オリジナル・ラヴの田島貴男といえば、
泣く子も黙る、サウンドのクオリティと歌唱力。
そんな「こわいものなし」にみえる田島さんが、
TAROの文庫本をボロボロになるまで
読み込んでいるという噂を聞きました。
以前ケーキづくりが趣味だったという田島さんに、
岡本太郎記念館の庭にあるカフェ
a Piece of Cake
お話をうかがうことにしましたよ。

田島貴男さんプロフィール



第1回
決めフレーズの連続に、やられたぁ!!


田島 今日はTAROの話ですよね!
すっげーうれしくて、
なにを話そうか、ワクワクして来ました。
── ありがとうございます!
田島さんがTAROを知ったのは
いつごろですか?
田島 去年の秋、アルバム制作のために
まとめてたくさん曲をつくることになって、
ああ、どうしようかな、と、
頭をかかえていたんです。
そこで、テンションを上げる
「気つけ薬」みたいなものを求めて、
川崎市岡本太郎美術館に行ってみたわけです。
そしたらもう〜〜、すごいでしょう!
あの、岡本太郎の愛と勇気に、
ガッツーンとやられてね。
そこで本を何冊か買って読んだんですけど、
決めフレーズの連続で!
もう、度肝をぬかれまして。
── TAROの言葉って、生きていますよね。
田島 読んでいたら、マジで涙が出てくるんです。
「マイナスに賭けろ」とか
「危険に賭けろ」とか、
かぁぁぁっこいいー!と思って、
ほれぼれしました。
── 泣くんですね‥‥。
田島 ええ。ガーガー泣きますよ。
岡本太郎さんの本は、
お守りみたいなもんで、
いつも持ち歩いてます。
── いまもですか?
田島 もちろん、持ってますよ。
カバンをお見せしましょうか。


カバンのなかに文庫本がギッシリ。
── はー! 大きいカバンですね。
あの、オリジナル・ラヴの
田島さんのものとは思えない‥‥。
田島 今日はこれでも、本を減らしてきたんですよ。
いつもは、もっとカバンがパンパンになってる。
「なんでこんな重いもの
 持ってかなきゃいけないの!」って
自分で思ってるんですけど。
── 2、4、6、8‥‥
文庫本だけで14冊入ってますよ!
TAROと、橋本治さんと、ニーチェと、
あ、糸井重里の本も入ってる。
『ペンギニストは眠らない』。
TAROの本は、
『自分の中に毒を持て』ですね。
わー、ボロボロになってます。
田島 このへんは、何度も読んだやつで、
お守りなんですよ、ほんっとに。
持っていないと、ウズウズして気持ち悪い。
その「お守り本」だけでも4、5冊あるから、
カバンがこんな状態に。
── 読もうが読むまいが、いつも入ってるんですね。
田島 いえ、意外と待ち時間などに読んでるんですよ。
今朝もファミレスでコーヒー片手に
「さ、今日の朝の一発は!」といって
岡本太郎さんの文庫を開きました。
それで気合いを(笑)。
── 矢沢永吉は『成りあがり』、
ニーチェは、『ツァラトストラかく語りき』
ですね。
濃ゆいです!
田島 僕にとってはね、岡本太郎の「爆発だ」と
矢沢永吉の「ビッグになる」、そして
ニーチェの「ツァラトストラ」の言う「超人」、
この3つは、同じことのように感じるんですよ。
3つとも、まさに僕のスローガンです。
よく「座右の銘」とかいうけど、
岡本太郎さんのこの本なんて、
座右の銘
だらけじゃん!
(笑)。
みてよ、みてよ。
── わっ! すごい!
線が引いてありますね。
というか、線を引く意味がないくらい、
ほとんど全部に線が引いてありますよ?!


ページのほとんどに、線が! しかも鉛筆で。
田島 いいんですよぉ、ここなんてね、
「過去にこだわったり、
 未来でごまかすなんて根性では、
 現在を本当に生きることはできない」
みたいなことが書いてある。
── ふむ、ふむ。
田島 ね? たっまんないですよね!
── TAROの本って、
ひとつひとつの言葉に衝撃を受けるんですよね。
田島 そうなんですよ。ほら、ここも
「危険な道をとる」
とか。
── あ、そういえば、思い出しました。
オリジナル・ラヴのアルバム「踊る太陽」を
拝聴したんですけど、この1曲目って‥‥。
田島 そうなんですよ。
わかっちゃいました?
1曲目の「ブギー4回戦ボーイ」は
とくに岡本太郎成分が入ってるんです。
── ええ、わかりましたよ!
(歌詞カードを出して)
ここと、ここなんかがとくに。
田島 プッ(笑)、そうそう。
── 「踊る太陽」は、
これまでのオリジナル・ラヴのアルバムとは
ガラッと変わった、という印象がありますが。
田島 このひとつ前のアルバム「ムーンストーン」は
部屋で落ち着いて聴いてもらえるといいかな、と
思ってつくったものだったんで、
次はもっと、アウトゴーイングなかんじで、
やんちゃな、外へ向かって街へ出ていくような
アルバムにしたいと思ってました。
僕、ボクシングもはじめましたし。
── ボクシングを?
田島 はい、鍛えてますよ!
── お、お菓子づくりが趣味だと
聞いたんですが‥‥。
田島 お菓子づくりは、もうずいぶん前ですよ。
いまじゃ、アタリメ、メンマ、
ザーサイが好きです。ッハハハハ!
── 瓶を開けてすぐ食べられるものばかりですね‥‥。
ここはケーキが自慢のカフェなんですが、
失敗だったかな。
田島 いや、いまだにケーキも大好きですよ。
── よかった! いろいろあるので、選んでください。
田島 うーーん、うーーーん。


ウキウキ。ケーキを選ぶ田島さんです。
このお店には、ケーキが13種類くらいあるんです。
田島 これにしよう、これ!
これ、俺がよくつくってた
ミシシッピー・マッドケーキと似てる。
トロ〜っとチョコレートが溶けて
おいしいんですよ。
ああ、甘いものは久しぶり。
この手のケーキ、生クリームと合うんですよね。
── 自宅でケーキをつくるのが趣味だった田島さんが
一転、ザーサイとボクシング‥‥。
男の子っぽくなられた、というか。
田島 なんなんだろうねぇ。
そういえば、ぜんぶが同じ時期ですよ。
ボクシングはじめたのも、
岡本太郎さんを好きになったのも、
このアルバムがこんなふうになったのも。

(つづきます!)

田島さんの選んだケーキ
アーモンドチョコレートケーキ
650円

a Piece of Cake

岡本太郎記念館の庭に面したカフェです。
庭にあるTARO作品を眺めながら
おいしいお茶やケーキをたのしめます。
※記念館に入館しなくても、カフェに入れますよ。
 お散歩がてら、気軽に入ってくださいね。

2003-12-09-TUE

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