タモリ先生の午後 2008。 「スロー人」のすすめ。


糸井 でもね、ぼく、山下さんにも驚いたんですよ。

音楽家だからなのか、段取りどおりにやるの、
ぜんぜん、平気なんですね。
タモリ プレイスタイルはフリージャズですが。

糸井 うん、まるで譜面を読むように
「じゃ、ぼくはこの役だね」っていうのを
きちんと守ってくれたじゃないですか。
タモリ うん、フリーの人ではあるけれども。
糸井 助かりましたよ、ぼくも。
タモリ ジャズ以外は「フリー」じゃないんです。
じつにちゃんとしているんです、あの人は。
糸井 もし、時間の都合で「もっとまけ!」ってなったら
きっと、そうしてくれたでしょうし。
タモリ ええ、そうですね。
糸井 そのあたりのこともふくめて、
ぜんぶ、ちゃんとやってくださったんで。
タモリ でも実際、ところどころで
けっこうまいたんですよね。
糸井 そうなんです。

なにしろ、冒頭のタモリ教授が終わった時点で
いきなり15分押しでしたから(笑)。

タモリ やりすぎましたか。
糸井 いやいや(笑)。
タモリ でも、山下さんがちゃんとしてた。
糸井 ちゃんとしてた(笑)。
タモリ プレイスタイル以外は、ちゃんとしてるから。
糸井 でもね、あの日、清水ミチコさんも
いらっしゃってたんですけど、
ぼくが平気で
素人っぽいことを聞くじゃないですか。
タモリ うん。
糸井 あれが、はじめての人には
すごくありがたいんじゃないかと。
タモリ そうかもね。
糸井 負けん気が弱いっていうのは
 なんとも助かる」と。

タモリ はっはっは(笑)。
糸井 負けん気が弱いぶん、
「デタラメに弾いてるんじゃないんですか?」
なんていうことまで、聞いちゃうと。
タモリ フリーの人に対してねぇ(笑)。
糸井 すごくおもしろがってくれまして。
タモリ たしかに、ジャズ、はじめての人が
多かったでしょうしね。
糸井 ええ。でも、こういう
クラブ活動みたいなことをやる時期が
来てるんですかね、タモリさん。
タモリ うん、そうかもしれない。
糸井 大学の先生にぜひ、
なんて話とかもありそうですけど。
タモリ ないことはないです。
糸井 あるでしょう。
タモリ でも、オレがなにを教えるんだ、と。
糸井 ‥‥表現の技術、とか?
タモリ そういうのもありますねぇ。

でも、面倒くさいでしょ、それは。
いろいろと考えなきゃならないし。
糸井 中洲産業大学のスタイルで。
タモリ いやいや、あれを毎回はムリだから。



<つづきます>


2007-12-30-SUN