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ほぼ日事件簿・こんなことでした

夏休みといえば渋滞です。
とっておきの渋滞対策、お教えします!


‥‥テケテンテンテン♪‥‥。
え〜、本日はお運びいただきまして、
まことにありがとうございます。
ほぼ日亭永田と申します。
しばらくのおつき合いをいただくことになります。
毎日暑い日が続きますが、
夏ってぇとあれですな、
最近は異常気象なんてぇことを申しまして、
なんでも観測史上最高温度を記録したりしているようですな。
先日も、うちの女房がどっかで聞きかじったらしくてね。
「あんたあんた、どうも今年は暑いと思ったらね、
 なんだか、南のほうの海でさ、
 なんとかいう現象が起こってるらしいよ」
なんてぇことを言いますもんで、
「なんとか現象じゃわからないよ」って言いますと、
「えぇと、なんつったかね、ほらあれだよ、
 ああ、そうだ、ペタジーニ現象」
そんな助っ人外人みたいな現象があるもんかって
言いましたら、今度は、
「エマニエル現象?」
おいおいずいぶんアダルトだねって言いましたら、
「あっ、わかった、トッポジージョ現象!」
なんだかわかりゃしません。
とぼけたネズミのキャラクターだってことも、
若い人にはわかりゃしません。

‥‥そんなような枕を冒頭につづってしまうほど、
ほぼ日では最近、落語が流行っております。
あらためまして、永田です。
本日は、ちょっとおすすめしたいことがあり、
こうして世迷い言交じりでくっちゃべっております。
お運びいただきましてまことにありがとうございます。

え〜、話が錯綜するまえに
そろりそろりと本題に向かいますが、
最近、しょっちゅう「落語CD」を聴いている僕が、
「これはいいな」と思っていることがありまして。
これをひとつ、みなさまにお知らせしようかなと。
なにかというと「落語CDはいいよ」ってことなんです。
ああ、帰っちゃいけません、お客さん。
これからおもしろくなるんだから。

じつは、最近、取材なんかをとおして、
ずいぶんと落語に接する機会がありましてね。
いろんな人から「落語CD」をおすすめされました。

「あ〜、ちょいと、ナガタ」
「なんでえイトイ」
「‥‥目上のものをそうやって
 呼び捨てにするもんじゃありませんよ。
 おまいさんね、落語CDってものを知ってるかい」
「いえ、存じません」
「知らないかね」
「へえ。落語CDだけは聴くなってのが
 おじいちゃんの遺言でして」
「ウソ言っちゃいけないよ」
「その〜、落語CDってのは、
 いったいどういうもんなんですか」
「うん。落語CDってのはね、
 落語を録音したCDなんだけどもね」
「へぇ〜、じゃ、なんですかぃ?
 落語CDってのは、
 落語を録音したCDなんですか?」
「だからそう言ってんじゃないか。
 バカだねえ、こいつは。
 ここに何枚かあるからね、
 おもしろ勉強だと思って聴いてごらんなさい」
「ああ、そうですか。
 こりゃどうもありがとうございます。
 じゃ、ごめんなすって!」
「おいおい、落語CDを忘れてるよ!
 あ、行っちまった。バカだねえあいつは‥‥」

そんなこんなありまして、
「落語CD」を何枚か借りたり買ったりしたわけなんです。
個人的に、寄席には何度か行ったこともあるんですが、
「落語を録音したものを聴く」っていうことのよさは
まったくもって知らなかったんですな。
ま、もちろん、存在は知っていたんですけどね、
なんてぇか、こう、ひと言でいっちまうと、
いつどこで聴けばいいかわからないんですな。
原稿書いたりしながらヘッドホンで聴くと、
どうしてもそっちに気をとられちまって具合が悪いし、
かといって自宅のステレオで再生して
音楽鑑賞よろしく姿勢を正して聴くなんてぇのも
どうにも照れくさい感じがする。
うちの職場のアロハ・トミタなんて人間は、
iPodみたいな機械に落語を入れて
通勤中に聴こうとしたらしいんですけど、
これはこれで、なかなかいいみたいなんだけども、
あんまりおもしろいところへ差しかかるってぇと、
笑いをこらえなきゃなんないから
たいへんらしいんですな。

