オリジナル・ラヴの田島貴男といえば、
泣く子も黙る、サウンドのクオリティと歌唱力。
そんな「こわいものなし」にみえる田島さんが、
TAROの文庫本をボロボロになるまで
読み込んでいるという噂を聞きました。
以前ケーキづくりが趣味だったという田島さんに、
岡本太郎記念館の庭にあるカフェ
a Piece of Cake
お話をうかがうことにしましたよ。


第5回
自分を誤解で飾ること。できるか、俺?


── よく言われていることなんですけれども、
TAROは亡くなるまで、画壇から
正当な評価をされていなかったようなんです。
いまの若い世代は、芸術家としてではなく
「タレント」のように認知している人も
大勢います。
田島 うん、うん。
あのね、これは好みの問題ですけれども、
僕は、世間から「一流」と呼ばれて
価値があるかのように言われている
クールな人よりも、
岡本太郎さんみたいな人が好きなんですよ。
その人の作品に触れると、
自分のなりふりかまわず愛せるんですよね。
矢沢さんもそうだし、あとは、
マーヴィン・ゲイなんかも、そうかな?
いわゆる
「あの人、すばらしいバカをやってるな」
って思える人たち。
頭のいい音楽って、
かっこいいなと思うんですけど
そこどまりだったりして、
愛すところまで
行かなかったりする。

「マイナスに賭けろ」って
勇気を持つことの大切さをあらわしている
フレーズだと思うんです。
いわゆる「すばらしいバカ」の共通点は
やっぱり愛と勇気だと思うんですよ。
すごく陳腐な言い方ですけど、
ここで恥ずかしがってちゃいけないんだな!
思いっきり叫ぶように言わなければ!
── ハハハハ。
田島 からだでモノを考えるほうが、
僕は好きなんですよ。
アーティストって
そういうものなんじゃないかなって思う。
冷静になってクールにものをつくるのは
評論などの客観的な作業であって、
歌手や絵を描く人なんかは、
客観性はもちろんあるんでしょうけど、
主観の盛り上がりがガーッとあって(笑)、
そこでどれだけ自分のテンションが上がるかが、
まずは出発点になると思う。
── 社会での価値、評価などを
すぐに考えてしまうんですけれども。
田島 「社会の価値とか評価とか、
 そんなもの、ないんだ!」
と、そういうことをとことんまで言っているのが
岡本太郎さんであり、ニーチェであるんですよね。
── でも、そう言ってはいるものの、
ニーチェもTAROも
エンタテイナーですね。
田島 むちゃむちゃ、エンタテイナーですよ。
ポップです。
── そう、ポップです。
田島 僕ね、自分の曲をつくるうえで
なにをいちばん最初に考えるかというと、
「これ、ポップかな? ポップじゃないかな?」
ってことなんです。
ほんっっと、そんなことばっかり考えながら
曲つくってます。
それは、オリジナル・ラヴをはじめたときから
ずーっと自分のなかで引っ掛かっていました。
「ぼくだけじゃなくて
 みんなに聴いてもらうべきメロディーか」
「伝わるべきだと自分が思っているか」
だから、オリジナル・ラヴは、
「ポップスやってます」って
ずっと言っているんです。
── なるほど。
田島 あっ! もしかして、
僕の言う「ポップ」っていうのと
矢沢さんの言う「ビッグ」っていうのは
おんなじなんじゃないか?
── はい(笑)。
田島 ハハハハハハ!
とかな、ってね。
そんな気がして(笑)。


「坐ることを拒否する椅子」に、座っちゃえ!
太郎さんの作品を前にすると
なんだか挑みたくなるんですよ。
── 自分を貫き、かつ、
エンターティメントをしていると、
「すばらしいバカ」に
なれるのかもしれませんね。
TAROは、「誤解される人は、美しい」と
言っていますが。
田島 それどころか、
どんどん誤解されなさい、
誤解で自分を飾りなさい、とまで
言っちゃうんだもの。
これまで自分が見聞きしてきたことと
正反対のようなことを
言われたような気がしましたよ。
僕も雑誌などに出だしたりしたときに
「あれ?違うのにな。
 こんなこと言ってないのにな」
って思うことがあったんですけれども、
そうだったんだよ、
いままでなにを誤解なんて
ちまちま考えて
いたんだよ、俺!
って。
誤解で飾らないと、俺まずいっ!
── たぶん、TARO自身が幼いころから
「違うのにな」ってことがたくさんあって、
それでやっと「飾る」まで
行き着いたんだろうな、
というかんじがします。
田島 そうだよね。見つけたんですよね。
やっぱり若いときって、
迷いたくないし傷つきたくないから
守りに入る。
よく「こわいものしらずの時期」って
言われますけど、そうじゃないのかもしれない。
年取ったほうが勇敢になれるし、
若いときのほうが臆病ですよね。
── おそろしいですよね、いろんなことが。
田島 まあ、僕はいまでも
ぜんぜんものすごい臆病なんだけど、
臆病でも、
「こわいと思うもののなかに
 入ってしまうことが
 すばらしいことなんだ」
ってことを、
いまでは知ってる。
その違いは大きいです。
岡本太郎さんは、
「どんどんバカなんじゃないかって言われろ」
と言う。
そういうふうに言ってくれる人って
いなかったんですよ。
「冷静になれよ」「クールになれよ」って
意見ばかりでね。
そんなふうに背中を押してくれる人って、
いないですよ。
── 子どものころには、けっこうアホに、
思いっきりやっちゃった経験がありますが。
田島 なにも考えていなかったからね。
でも、子どもの絵と画家になったときの絵は
違うって太郎さんはおっしゃってますね。
子どもというのは天然の自由だけれども、
大人になった、画家になったときの絵は
勝ち取った自由だと。
まったく別の絵なんだってことを言ってて、
僕はそこにすごく共感します。

(金曜日に、つづきます!)

a Piece of Cake
おすすめのケーキ

ホームメイドパンケーキ
700円

a Piece of Cake

岡本太郎記念館の庭に面したカフェです。
庭にあるTARO作品を眺めながら
おいしいお茶やケーキをたのしめます。
※記念館に入館しなくても、カフェに入れますよ。
 お散歩がてら、気軽に入ってくださいね。

2003-12-23-TUE

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