谷川俊太郎、kissなどを語る。
しかも、新作『kiss』を、「ほぼ日」で
1000枚限定特典付きで発売します。

ほぼ日を通じてCD「kiss」を
お買い上げくださったかたのなかから5名に当たる
「谷川さんセレクションのチョコレート
 +直筆特製カードプレゼント」

当選者の発表
このページのいちばん下にありますよ〜!

第11回
読み手が見えているということ


糸井 谷川さんの詩集で、
いちばん売れたのは
『女に』なんでしょうか?
谷川 ええっと、例えば『ことばあそびうた』みたいなのは、
もっと売れてるかもしれない。
まあ、ジワジワと何十年もかかってるけども。
糸井 そうか。小学館の『いちねんせい』でも、
谷川さんのはちゃーんと売れてますもんね。
谷川 あ、そうですね、あれね。
おかげさまで。
ホント助かりますよ(笑)、老後の安心ですよ。
糸井 あれは、古びないように書いてるっていうのが、
ほんとによくわかりますね。

ぼく、見習うべきだなと思うのは、
谷川さんの書くものは、
そのときの「流行」じゃないんですよ、いつも。
谷川 うーん。
糸井 流行を入れたほうが、
インパクトがあるのかもしれない。
でも、谷川さんは、ちゃんと、
ずっと読めるように書いてる。
谷川 それはぼく、
自分ではそんなに意識してないんだけど。
糸井 そうなんですか?
谷川 うん。でも、例えば子どもなら
「ある、1999年の子ども」というふうには
考えなくて、全世界、昔から今までの
「子ども」を書きたいっていう気持ちはあります。


糸井 詩はみんなが書けると思ったりするものなんですよね。
それで、あんまり嬉しくないものを
読まされたりもします(笑)。
でも、もしかしたらそのなかに、
「あ、これは」っていうものが混じってる
というスケベ心も、あったりもしますし。
谷川 はい。します。
糸井 詩のジャンルというのは、
つきあい方がひじょうに難しいですね。
谷川 例えば原稿とかを送ってくる人が、
いっぱいいるわけですけど、
小説家にくらべれば幸運だと思うんですよ。
詩の場合は、短いから。
小説家はさ、300枚、500枚の長編が送られてきたら
どうするんだろうと思います。
糸井 あ、でもね、小説のほうが
もしかしたらいいかもしれませんよ。
小説って、かたちを要求しますから、
ちょっと読んで、やめようって
思いやすいような気がするんですよ。
谷川 判断できますかね。
はじめをチョロッと読めば。
糸井 でも詩だと「もしや?」っていう気持ちで、
次のページをめくっちゃったり(笑)。
谷川 それはあるんですよね。
最初が「なんだこりゃあ」って思いつつも、
もしかしたら何かがあるのかもしれないな、
というようなことが、確かに、ありますね。
糸井 しかも想像力を巡らせる仕事だから、
労力はかかるんです。
谷川 エネルギーがいりますね。
糸井 いるんですよ、詩を読むときのほうが。
「捨てることはできないな」という程度のものって、
けっこういっぱいあるんです。
だけど「さあ、あなた、これで食えますよ」
となると、もうゼロに。
谷川 もう、ゼロですね。
糸井 以前、谷川さんは宇多田さんのことを
おっしゃってたことがありますけど
詩の形式としてはだめかもしれないけど、
いっそ、歌をうたう女の子たちが自分で書いた詩は
ちゃんと拾うことができるんですよ。
谷川 うん、そうだね。
糸井 その違いって、何だろう?
ものすごく興味深いんです。
きっと、読み手が見えているというか、
そのあたりにあるのかなぁと思うんですけど。
谷川

「詩のようなものを書く人たちには
 
読み手が見えてない」
ということは、すごくありますよね。

糸井 作曲もするし歌もうたうっていう人が、
例えば、浜崎あゆみみたいな人が、詩を書いてる。
どういうときに書くかというと、
歌作んなきゃいけないから書くらしいんですよ。
つまり、詩というものに対する妙な幻想がなくって
「さぁ作んなきゃ」と思って
一生懸命に書くんです。
谷川 そうですね。うん。
糸井 それが、ちゃんと、
「ある理由がわかるわ」
っていう詩になってる。
考えてみるとやっぱりあれは、
大きい意味での人間関係そのものに
熟達してるから書けるのかもしれないですね。
谷川 そうですよ、もちろん。
糸井 言葉の使い方の上手下手じゃなくて、
人間認識とか人間関係を、体で持ってるっていう、
あの違いですね。
谷川さん、最近の歌はどう思ってますか?
いいのはいっぱいありますか?
谷川 いや、ぼくはそんなにもう、
聴く根気がないからね、
ほとんど知りませんけど。
浜崎あゆみさんは、
ぼくは歌はほとんど聴いてないんだけど、
いちど彼女が作詞したものをコピーで、
ぜんぶ読んだことがありますよ。


♪ココをクリックすると、音声を聴くことができます♪
糸井 ええ。
谷川 あの人は、トラウマのようなものを
もっているのがすごくよくわかって。
なんか、強さっていうのかな?
それは感じましたね。
糸井 ぼくはコンサートに行って驚いたんですけど、
形式・様式を上手に踏んだものを、
修練積んでステージやって。
最後に普段着に近いかたちで出てきて、
「ありがとう」っていう言葉を
100回ぐらい言うんですよ。
谷川 へぇー!
糸井 ここにも自我のない人がまたいたよ、と(笑)。
谷川 なるほどね。
糸井 ちぎれんばかりに手を振って、
あらゆる客席のあらゆる場所に向かって、
視線を送って、
叫ぶように「ありがとう」って言って、
終わるんですよ。
これ、やられちゃったらもう、まいっちゃうな。
「私の詩の中にはねぇ」なんていう子には、
あのスタイルは出せないと思って。
谷川 そうね。
いわゆる詩らしきものを書いてくる人たちって、
すごく自分ってものに
こだわっちゃってるんですね。
それで、他人に通じないとこがありますね。
糸井 でも、なおせっていっても、
なおんないですね(笑)。
谷川 なおんないですよ。
短歌や俳句だったら添削きくけどね。


<つづきます。次回をおたのしみに!>

谷川さんのCD「kiss」、
       本日発送作業に入ります


ほぼ日を通じて販売となった「kiss」1000枚、
明るいビルにて、本日発送作業に入ります。
谷川俊太郎さん、賢作さんのサイン入りジャケットも
モチロン、もう到着していますー!
(結局、賢作さんは徹夜されたもようです)
こーんなパッケージに入れて
お届けしますよ!! ジャジャジャーン!


バレンタインデーにぴったりの
キュートなパッケージ♪


さ・て!
「谷川俊太郎さんセレクションのチョコレート
 +直筆特製カードプレゼント」

当選された5名のかたの発表をいたします!
ドルドルドル……。
厳正なる抽選の結果、当選されたのは

※以下のお名前は削除いたしました。


のみなさまです! おめでとうございます。
到着を、たのしみにおまちくださいね!


カードには、谷川さんの直筆で、
みなさまのお名前も入っているんですよ。


「kiss」はCDショップなどで
2月5日より発売されています。
ショップにない場合は、
店頭にてご注文くださるか(商品番号PSCR-6105)、
インターネットの各ショッピングサイトにて
お買い求めくださいませ。
「kiss」をお聴きになった感想を、ぜひ、
postman@1101.comまでお送りくださいね!

「kiss」のポリスターの
スペシャル・コンテンツはこちらです。

2003-02-10-MON


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