ほぼ日手帳成功物語。
ある意味で世界一の手帳をつくるバカたち。

 

第五回 これが「ほぼ日」手帳!

ほぼにちわ。あややです。

みなさま、長らくお待たせいたしましたっ。
前回予告しましたとおり、
本日は「ほぼ日手帳」のほぼ完成予想図を
ひと足お先にお見せしちゃいます。

●「ほぼ日手帳」はこれだっ!



註:アッキイ画伯のデザインをもとに、
  シェフ武井がデジタル処理をしたものです

紺地のカバーにほんのり見え隠れする
黄色のものは何でしょう?

ふふふふふっ
答えはタブブブブっ“タブ”でございます。

何でこのデザインになったのか
その経緯を簡単にお話しますね。

前回までお話してきたように、
サイズは“文庫本サイズ”に決まったし、
素材はdarling愛用のバッグと同素材の
ナイロン素材の光沢があるおしゃれな素材に決定したし、
ポケットもつけようってことになって、
いよいよ試作品を作ってもらおう!
ということになったのです。
あとは、アンケートでもたくさんご要望があった
“ペンホルダー”と“しおり”を
つけてみてもらうことにもなりました。
試作品を発注したときの項目をまとめると、

A.文庫本サイズで素材はナイロン素材
B.ペンホルダー
C.ポケット
  :最初ジーンズのポケットの形にしよう
   と言っていましたが、
   それだと手帳を横にしたり
   逆さにしたりすると
   中の物が全部
   落ちてしまうかもしれない
   ということで、
   財布についているような
   基本的なカードホルダーで
   作ってみてもらうことにしました
D.しおり:2本。先は皮製の持ち手

ここまで辿り着くのに、
何度となく鼠穴の3Fに集まって
みんなでああでもない、こうでもないと
あれこれ考え抜いたオリジナルの手帳だったので、
試作品ができあがるまで
いまかいまかとすごく心待ちにしていました。

待つこと、約1週間・・・
試作品が出来上がってきました。
ところが・・・
すごく楽しみにしていたはずなのに、
封をあけた途端、
「あれれ?」
となりました。



みんな、「何か、しっくりこないなあ」と浮かない表情。
いつもだったら
こういったほぼ日グッズの試作品が到着すると、
第一声は必ず、
「かわいい〜〜」とか
「うわー、これ欲しい!!」とか
やたらと盛り上がるのに、
今回の場合はあからさまに
「何か違うかも・・・」
という雰囲気が充満しているんです。
そのときのみんなの第一印象をまとめると、

「“地味さ”が目立つ」
「何か物足りない」
「さびしい」

といったものでした。
たしかにできあがってきた試作品は
思っていたよりもシンプルで、
それはそれで別にとくに問題はないし、
文房具屋さんに売っていても
さして違和感はなさそうなんですよね〜。
ていうより、むしろ買ってしまうかもしれないくらい。

でも、実際に試作品を目の前にしてみると、
何かしっくりこない感じがする。
それが何なのかわからない。
そんなふうに
“何となく違和感が・・・”とか言ってるうちに、
そのうちだんだん
「ま、いいか・・・」
って雰囲気がどこからともなく漂ってきました。
ちょ、ちょ、ちょっとみなさん、
今回の手帳の隠れテーマは
“粘り”ですよ、ね・ば・り。
いいものを作るためには、
妥協しちゃダメですってば。
そんなわたし(あやや)の必死の説得も空しく、
「でもずっと見ているうちに、
 愛着がわいてきて、
 むしろ、これをかわいいというのではないかとさえ
 思えてきたよ」
という声まで!!

ううっ・・・
そんなふうに言われてしまうと・・・
でも、第一印象でちょっと違うと感じたものは
やっぱりちょっと違うんですってば!!
それに、まだいまは“試作品”の段階。
あくまでも、これから
どんどん改良していくための“試作品”なんですから。
もっと前向きに改良していきましょう!!

そんなわけで、気を取り直して、
もう一度何がどうしっくりこないのかについて
考えてみることにしました。
たしかに、形はシンプルで、
サイズも持ち運びやすく手軽でいい感じ。
素材もカジュアルだけどおしゃれっぽい。
ペンホルダーもあって、ポケットもあって、
しおりまでついていて実用的でもある。
でも・・・
何か足りないんだよなあ??
その“足りない何か”って何なんだろう?

こういうときは、
いままでの経験をさかのぼってみるに限ります。
今回はその「いままでの経験」が
そのものズバリ、役に立ったのです。


●使えるものは何でも使え!

