「ひと目みて心を奪われる」といわれる、
色彩あふれる絵を描くジミー大西さんは、
数年前までは「お笑い」のタレントさんでした。
2002年12月より日本全国を巡回している展覧会に
足を運んだ人の数は
いまや、ゆうに30万人を超えるといいます。
ジミー大西さんが
タレントから画家に転向したきっかけには、
晩年のTAROがかかわっていたとか。
darlingがお話をうかがいましたよ。


第5回
会えないことが、運命だった。


大西 テレビで絵を描いたときに手紙をもらったあと、
インドに行く機会があって、
そこではじめての油絵を描いたんですよ。
僕のマンダラを描こう思て‥‥。
それで、もう一回、岡本太郎先生に
僕の絵をみてもらおうと、描いてたら、
インド行ってるときに
岡本太郎先生が亡くなってしまったんです。
糸井 そっかそっか‥‥。
大西 ほんで、ついぞ、
もう先生に会えずやなぁ、と思て。
糸井 でも‥‥もし会っていたら、
逆にまとまりがついちゃってたかもね。
「会ってない」ってのも、またすごい運命だね。
大西 そうですね。運命なんですかねぇ。
糸井 一生、ほんとの答えを見つけられない、
みたいなさ。
大西 そうなんですよ。
ほんっと、もう‥‥。
糸井 「ああいう手紙は書いたけど
 ほんとは、あんまりよくないよ」
なんて言われたらおしまいだし(笑)。
大西 ああ、もう、太郎先生に
「よくない」なんて言われたら、
またそこで絵をやめてたかもわかんないです。
糸井 ね?
大西 「えらいまとまってきたなぁ、
 もう、ええことないわ」
なんて言われたら、
やっぱりやめようかな?とか
思いますよ。
糸井 前のほうがよかった、とかね(笑)。
大西 はい。
「前の感覚はどうしたんや!」
とか。
糸井 めげるよね。
大西 そうなったら
たぶん途中で挫折してるかもわかんないです。
糸井 それから、
実際に会ってあんまり絶賛されてもさ、
舞い上がっちゃうし。
大西 わ、そうですね。
糸井 会えないっていうの、
すごいなぁ!
大西 会えてないから、
かえって
よかったかもしれない‥‥。

糸井 大西さんの絵を
岡本太郎以外の人も
褒めてくれるようになったのは、
描きはじめて
しばらく経ってからなんですか?
大西 何枚も絵を描いて、
個展とかをするようになって、
みんなに「いいね」って言っていただける機会が
多くなったというかんじですけどもね。
でもだんだんこのごろは、
「前のほうがよかったよ」っていう、
お客さんも、いらっしゃるし。
糸井 まあ、それは誰もが必ず言われることですよ。
でも、いっぱい描いてくことによって、
「これはよくてこれは悪い」
っていう判断が自分で
どんどんつくようになってくるでしょう?
大西 あーー、それが、逆なんですよ。
麻痺してしまうんです。
なにがいいか、悪いか、
わかんなくなってしまうんですよ。
糸井 「できて気持ちいい」
とかいうのはないの?
大西 絵ができあがって、
僕は「あ、いいな」と思うんですよ。
それをみんなにみせたら
「なんでこんなん描くの?」
といわれることが、けっこうあるんです。
糸井 へぇえ。
大西 「わ、暗(くら)〜」いう意見とか。
糸井 そうか。
じゃ、自分としては
いまはもう「出す」だけですね。
大西 もう出して出して。
ひたすらに。
糸井 そうなると岡本太郎に、
また褒められたくなるね、確かに。
大西 はい。
糸井 でも、いないから、もっと出すしかないんだ。
大西 そうです。もう、
「キャンバスからはみ出せ」ということを、
「爆発だ」ということを追及していく。
糸井 うん。

2004-02-17-TUE

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