2007年4月27日より、東京都現代美術館にて
『明日の神話』が公開されました。
どうやら今回は、室内で展示されるらしい、
あの大きな壁画が展示室の3階にあるらしい。
「東京都現代美術館ってどこ?」
「木場公園‥‥清澄白河‥‥ふむふむ」
「いつ見に行く?」
と何人かの「ほぼ日」乗組員で話をしていたところ
「都現美(東京都現代美術館のこと)って、たしか
 お江戸っぽい場所にあったよね?」
と、目をキラキラさせている乗組員が
いるではありませんか。

たしかに、東京都現代美術館のある木場は、
その字のとおり、木材の置き場として
江戸時代に深川界隈の経済を大きく潤わせた場所。
豊かな町は、お祭りや行事も盛んで、
人々の遊び場としても、にぎわいを見せた町でした。

「江戸っぽい、いいスポット知ってますよ」と声があがり
東京都現代美術館のミュージアムショップの方からも
「ここのお店はいいですよ!」と情報が寄せられて



ちょっとした地図ができあがってしまいました。
そこで、TARO MONEYチームは
乗組員の「なんとなく情報」をたよりに
『明日の神話』をコースに含んだ
「都現美お江戸ツアー」に出かけることにしました。

まず、スタートは、なぜかここ、
「なんとなく情報」の指令に従って、
人形町の水天宮です。



待ち合わせ。人形町にくわしい
乗組員・甲野がいて、心強い。


甲野
「水天宮は安産と
 水難除けの神さまなんだそうですよ」

そういえば、腹帯や産着などが
境内のお店で売られていたり、
赤ちゃんとご両親がお礼参りをしています。

「水難除け‥‥ということは、
 去年、松山から『明日の神話』を東京に運ぶ中継
 すっと雨だったので、今日は晴れますように」
「それから、『明日の神話』から
 たくさんの子どもたちが生まれますように」



『明日の神話』のこと、
そのほかそれぞれもろもろのお願いをして、
お江戸ツアーの幕開けです。



さあ、さっそく「ほぼ日」乗組員の
勝手なおすすめ情報地図を見てみましょう。


西田
「はい。あれ?
 ありゃあ。あの、あわわわあわわわ」




もしかして?


西田
「乗組員のみんながくれた
 メールのプリントアウトはあるんですけれども」

地図を忘れた、と。
そのメールのプリントアウトには
どのお店がどれだけおいしい、などの感想は
ギチギチに書いてありますが、
町歩きに役立つ、住所などの情報は皆無。



落ち込む西田。


甲野
「大丈夫ですよ、私が案内できるところは
 まかせてください」


「ほぼ日」に入っていちばん日が浅いにもかかわらず
もっとも頼りがいのある人物・甲野に励まされ
元気を取り戻した一行でしたが、
水天宮を一歩出たとたん、
目標を見失い途方に暮れる始末です。
とりあえず水天宮の下に、
お店屋さんが何軒か並んでいたから、
行ってみましょう。


ぐっさん
「あ、あの葉っぱにいる蝶、
 岡本敏子さんの化身では?」




岡本敏子さんは、岡本太郎さんの
パートナーだった女性です。
生前、TARO MONEYは企画段階でしたが
ずいぶんお世話になりました。


ぐっさん
「あの蝶が、我々のお江戸ツアーを
 導いてくれるんですよ」


そんなことを言うと
敏子さんのような気もしてくるじゃありませんか。
あ、敏子さん?




西田
「ちがいます、
 水天宮下のお店、小まつやのおかみさんです。
 それよりも、見てください、
 あの張り紙を」



中央の張り紙、シベリア入荷。
よ〜く見るとほかにも
張り紙がありますが、
とにかくこのシベリアが
この店のイチオシとみました。


ぐっさん
「これがシベリアのようです」



イチオシ商品が100円です。
ひとつ、買っておきましょう。
(食べるのは、のちほどです)



お会計の際、おかみさんは10分間ほど、
水天宮の歴史、石原慎太郎さんとテレビに映った話、
それを近所の人みんなが言ってくれるという話、
近所のお嬢さんが美人であるという話、
いろんな話を我々にしてくださいました。
話は尽きなかったのですが、
時間の関係上、しかたなく小まつやさんをあとに。


