新春スペシャル大放談!  タモリ先生の午後 2009 「惜しい」の発見。



糸井 でも、つい目が行っちゃうんですよね。
タモリ 「男好きのする」ジャンルに?
糸井 そう、たとえそれが戦略だと知っていても‥‥。
タモリ シンボリックなところでは「叶姉妹」とか。
糸井 行きますね、目は。

そんな自分が「どうなのか」ということは
さておき。
タモリ ま‥‥さておき。
糸井 でも「だって行くじゃん!」という
言いぶんは
かなり本音なわけじゃないですか。
タモリ 本音です。
糸井 まったくその真逆なんですけど、
ちょっと「ひょろひょろっとしたタイプ」にも
目が行きがちなんです、ぼくは。
タモリ いろんなとこに目が行くなぁ(笑)。
糸井 でも、その気持ちっていうのは、
「つきあいたい」とか
そういう感情でも、ないんですよね。
タモリ うん、わかる。でもね、行くんだよ、目。
糸井 タモリさんも‥‥やっぱり。
タモリ この歳になっても。
糸井 目の行くところは、変わりませんか。
タモリ うん、変わんないよね‥‥そこは。

いや、変わってきてるね。
なんか変わってきてるね。
糸井 変わりますか!
タモリ なんか変わってきてる。
糸井 それは‥‥。
タモリ 若いときは完璧さにあこがれるんですよ、
たぶん。
糸井 ああ、なるほど。
タモリ いまオレ、キンパツにまったく興味ない。
糸井 ああー‥‥。
タモリ ある時点から、ぜんぜん興味なくなったんです。
糸井 正直なご発言で。
タモリ そりゃもう、メッキリと。
糸井 外国の人の悪口を言うつもりなんて、
ぜんぜん、ないんですよね。
タモリ まったくない。
糸井 ただ、ある時点から「ちがうな‥‥」と。
タモリ そう、「完璧」に魅かれなくなるだけ。
糸井 いや、それは深い発言だなぁ‥‥。
つまり「惜しい」に魅かれるようになったと。
タモリ そう‥‥なんと言いますか、
ものごとには「陰影がついてる」ということを
わかるようになってくるんです。
糸井 ははぁ。
タモリ ま、外国人に陰影がないという言いかたも
おかしいんだけれども。
糸井 つまり、表面的な美では、ダメだと。
タモリ あ、そうそう。
糸井 だって、単純にしゃべっている言葉が
わからないだけで、
その人の奥行きがわかんないですよね。
タモリ うん、うん。
そいつの「陰影」がわからないんですよ。
糸井 おたがいにわかる言葉を
しゃべってると思うだけでさ‥‥
なんだろう、
奥底から抱きしめられるというかね。
タモリ ありますね。
糸井 若いときって、気付かないんですけどね。
タモリ 「ショバニシマスカ、
 ウトンニシマスカ」
って聞かれて。
糸井 はぁ(笑)。
タモリ ソバにもウドンにもできないときって
ありますから。
糸井 たとえがずいぶん具体的ですね。
タモリ 具体的に言うこともなかったけれども。
糸井 でもその感じ‥‥わかるなぁ。
タモリ 逆にいうと「ショバニシマスカ」に
ビンビンくる人もいるわけですよ。
糸井 ああ、そうか。若い人とかね。
タモリ どんなヘンタイビデオでも
500本は売れます。
糸井 ようするに、タモリさんが言いたいのは
「どんなジャンルにも
 最低500人のファンがいる」‥‥と。
タモリ そう。
糸井 以前、テレビ局のプロデューサーで、
同窓会から帰ってきた翌日、
ぼくに名言をはいた人がいるんですよ。
タモリ ほう。
糸井 「糸井さんねぇ、
 歳とるっていうのは、いいもんだねぇ。
 自分より年下の女が
 ぜんぶ、オッケーになるんですから」。
タモリ ああ、オッケー範囲が広がるってことか。
なるほどなぁ‥‥その考えはイイよね。
糸井 発想の転換ひとつで。
タモリ 転換ですね、へぇ、そういう考えがあったか。

‥‥って、こんな話でいいのか?
糸井 例年以上にグダグダでお届けしています(笑)。
タモリ グダグダ過ぎるだろうコレは。
糸井 いくら正月とはいえ(笑)。

<つづきます>

2009-01-06-TUE



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