さあ、そこで、ですよ。
いろいろ試してみた結果、
最近、ついに発見しましてな。
それは、カーステで落語を聴くと、
ひじょうに都合がよろしいってことで。

なんせ、車中に過ごす時間がまったく苦にならなくなります。
ゲラゲラ笑っても誰も見ちゃいませんしな。
おまけに、のんびり聴いてると
無闇に先を急ぐ気持ちが薄くなるもんで、
自然に安全運転になるんですな。

こらどうも、たのしいね、発見だね、
なんていうふうにニコニコいたしましてね、
この夏はちょいと親戚のところにクルマで行くもんで、
渋滞対策はこれで決まりだってぇことで、
いそいそいろんな「落語CD」を集めておったんです。

なんせもう、盆休みの渋滞ってぇのは、
絶対に避けられないもんですからね。
小田原厚木道路から真鶴道路に入るあたりなんてぇのは、
もう、ほんとに数珠繋ぎもいいところで、
数珠だってもうちょっと動くだろうよってくらい動かない。
去年の夏なんか、炎天下のなか
あまりにも動かないもんだから、
アッタマにきちまって、
クルマを降りてボンネットにタマゴを落として、
そこでジュージュー目玉焼きをつくりましてね。
きっちり食べ終わってデザートまで食べて
白ワインで乾杯してのんびりしてましたら、
ようやく動き出しましたもんで、
「いまだ」と思って乗り込んでエンジンかけたら、
白バイがやってきて飲酒運転でつかまっちまった。
まいったね、こらどうも。
ああ、帰っちゃいけないお客さん。

ともかくね、この夏は「落語CD」でばっちりですわ、
なんてことをほうぼうに吹聴しておりましたら、
どこで聞きつけたか、いろんなやつらが、
「おう、そらぁどうも、よさそうだから、
 オレにも何枚か見つくろってくんな」
なんてことを口々に言うもんでね、
いちいち教えてると面倒くさくてたまんないから、
いっそこうしてページにしちまって、
全国のみなさんにもお知らせしちまおうと、
ま、そんなところなんですわ。

かといって、あたしも、それほど、
落語に詳しいわけじゃありませんからね。
師匠筋にあたるイトイなんかに
いろいろおすすめを教えてもらったわけです。

だもんですから、この夏、
「どうやってもここは渋滞するなあ」
なんてところに出かける予定のある方は、
どうぞ「落語CD」を試してみてください。
友だちどうしでドライブするときなんかにも、
1枚持ってくと喜ばれると思いますよ。
あ、でも、みんなでドライブするときは、
必ず女性をひとり乗せるようにしてくださいね。
どうして?
男ばっかりだと「タマつき」になる。
‥‥テケテンテンテン♪‥‥。

「ほぼ日」おすすめ落語CD
立川志の輔『志の輔らくごのごらく 1 』
「はんどたおる」「死神」
春風亭昇太『ぞろぞろ』
「ぞろぞろ」「つる」「力士の春」
桂文楽『NHK落語名人選 寝床/素人鰻』
「寝床」「素人鰻」
古今亭志ん朝『志ん朝 1』
「明烏」「船徳」
桂米朝『特選!!米朝落語全集 第六集』
「百年目」「焼き塩」
古今亭志ん生『NHK落語名人選 粗忽長屋/芝浜』
「粗忽長屋」「芝浜」
柳家小さん『青菜/将棋の殿様』
「青菜」「将棋の殿様」
三遊亭円生『圓生特選ライブ』
「百川」「小言幸兵衛」

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2004-08-06-FRI

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