TORIGOE
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鳥越俊太郎の「あのくさ こればい!」

第217回

ほぼ日編集部様

8月15日のニュースから

55年前のこの日のことは鮮明に覚えています。
といってもずーっと繋がっているシーンではなく、
ある部分的な光景です。
瞼の裏に残る、とよく言いますがまさにその通り。
福岡県筑後平野のどんづまり、吉井町の一角、
私の家の本家の前にあった竹やぶで
昼前からちゃんばらごっこをしていました。
木剣をもって従兄弟や弟達と
竹やぶの中を走り回っていたことは
とぎれとぎれで記憶にあるので、
間違いなくちゃんばらごっこをしていたのでしょう。
そして、暑かった。
やたら汗をかいていた。これも断片的に覚えている。

ここでシーンは一回終わり、次のシーンは本家の内部。
広い土間があって、
そこにはながーい板張りの上がりがまちがあって、
その一段上は10畳敷ぐらいの畳の部屋があった。
そこで大人たちが下を向いて泣いているシーン。
何だか異様な感じだったのは覚えているが、
それが終戦のいわゆる玉音放送だったと知るのは、
ずーっと後のことだ。
15日の光景の記憶はこれ以上はない。
暑かった、大人が泣いていた。
この二つが私の8月15日の記憶だ。

空襲警報で幼稚園から逃げて帰る途中、
上空を米機が通過、大人がするのをまねて
道の横の小川に飛び込んで伏せていたことや、
空襲警報のサイレンの音、
いつも首に巻いていた防空ずきんの感触、
家の土間に掘ってあった防空ごうの中に入るのが
怖かったという思い・・・
これはきっと今の閉所恐怖症にも
つながっているんでしょうが・・・
55年が、あれから経ってしまったのか。
オレの人生って一体何なんだ?
あまりの軽さに言うべき言葉もない。
そんな感慨を抱きながらこれから仕事に出かけます。

また夜に続けます。

今12時半すぎ、帰宅後またPCに向かっている。
新聞に何か出ていないかなと見ていたら、
スポニチの見出しが気になった。

「豪の千葉すず サリバン逆転五輪」

これって何の記事だと思います?
ええっ、と思いますよね。
私もええっ、で立ち止まりました。
記事を読むと、例のスポーツ仲裁裁判所(CAS)が
オーストラリアの女子柔道選手からの訴えに対し、
オーストラリア柔道連盟の決定を覆し
この選手を五輪代表とする決定を出したというもの。

この選手はオーストラリアの国内チャンピオンだったが、
連盟は別の選手を代表に選出したらしい。
そこでこの選手がCAS に訴え
その主張が入れられたということのようだ。
日本の千葉選手は
同じように国内チャンピオンでありながら、
五輪代表にはなれず、CASに訴えたものの、
主張は入れられず、シドニーには行けないようになった。
そうか、こういう例もあるのか、と
ちょっとした驚きでした。
それにしても「豪の千葉すず」とはおそれいったなあ。
スポーツ紙の見出しは何でもありで、
読者の目をぱっと引けばいいということらしい。

朝日新聞もこのニュースをスポーツ面で取り上げているが、
こちらの見出しは

「CAS裁定で豪代表の座に 女子柔道選手」


さすが朝日、地味だけど正統派の見出しだよね。
で、朝日の記事を読む。
あれれ、ちょっと違うぞ。
この逆転で五輪代表の座を勝ち取った選手は
女子52キロ級で世界9位の実績を持つ
レベッカ・サリバン選手(27)。
今年3月のオセアニア選手権で同じオーストラリアの
アンジェラ・ラグス選手に敗れて
代表の座を奪われたという。
しかし、その以前には10回連続で勝っていることや、
オセアニア選手権が五輪選考会になったのは
選手権大会が終わった後に決められたことなどから
サリバン選手が不服を申し立て、
それが認められたということだという。
なるほど、これが五輪代表を決める選考会だよと
事前に言ってなかったことが
CASによって不公平だと認定されたようだ。

するとなんだい?これって、千葉選手のケースと
よく似てるじゃないか。
日本水連は選考会のまえに
女子は去年の国際レベルで8位以内でないとダメ、
なんて一言も言っていなかったんだから、
このオーストラリアのケースのように
千葉選手の言い分を認めてもいいわけなんだけど、
日本では違う判断と結果になってしまった。
このCASなんてのもかなりいい加減なんだなあ、と
思った次第です。

そんなところで、夜も更けたし、おやすみ。
また明日・・・・・

2000-08-16-WED

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