ほぼ日手帳成功物語。
ある意味で世界一の手帳をつくるバカたち。

 

第六回 夜のミーティング〜その1

ほぼにちわ。あややです。
前回、このページで
「ほぼ日手帳」の完成予想図を掲載いたしましたが、
「タブがいいですねっ!!」とか
「欲しくなった〜〜!!わーい!」
なんていうメールをたくさんいただきました。
ありがとうございます!
ホッとしております。
実は編集部一同ちょっとドキドキしていたんですよ。
でもこの間お見せしたものは
あくまでも“予想図”ですからね。
そこからさらに進化しています。
またまたそちらも近々ページでお見せしますので
楽しみにしていてください。
フフフフフッ(自信の笑い)。

さてさて、いままでは
手帳のカバーのお話ばかりしておりましたが、
それとほぼ同時進行で“中身”のことも
ちゃーんと進んでいました。
「ちょっとー、中身はだいじょうぶなんでしょうねー」
とご心配されているみなさま、お待たせいたしましたっ。
本日はその“中身”が決まっていく過程のお話をしまっす。
とにかく、ほんとに細かいところまで
ぜーんぶ話し合って決めたんです!

●夜のミーティングはじまりはじまり〜

内容を決めるミーティングは、
いつものように鼠穴3Fのソファのある部屋で
行われました。
この日のミーティングは
「ほぼ日手帳」の“運命”を決めると言っても過言ではない
大事な、大事なミーティング。
だって、ここで「ほぼ日手帳」の内容が
ほぼ決定することになっていたんですもの。
なので、全員がちゃんと揃っている日にしよう、
ということになっていたのです。
そんな事情で、darlingはじめ鼠穴のみんなが
各自の仕事を一通り終わったあとの
午後8時から開始することなりました。
以前、このページで、わたくし、
「会議の流れは最初の発言で決まる」
ともうしましたが、
この日、また新たなことがわかりました。

「会議の流れは時間帯が多分に影響を及ぼす」

なんせ、夜のミーティングだったもので、
もうはじまったときから
いわゆる“2次会”“深夜のラジオ”のノリで
みんな超ハイテンションで、
ボケるボケるツッコむツッコむ!
慣れない進行役をやっていたわたくし(あやや)は
もうどうやって収拾をつけたらいいのかお手上げ状態。
半ば野放し状態で、事は進んでいったのです。


●1日1ページは書く欄が欲しい!

ミーティングがはじまる前に
あらかじめ決まっていたことがありました。
それは1月〜12月までの見開きのカレンダーと
1日ごとに1ページずつ用意する、ということでした。
手帳の根幹も根幹のカレンダー部分。
読者のみなさんに答えていただいたアンケートを
読んでいても、
このカレンダー部分の使い易さを求めて、
全国の手帳ユーザーのみなさまは毎年、
“理想の手帳”を求めているのがよくわかりました。

ほぼ日内でコアな手帳ユーザーといえば、
木工用ボンドガールとロック西本と
そして通天閣あかりの3人です。

  

ミーティングの前にこの3人から
手帳の使い心地についての話を聞いていたのですが、
3人とも共通していたことは、

「スケジュールが書き込みやすいこと」

これは、「ほぼ日手帳」を作るにあたっての
私たちの最初の動機、“24時間手帳が欲しい!”
ということにも通じます。
その24時間のスケジュールを
たっぷり余裕を持って書き込めるということを
考えたときに、やっぱり
「1日1ページは書く欄が欲しい!!」んですよね。
1日1ページっていうと、
一般的な文庫本のページ数とほぼ同じです。
厚さ的にはさほどかさばりません。
ということで、
カレンダーの仕様は、
“各月の見開きカレンダー+1日1ページ”
というところまでは
この日のミーティングが始まる前に決まっていました。
そのことをふまえて、ミーティングがはじまりました。


●仕事に生きるか、遊びに生きるか、それって重要じゃん!

