1101
ほぼ日事件簿・こんなことでした

第7回(4月8日・土曜日の暮らし)
巨人軍選手サロン・カリスマの宴


マーケティング局でdarlingが書いた
「とうとう上原選手に渡したぜ」
を、同行者のぼく木村は事件として描写いたします。
つまり、半ば軍(*業界用語・巨人軍)関係者である
darlingとぼくとでは、豪華さのショックが違うからです。

--------------------------------------------------

4月8日。花まつり。ブッダ生誕日(なんまんだぶ)。
よく晴れた東京ドームに、おずおずと車で乗りつけた。
たこ焼き屋、場外馬券売場、講道館のマーク、
なぜか同時開催のコスプレフェスティバル・・・
欲望と倒錯と力がぶつかりあう喧騒のなかで、
ぼくたちだけが、やけに静かに歩いていたんだ。

そう、darlingとぼく木村は、むしろ無口だった。
意味なく道をゆずりあうほどの、謙虚な俺ら。
緊張だ。すべてが、緊張のなせるわざだった。

一時は後楽園でやる巨人の試合を
ほとんどすべて観戦していたdarling。
一時は「杉並イーグルス」に
7番センターとして在籍の、もと野球少年・木村。
「読売巨人軍」・・・
この5文字の重み、原辰徳の肩の小刻みな動き、
俺たちは今も、忘れちゃいないんだ(俺は誰だ?)。

関係者入り口で受け取った通行許可証も、
「報道関係者」というつかの間の鎧に過ぎない。
監督が談話を生み出す独特の小路を抜け、
栄光と挫折のしみついたロッカーを眺めながら、
黙した二人は、プレイヤーズカフェに入ってゆく。

そこから展開された映像は、もはや、所謂、
カリスマのインフレとしか表現しえないだろう。
もと野球少年・木村の眼にまず映ったものは・・・?

短パン姿でうろつく仁志敏久であった。
「おい!いきなり仁志じゃん!」
という心の叫びを噛み殺したものの、
横で清水は「いや、**っすよっ」と談笑しているし、
マフィア俳優のようなガルベスが
ジュースを飲みに来ているし、
何気なく登場する江藤、ニコニコしてるマルちゃん、
原コーチ、篠塚コーチ、川相さん、長嶋監督も。

何じゃこりゃー!!!!
おいおい、近いよ!
俺が椅子どけて、その横を通ってもらうくらいだよ!
ってゆーか、俺、すっげー動きが硬いよ!
コーヒー、飲めてねえよ!

まだ、カリスマは、終わらない。
キャッチャーの村田さんが
「お!イトイさん!久しぶりですね!」
と、これまた何気なく登場する。



桑田ファンの木村にとって、村田さんは特別なひとだ。
工藤さんに、高橋くんまで!ぞろぞろぞろぞろ!!!!




べいべー、見てくれ、この豪華さを

やべえぜ、もうてんぱってる。
その時、入り口に、
長身な1筋の影、いやむしろ風が。

「19」(じゃーん)

「UEHARA」(ばしーっ)




うしろ姿であろうとも、見誤ろうはずもない。
来たぜ、上原。
配るぜ、紙袋。

 








あとのことは、あまり覚えていない。
ただひたすら上原さんを眺めていた。
俺より1歳上なのに、ほとばしる若さ。
むしろかわいいとすら思った。ごめんなさい。
その後マウンドに立った上原さんを見るにつけても、
あのオーラはただもんじゃねえなと思いなおしたっす。

その夜は、darlingもぼくも、
上原さんと石井投手との勝負に、酔いしれました。
9回裏。座りこむ石井、古田とのアイコンタクト、
横でサヨナラ寸前で投球練習をしている上原投手。
すべて最高レベルでの会話が、そこにはあった。
ありゃー、すごかったですばい。
ありがとう、上原さん。
完投勝利、おめでとうございました。


・・・それにしても、独占取材みたいなもんだし、
写真は気にせず撮れるし、報道陣もいなかったし、
いやー、インターネットって、いいもんですねえ。

--------------------------------------------

「ほぼ日マーケ」「ほぼ日事件簿」
今回はこのように両面展開でお届けいたしました。
もう、時代は、ワンソースでマルチなユーズっす。
(あ、また、ききかじりを言っちゃった)

2000-04-11-TUE

TORIGOOE
戻る