西田
「おしゃべり、たのしかったなあ。
 人情を感じますね。
 お江戸の町っていいなあ」


あたりには、佃煮屋さん、あんみつ屋さん、
たいやき屋さん、小さなお食事どころが並びます。
水天宮のある人形町は、
江戸幕府が開かれて以来、城下の中心として栄え、
いまもたくさんのお店でにぎわう町。
浄瑠璃など、人形の芝居小屋が
たくさん並んでいたことから
人形町という町の名がついたそうです。



甘酒横丁という名前の通りもあって、老舗のお店も多い。



さすがにここで、東京の地図を購入した西田。


それからは西田、地図ばかり見て歩く。
仲間と話もせず。


理容室の窓に、こんな張り紙。


甲野
「おかずパンのおいしいところ、あるんですよ」


甲野に誘われて、道を曲がり、
ふらふら歩くと、そこにはすてきなパン屋さんが。


「わーい、パン屋さんだ」

「うちは、サンドウイッチ・パーラー、ってのが
 正式なんだけどね」


入口におかみさんが。

あ‥‥パン屋さんじゃなくて、
サンドウイッチ・パーラーなんですね。

「そう、
 サンドウイッチ・パーラーまつむら、っての」


店内にはおいしそうなおかずパンが並びます。
すごい種類です。


甲野
「ここは、ロールが、ロールが
 おいしいんですよぅ」


ロール?



甲野
「焼きそばロールとか、コロッケロールとかの
 ロールです。たまりません。買いましょう」



あれだけおばさんが
「うちはサンドウイッチ・パーラー」と
言っているのに、
コロッケロールとクリームパンを買いました。

ねえ、ちょっと、我々
食べものばかり買いすぎでは?
これから先もあるんだよ。


ぐっさん
「そうですね。次は食べものじゃない店に行きたい」


そういえば、スギちゃんおすすめの、
刃物屋さんが、このあたりでした。
ちょうど包丁が欲しいと思っていたのです。


西田
「ぼくは爪切りが欲しいです」


じゃ、行ってみよう。
うわ! なんだ、あの行列は。

I


甲野
「有名な、親子丼の玉ひでさんですよ」


西田
「食べたいなあ」


ぐっさん
「でも、コロッケロール買ったし」

いつか行きたいなあ。でも、
刃物屋さんに向かいましょう。
包丁、包丁。


お目当ての刃物屋さん、うぶけやに到着。

だ‥‥大丈夫かな、
我々のようなものが入って大丈夫かな、
ちょっと値段をチェックしたいけど、


ぐっさん
「入りましょう!」ガラガラー



すごい!切れるものだらけ。

「いらっしゃい。
 うちはね、220年、やってんですよ。
 そのあたり、ずっと黒塀だったんだから、
 ついこのあいだまで」

ついこのあいだまでって、
いつのことでしょう。

「で、そこに『死んだはずだよお富さん』の
 お富さんが住んでたんだから」

ついこのあいだまで?

「そう。ついこのあいだまでね。
 うちの刃物は落語にも出てくるんだよ、
 うぶけやの毛抜きってね」

へええええ、
社長に買って帰ったら喜ぶかなあ。


西田
「毛抜きは使わないでしょう、きっと」

そうかなあ。


西田
「僕は爪切りが欲しいんです」



ぐっさん
「僕もです」

「あら、いいねぇ。
 この爪切りは1260円。
 すごくいいものよ」

私は包丁をいただきたいんですが。

「お料理がんばるの? 偉い!」

ありがとうございます。

「じゃあ、これがいいわよ」


ギラリ。

「ハガネを打ち合わせて出来ているから
 切れ味が変わらないのよ」

刃の部分だけが漫画みたいに
ギラッと光ってますね。


「そうでしょう、それがいい刃物の証拠。
 切れなくなったら持ってらっしゃい。
 研いであげるから」

店内にいた別のお客さん
「ここの包丁で切ると、びっくりするよ。
 もう、ぜんっぜん、違うから!
 偉いねえ、その心構え」

「ほんと偉いわよねえ、一生ものだよ」

でへへへ。ありがとうございます。


ぐっさん
「ちゃんと料理してくださいよ」

思い切って購入した
うぶけやの13500円の包丁。
お江戸ツアーはつづきます。
(次回は明日です)



2007-04-30-MON

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