前置きが長くなりましたが、
このミーティングで、
まず最初に決めなければいけなかったことは
見開きのカレンダーを
「日曜日はじまりにするか?
 それとも月曜日はじまりにするか?」
ということでした。
普通に私たちが小さいときからずっと見慣れているのは
日曜日はじまりのカレンダーです。
ちなみに、最近の、特に手帳の中についているカレンダーは
月曜日はじまりのものが多くなっています。
わたくし(あやや)は
すぐ“ハヤリ”の方に行ってしまうクセがありまして、
「とくに問題がなければ月曜日はじまりでいいですかー?」
なーんて言いかけたそのとき、darlingが
「月曜日にはじまるカレンダーって
 “仕事に生きよう”みたいな感じがして
 ちょっとイヤじゃない?」
さらに木工用ボンドガールも
「私もカレンダーは絶対日曜はじまり派。
 日曜日からじゃないと調子狂っちゃうんだよねー」
さらに、ロック西本
「じゃあ、休みを充実させるという意味を込めて
 土曜日はじまりにするとか」
それに対しdarlingも、
「じゃあいっそのこと“金曜の夜はじまり”にするか」
そこまでお休み中心にしなくていいですってば!!

でも、たしかに、今回の「ほぼ日手帳」は
自分たちも含めて、仕事以外の、休みの時間とか、
自由な時間を充実させて欲しいなあということがあって、
書き込める欄を多くすることにしていたんですよね〜。
だったら月曜日はじまりのカレンダーって
なんだかちょっと気持ちが窮屈になっちゃうのは
わかるような気がします。

それに「日曜日はじまりがいい」という
もう1つの根拠をdarlingが続けます。

「カレンダーが日曜日はじまりになっていても、
 週のはじまりが月曜日だという感覚は変わらないけど、
 月曜日始まりにすると、
 月曜日を日曜日と錯覚する人もいるじゃない。
 だったらはじめから
 日曜日はじまりにすればいいんじゃないのかなあ」

たしかに日曜日はじまりのカレンダーに
目が慣れきってしまって、
月曜日からはじまっているカレンダーを見ると、
瞬間的に日曜日と錯覚してしまうことってありますよね。
そういうことを考えても
日曜日はじまりでやっぱり決まりでしょう!!


●表記は日本語にする? それとも英語にする?

次の議題は、日にちや曜日の表記をどうするか、
ということです。
たとえば、
“SUNDAY MONDAY・・・・”
と英語表記にするか、はたまた
“日曜日、月曜日・・・・”
というふうに日本語表記にするか。
今回の「ほぼ日手帳」は
カレンダーのところからまったくのオリジナルです。
ですので、本当に初歩の初歩のところからすべてを
自分たちで決めていったんです。
それにしても今宵のdarlingは
あくまでも積極的にボケるボケる!
この議題でもdarling炸裂っす。
「ハングル文字にするとか(笑)」
さらにこういうときに誰よりも反応が早いのが
木工用ボンドガール、
「タイのグルグル文字とかね」
 

↑タイのグルグル文字

さらに、ロック西本は、
「俺、北京語得意よっ」
もう、ほとんどの人が意味わかんないじゃないですかっ。
英語か日本語の話でしょっ!!

たとえば、曜日を英語表記にするなら
月の表記も“February”とかってことになるから
他の表記も
だいたい英語に統一することになるんですよねえ。
そっかー、そうすると
big safe=大安、firiend pulling=友引、
Buddha dead=仏滅とかになるのかー。
大変そうだなあ・・・。
英会話とか習ったことないしなあ。

そんなとき、メリー木村がふとつぶやきました・・・
「僕は日本語で書いてある方がいいなあ。
 大安とか知りたいし・・・・」
それを聞いたdarlingも
「そうだよなあ。
 『来週のサンデイに会わない?』
 『ちょっと待って来週のサンデイは・・・
  うん。だいじょうぶ』
 とか言わないもんな。
 ってことは、
 みんな“SUNDAY”ってみても
 頭の中で一回“日曜日”って翻訳してるんだよな」

たしかに、
「きょうはチューズデイだからピアノのレッスンが・・・」
とか言ったことない!!
「日・月・火・・・」っていう表記は
字が小っちゃくても読めるし、
やっぱなんだかんだ言ってなじみやすいんだよなあ。
もうこれは誰になんと言われようと
日本語表記で決まりです!!


これが「ほぼ日手帳」
見開きカレンダーのデザインです!!




●ページの構成はどうするの??

