいいと思います。
でも・・・・と言うでしょうね。

さて次の言葉を聞いて下さい。
これは3月30日の毎日新聞の国際面に載った
パレスチナ関連の記事に付けられた談話です。
及川博一・杏林大学教授(現代中東史)の話

「イスラエルの大規模報復を、
 イスラエル国民の3分の2近くが
 支持しているのではないか。
 和平路線を望んでいた国民さえ、
 シャロン政権への支持に傾いているだろう。
 なぜなら、今月(3月)に入って
 激しくなっていたパレスチナの自爆テロに、
 イスラエルの市民達は
 脅威と不安にさらされているに違いないからだ。
 どこでテロに遭うかもしれないという
 神経質な生活を強いられており、
 大半の人が『報復は当然』
 という意識になっているだろう。
 シャロン政権内もこれまでになくまとまっている。
 どうすれば事態が鎮静化するのか全く分らない状況だ」
 
及川さんは永くイスラエルに住み、
パレスチナの問題を実体験で最もよく知る人だと思う。
その人が
「どうすればいいのか全く分らない」
と言う。
どっちが正しいとかの判断の問題ではなく、
事実の問題として
イスラエルの国民はこういう意識でいる。
そのことを私たちは少なくとも知る必要があると思って、
敢えてここに及川さんの言葉を紹介したわけです。
イスラエルーパレスチナ問題を
日本人ですぱっと斬って発言する人がいますが、
私にはとてもそういう気にはなりませんですばい。

というところでお休みです。
明日は大阪へ1泊で行ってきます。
知人の頼みで大学の入学式で
1時間ばかりの講演をしてきます。

2002-04-03-WED

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