第25回 熱心に目玉焼きを語る。前編。
糸井 目玉焼きって
どういう手順で食べてる?
目玉焼き。
糸井 うん。目玉焼き。
そうだねぇ‥‥。
むかし、伊丹(十三)さんが、
なんかの番組で目玉焼きを食べながら、
目玉焼きの食べ方についての
解説を求められてたことがあったね。
糸井 ほう。
こう、実際、目玉焼きを食べながら、
「目玉焼きの正しい食べ方については
 さまざまな説がありまして‥‥」
とか言うの。
糸井 うん。
「白身だけをこんなふうに
 切りとって食べてって
 黄身を最後までとっとくなんていうのは
 ちょっといじましいし、
 かといっていきなり黄身からってのも
 なんかアレです」って言いながら
白身、食べてんですよ。
「じゃ、どうするんです?」
って訊かれるじゃない?
「つまり、こんなふうにアレコレ言いながら
 残った黄身を、スキをみて
 パクッといくんです」って言ってた。
糸井 ははははは。
オレの場合、正しい食べ方とか
訊かれないと思うから、
同じようなことを黙って行うね。
糸井 つまり、白身から食べていって、最後に黄身を。
ただ、この手順で困るのは、
半熟だと面倒なことになる。
糸井 半熟でしょう、目玉焼きは。
こう、とろーんとした。
うまいよね。
でも、その「とろーん」を最後に残しとくと
いざってときに、皿じゅうがぜんぶ、
「とろーん」になっちゃうんだ。
糸井 そうなるね(笑)。
だから、最後のほうは
皿中の「とろーん」を、
片づけながら食べるみたいな感じ。
掃除‥‥みたいなことになる。
糸井 あ、じゃあ、
オレのやり方をまねしてもいいよ。
え?
糸井 基本的には、伸坊と同じように
黄身を残す感じで食べていくんだけど、
そのときに白身を適度な大きさにして
ちょっと残しておくわけ。
で、「とろーん」が弾けたときに
それを使って、こう、ぬぐいながら食べていく。
「ぬぐいながら」(笑)。
あはは、アイディアだね。
糸井 いいだろう?
最後はお皿もキレイになるし、
なにより、美味しいしさ。
いいかもね。
それ、正しいと言って
主張してもいいかもしれないね。
糸井 でもオレ、
正しくなくてもかまわないんだよ。
一同 (笑)
はははははは、そうか。
正しくなくても、いいのか。
そうか、そうか。
糸井 うん。そう食べるといいぞって
自分で思って食べてるだけだからさ。
だから、まぁ、目玉焼きの食べ方としては、
おおむね、白身を黄身で味つけて味わう。
そういうタイプです。
いいじゃないですか。
なかなか、すばらしい段取りですよ。
お皿も汚れないし。
糸井 まったく汚れませんね。
汚れないどころか、黄身の上のほうの、
「とろーん」と液体状になってるところは、
もう、だいたい、
白身の味つけにつかっちゃいますから。
もう、汚れようがありませんよ。
つまり、お皿が「とろーん」で
だらだらになっちゃうのは
おまえがいけない、と。
糸井 いやいや、いけなくはないですけど。
でも、「とろーん」としたなら、
白身でこう、ぬぐえばいいじゃないかと。
白身で取りゃいいじゃん! と。
一同 (笑)
糸井 まぁ、上からの言い方をすれば、
そうなりがちですけどね。
いや、いい話を聞いちゃったよ。
糸井 ってのが、半熟の目玉焼きのときの話でね。
黄身がかたいときの目玉焼きの話もあるんだけど。
‥‥‥‥聞きましょう。
(目玉焼きの話がつづくなんて‥‥つづく)


2010-07-18-SUN