まだまだ議題は続きますよー。
とにかく、手帳の全ページについて
全部決めるんですからね〜。
ほんとに長丁場です。
お次の議題は、
「カレンダーページと1日ページの並び順はどうするか」

この問題は、どうでもよさそうで実は手帳を使う上で、
決して軽んじることができない重要な問題なんですね〜。
こういう議論って、
最初に結論みたいなものがほぼ決まってしまうと、
なかなかその流れは変えられないものなんですよね。
しかし、この議題に関しては、
ふだんから手帳を使っている上で
そのことを考えている木工用ボンドガールの切実さが
決まりかけた結論に待ったをかけました。

最初に決まりかけた結論は、
「カレンダーはカレンダーで最初に12ヶ月分あって
 そのあとに1日ページが続く方が使いやすいと思う」
ということでした。

それに関して木工用ボンドガールの悲痛な叫びが響きます。
「うわー、悲しい・・・
 私なんか、ことごとく皆と意見が食い違うわ〜〜」


こういう全体的になんとなく結論が簡単に
決まってしまったようなときに出る反対意見って
たとえ自分が違う意見だったとしても聞いてみたいし、
実はすごく助かるんですよね。
木工用ボンドガールの切実な訴えに皆が耳を傾けます。

「私、手帳はずっと使い続けているんだけど、
 既存の手帳って、
 どれも最初にカレンダーページが12ヶ月分きて、
 そのあとにウイークリーのページとか
 1日ごとのページがきてるものが多いの。
 でも、それだとカレンダーページと
 1日ごとのページを
 行ったり来たりしなくちゃいけなくて不便なのよ。
 それで、その行ったり来たりっていう動作が
 面倒になっちゃって
 なるたけカレンダーページで
 用事が済んでしまうようにしちゃうの。
 だからカレンダーのところは、小っちゃいマスに
 小っちゃい字で予定をぎっしり書くことになって、
 後ろにある1日ごとのページは使わなくなって
 ほとんど死にページになってしまうのよ」

この木工用ボンドガールの意見は
いったん決まりかかった手帳のページ構成を
一気に変えさせるような威力がありました。
読者のみなさんのアンケートを読んでいても、
この木工用ボンドガールの意見と全く同じことを
書いてくださった方が何人もいました。
そもそもカレンダーは全体の流れを見るためのものとして、
日にちごとのページは、
実際に詳しいスケジュールを書き込むためのものです。
だったらカレンダーと日にちのページは
近くにあった方が使いやすいのは確かです。

でも、その形態にするにしても、また別の問題があります。
たとえば2月はどこからはじまるの?とか、
月のはじまりがどこからはじまるのかとかが
わからないと何かと不便ですよね。
月のはじめは切目を入れたりして
ちゃんとわかるようにしてあったらいいですよね。

月ごとの区切る方法をみんなで考えていたとき
長年編集者として勤めていたシェフ武井から
こんな案が出ました。
「辞書みたいに、ページの端につめをつけたらどうかなあ?
 端に色つければ、閉じたときに
 次の月がどこからはじまるのか一目瞭然だよね」

でも辞書のツメのイメージだと
あまりおしゃれな感じがしないなあ。
だいじょうぶかなあと、一瞬不安がよぎったそのとき、
通天閣あかりの目が何やらキラリんと光り、
そして愛用の手帳を取り出してきました。
「ツメってこんな感じやねんな・・・」
心斎橋パルコで買ったとも噂されている
通天閣あかりの手帳は、ちょっとおしゃれで、
しかも1日1ページ用意されていて
実は、秘かにみんなの間では
「あれ、いいよねえ」
と噂されていた手帳だったのです。
“百聞は一見に如かず”じゃないけど、
この通天閣の手帳を見て、
ツメへの不安は一気に吹き飛びました。

   
これがほぼ日手帳の“ツメ”よ!!

これで、手帳の全体の流れは
「1月の見開きカレンダー+
 1月1日〜31日までの各ページ、
 そして2月見開きカレンダー+2月1日〜・・・」
と月ごとにまとめてある形で、
そして、各月の目印になるように、
辞書のようにページの端にツメをつける
ということに決まりました。

これで、手帳の見開き1ヶ月のページと
手帳の全体の構成が決まって、
いよいよ1日ごとのページの中身に話が移ります。
これまた、次回はある2人の思わぬ勘違いが重なって、
大発明が生まれたんです。
その話は、また次回にお話ししまーす。

(つづく)

2001-08-30-THU
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