「ほぼ日手帳」に足りない何かを見つけるために
いままで「ほぼ日」から発売されてきた
グッズの数々をあらためて見てみよう!
ということになりました。
西田店長が1F倉庫にある
過去のグッズの数々を両手いっぱいに抱えてきました。
過去のグッズをあらためてじっくりしてみると、
共通するものが見えてきました。
それは・・・

“おさる”!!


さらに、西田店長が過去のグッズの山の中から、
おもむろに“タブ”だけが入っている袋を
取り出してきました。
そしてその取り出してきたタブの中から
フレンチパーカーの背中のポケットについていた
黄色のタブを取り出してきて
それを手帳のカバーにあてはじめました。



「これ、かわいくない?」

たしかに、そのタブをつけた途端、
印象が急に明るくなりました!!
そうです、そうです、
私たちの“ポケット好き”については
以前から何度となくお話ししていましたが、
実は私たちは・・・・

“タブ好き”でもあったんだ!!!

これがほぼ日“タブ”の歴史!







ね?“タブ好き”でしょ?私たちってば。
さっきまで
「これでいいんじゃないの・・・」
なんて雰囲気だったのに、
このタブがついた途端、
「やっぱ、これ(おさる&タブ)がないと、
 調子がでないねえ〜〜」
とか言い出したりして。
もう、ほんとに調子いいんだから〜〜。
でも、やっぱり“タブ”がついているのを見て、
がぜん、調子が出てきましたよー!!

そんなルンルン気分で、
タブをつけてみた手帳カバーを
darlingに見せに行ったところ、
「むむっ!?」
と、眉間にシワが。
ええっ!?darling、気に入らないの!?
すると、
「ちょっと俺に貸してみな」
と何やらいたずらっ子のような表情。
「あと、はさみと色のついた紙ってある?」
あ、あることはありますけど・・・
何をはじめちゃうんですか、darling。
遊びじゃないですからねっ。
あくまでも真面目に、おねがいしますね!!


●“5タブ手帳”だっ!

はさみと色紙を手に取り、
何やらdarling、色紙をチョキチョキ細かく切って
工作らしきことをはじめました。
そんなdarlingを見守ること数分。

「よしっ!これでいこう。」




見ると、タブがズラッと
縦に並んでいるではありませんか!
西田店長がつけたタブに加えて
形が微妙に違うタブが所狭しと並んでいます。
どこかアンバランスな感じはするけど、
そこがまたチャーミング。


およよ?
しかも内側にまで“タブ”がついてる〜〜!!!

でもー・・・
つかぬことをお聞きしますが、
このタブにはいったいどういった意味があるのですか?
「意味?
 意味はなくたっていいんだぜ!」

ええ!!??
だって、だって、
手帳というのはメチャクチャ実用的なものなんですよ!!
それなのに、意味がないものをつけるなんて〜〜。

「実用面はもう十分対応しているじゃないか。
 それでもみんなはできあがってきた試作品をみて
 何か足りないと思ったんだろ?
 それっておさるがちょっと見えるとか、
 そういう“遊び”っぽいところなんじゃないの?
 “意味”とかばかりを追求して、
 それだけにしちゃうと、つまらないぜ」

ふうむ。たしかに、
フレンチパーカーの背中のポケットだって
「意味は?」
って聞かれても、実用的な意味なんかはなかった。
たしかに、カイロを入れるとか、「付け文を忍ばせる」とか、
話しあってよろこんではいたけれど、
「後ろにでっかいポケットがあるんだよ」ってことが、
意味以上に大事なことだったと思います。

そうか、それを考えたら
この異様に多い“タブ”だって
見た瞬間魅かれたし、
やっぱりみんなの声も
「かわいい〜〜」とか
「これ欲しい〜〜」とかで
すごく盛り上がっていたんです。
これだったら、ほんとに
「これいいっ、欲しい!!」
って言えるっ!!

こんなふうに「ほぼ日手帳」のカバーは
無事決まりました!!
そこからアッキイ画伯によって
ブラッシュアップされて、
darlingが考えた外側につくタブではなく、
技術的な問題で
内側にタブをつけることになったのです。
ちなみに今回みなさんにお見せした画像は
まだ最終型ではありません。
たとえば、しおりの先についている
皮製の持ち手のところとかは
このあとも改良していきますので
期待していてくださいね。

最後に しつこいようですが、
もう1回決まったデザインを見せちゃいます!!
だって見せたくてしょうがないんですも〜ん。



さあ、これでカバーも決まったところで、
次回からはいよいよ内容のお話に移りますよ。
みなさまからのアンケートをもとに
鼠穴で話し合ったんですよー。
これまたわきわきだったんですね〜。
そちらもお楽しみに〜〜。

(つづく)

2001-08-24-FRI
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