書店に平積みされた少女漫画の単行本を
開いてみると、そこには
めくるめく、TAROワンダーランドが
くり広げられていた!
『オッス! トン子ちゃん』は、
TAROを好きな人はもちろん、
これから知ろうとしている人にも、
ぜひ手に取ってほしい一冊です。
「太郎サまで 太郎サまで
 アタスらしさとか言うダスか!」
 主人公にこんな言葉を言わせる作者、
タナカカツキさんのTARO観とは?

第5回
クリスマスよりTAROがおもしろい!


── じゃあ、あんまりベタベタ甘えずに
好きだの嫌いだの、
言わないほうがいいのでしょうね。
タナカ そうそう。
敏子さんの本を読んだりすると、
そういうことが書いてあるよね。
好きや好きや言うのは、信頼関係がないねん。
好きか嫌いかは、態度みりゃわかる。
そんなん言うようになったら、終わりや。
── はああ! まるで
樹木のような愛ですね。
タナカ そう! 巨大な木。
そこにしがみつく蝉!
── TAROにとっての敏子さんも、
そうだったのかもしれないですね。
タナカ 女性も、「そういうふうに」、
もてていかないかんと思うのよ。
お互いに木のようになって。
── お互いに!
タナカ ほんまにもてていくためには
そうでないといかんな。
樹木になるための勉強を、
男も女もいっせいにやれば、
太郎みたいになるんと違うかな。
── そんな勉強、したいです。
タナカ だから、モテ学をね、
ちゃんとやったほうがいいと思うんです。
数1(すういち)、数2(すうに)が
あるように、
モテ1、モテ2、
現代モテ学、基礎モテ学。
── きれいな人に飛びつく前に、
モテ1を。
タナカ この子かわいい、この子きれい!って
恋愛しても、最後には、
「なんやったんやろう‥‥」ってなるもん。
それよりも、
「あのときのあの1回、
 しょうもないブスに
 ひっかかったときのほうが
命として燃えてたな
と気づく。
そんときに、ふと、わかるんですよ。
「あンのブスは、樹木みたいやったな‥‥」
「俺からいちいち
 『今日はどこそこ行こうか!』って
 サービスせんでも、
 勝手に行っとるしな‥‥」
みんな、太郎みたいな恋愛をすればいいよ。
だって、TAROに向かって
「あなた、どこ
 行ってたのよ!」

って言えないでしょう?
── 言えない、言えないです!
タナカ 夜3時ぐらいに
帰ってきた
TAROに対して、

「ちょっとあなた、私の誕生日なの今日!」
って、言えないでしょ?
こまかい約束ごととか取りつけとかを
成立させないようにするよね。
あれがモテている状態なんじゃないかな。
約束なんか、
太郎の前ではどうでもよくなるでしょう。
そんな人にならないといけない。
── 誕生日や約束ごと‥‥。
人生の楽しみごとを、
ぜんぶそのあたりで
すまそうと思っているところが、
みんなにあると思うんです。
タナカ そうやな。
自分でそれをつくっていけないから、
バレンタインデーとかに頼っちゃうのよね。
毎日、バレンタインデー
やっちゅうんやよなあ?そんなもん。
そこに頼るのはやっぱり
力がないからでしょう、
自分に。
── 魂に触れることを
していないからかもしれません。
タナカ そ。してないから。
だから、楽しいことをなにも
相手にプレゼントできなくなってしまっている。
バレンタインデーの気分、
クリスマスの気分っていう型に、
あ、また「型」が出てきよったな(笑)、
つまり、スタイルに
あぐらをかいてしまっているんですよ。
そこでまた、「メリークリスマス!」とか、
自分の心の言葉ではないようなことを
言うわけですよ。
‥‥ただ、僕は、言うタイプですけどね!!
── なんなんですか!
タナカ それは多いに楽しんでいこう!
── はあ。
タナカ だから、告白しますけど、
去年のクリスマスは、
ディズニーシーのミラコスタを予約しました。
── 言ってることと違うじゃないですか。
タナカ わかったうえでやってることは、いいのよ。
つまり、クリスマスに頼ってるんじゃなくて、
毎日が楽しいうえに、
プラスαをやってるの。
ちょうど今日、世の中クリスマスやん!
たまたまやな!
ということで。
── クリスマスによっかかっていない、と(笑)。
タナカ だから、太郎にクリスマスなんて、
ないでしょ。
クリスマスより
太郎のほうが
おもしろいからね!

太郎さんはとにかく、これまで僕が、
「あ、この人モテるやろな、
 あ、この人いいなあ!」
と思ってきた人のなかの、
トップオブトップの人です。
女性の気持ちに、知らん間になってる。
敏子がライバルやわ。
── 敏子さんには、太刀打ちできません。
タナカ そやなあ。
あの人横におったら、やる気でるよねえ!
信用してる人が、横で、本気で、
「パチパチパチ〜すごい〜」
言うてくれたら、
もっと描いちゃオ!って、なるよね。
── 敏子さんもモテていらしたでしょうね。
あのカップル、すごいです。
タナカ ほーんま、あのカップルな。
あんなアツアツないで。
ベストカップルや。
── いまもアツアツですよ。
タナカ 死を超えてるやろ?
そこがすごいで。
くやしいよな。
── とにかく
『オッス! トン子ちゃん』を読んで
魅力的な女の子について
勉強したいと思います。
トン子ちゃんは実際、
漫画のなかでモテてますね。
タナカ そうそう、
どんどんかわいくなっていくんだよ。
── これは「モテ1」の教科書ですね。
タナカ モテ度の高い「モテ2」が
太郎の本やね。
めざせ、樹木!
── めざせ、クリスマスよりおもしろい自分!
今日は、ありがとうございました。

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★タナカカツキさんの遺伝子の巻・おわりです。
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2004-01-23-FRI

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