大橋歩さん & 伊藤まさこさんと ほんとうにほしいタオルのはなし。 おまたせしました、「やさしいタオル」再始動です。

その4 「ごわごわ」がうれしいという気持ち。
糸井 今おふたりにおっしゃっていただいてわかった
「ごわごわがうれしい」と思う気持ち、
ぼくら全然忘れてました。
ごわごわはよくないことと決めつけてたのは、
ちょっと違っていましたね。
こういうことって、
勝ち抜き戦をしちゃ、いけなくて、
ごわごわお好きだったらそれでいいし、
っていうふうに考えていかないと。
例えばぼく、年いってますから、
背中に粗塩を塗ってこすってもらうと
ポカポカしてすごい気持ちいいっていう
経験があるんですね。
今はしてませんけど、
子供の時からけっこうしてて。
それって痛いし、ヒリヒリするんだけど、
そこで生まれ変わったような
気持ちよさがあるじゃないですか。
大橋 ああ!
糸井 それがおふたりがおっしゃる
タオルの「ごわごわ」ですよね。
あるいは、お風呂上がる前に、
冬でも足先から水かけると湯冷めしないとか、
ああいう清浄感のなかに
生まれ変わるなにかを見るというのは
非常に日本人的な感じがしますね。
大橋 うんうん。
伊藤 (笑)
ほぼ日 もともと手ぬぐいの人たちですからね、日本。
糸井 そうそうそう。手ぬぐいもそう。
ギュッと絞ってね。
大橋 うんうんうん。
ほぼ日 乾布摩擦なんてしてましたものね。
そういえばフィンランドに行った時、
寒中水泳とかサウナとか、
入ったときに借りるタオルが
とっても硬いんです。
分厚くて、ごわごわ。重い。
マリメッコのタオルでも、そうなんです。
そんなか「やさしいタオル」を
フィンランドにお土産に持ってったら、
あまりに軽くてやわらかいので、
「これはベビー用だね」って。
糸井 なるほど(笑)。
ほぼ日 自分はあのごわごわより、
こっちがいいに決まってる、
って信じてたんですが、
今思うと、100度を越えるサウナに入って、
0度の氷水に入って出てきたフィンランド人には、
「やさしいタオル」じゃ
物足りないだろうと思います(笑)。
伊藤 やさしすぎる。
ほぼ日 はい、やさしすぎる。
ヨーロッパは硬水の土地が多いので、
柔らかいタオルもバリバリになる。
だったらバリバリになって気持ちいい、
ってことを前提に
タオルを作ってきたかもしれないですよね。
柔らかいってことを楽しめるのは、
日本に住んでいるからかもしれません。
大橋 なるほど。
伊藤 すごい納得。
じつは今日にあたって周りの編集の女子に
いろいろ聞いたんですけれど、
やっぱりホテルの業務用のようなものに
憧れた時期があったと。
大手出版社の月刊誌編集部につとめる
31歳の女性なんですけど、
そういうタオルを揃えたんですって。
けれど、じっさいに使ってみたら、
干す場所も取るし、
洗濯にもかさばり過ぎていやだって言うんですよ。
使い心地だけじゃなくて、
使わないときのことも考えるんですね。
彼女、今はMAROBAYAさんの
薄いタオルを使ってるっておっしゃってました。
糸井 なるほど。
伊藤 で、もう1人の人は、
普段は無印良品のタオルを使ってるんだけど、
温泉に行く時は薄いガーゼみたいな
タオルを使っている。
けれどタオルにはあまりこだわってなくて、
実家に行くとキティちゃんの
もう20年ぐらい使ってるボロボロのが出てきて、
「それがうれしいって思うんです」
っていう人もいました(笑)。
私は白くてバリバリしてることばっかり考えて
タオル選びをしてたんですけど、
そうじゃない、
しまう場所がかさばるからいやだとか、
そういうことを考えて
選んでる人とかもわりといて、
面白いなあと思って。
大橋 へぇー。
糸井 面白いね。
伊藤 性格にもよるのかなと思ったんですけど。
糸井 ちょうど重なる話があって──。
ぼくは自分の乗るクルマのこと、
ぐるぐる考えて、
いろんなクルマに乗ってきた結果、
いまはフォルクスワーゲンの
ゴルフにしたんです。
つまりそれは、クルマについて考えるのを、
全部やめたってことなんですよ、
伊藤 へぇー?
糸井 もうクルマのことは、
本当にどうでもいいって心から思った。
そこには「ゴルフでいいや」っていう気持ちと、
「ここまで来たゴルフは偉い」
っていう気持ちがあるんです。
ゴルフって今ベストセラーなんですね。
とんでもなく売れてるんですよ。
大橋 そうなんだ!
糸井 クルマを買う時ってね、
走ってる時、とくに高速走ってる時の気分で
選んできたんですよ。
だけど、実際は車庫に入れたり、
狭い通路からぐるっと回ってきたり、
あるいは変な駐車場でいやな場所しか
空いてないとかって時を全部考えると、
どんどん自分が
そっちを大事にするようになっちゃった。
で、京都で乗るクルマをゴルフにしたんです。
それは道が狭いからそうしたんですけど、
東京でもこれでいい、って
思っちゃったんですよ。
いまゴルフが売れているってことは、
みんなそういう気分なんだろうな、
と思うんですね。
つまりね、
「使ってる時以外のことを考える」
っていうのは、今の特徴じゃないかなって。
タオルなら、洗濯でどうする、
しまうでどうする、
干すでどうするみたいな、
そういう総合点でみんな選んでるなあって。
伊藤 そうなんです。みんな、
洗う時に洗濯槽の中に
バスタオルは2枚ぐらいしか入らないとか、
しっかりいろんなことを考えてる。
大橋 まあ。
伊藤 編集者だからかなあ? とか(笑)、
思ったんですけど。
糸井 てことは伊藤さんは、
洗濯機の中にあまり入らなくても、
回数やればいいやって、
自分を鍛えちゃったってことですよね。
伊藤 なるほど、そうですね。
糸井 スーパーマリオ型ですね。
つまり‥‥またわかんない話をしてすみません。
ドラクエ型とマリオ型があるんです。
伊藤 (笑)わかんない。
糸井 ドラクエ型って、
「君はこれだけできるようになったから、
 レベルが1個上がったよ」とか
「またこれだけ貯金をしたから、上がったよ」
っていう成長のしかたをするんですけど、
マリオにはレベルなんかないんです。
ゲームの中のマリオが成長するんじゃなくて、
マリオを動かしている自分が
上手になるってことなんです。
大橋 うんうんうん。
糸井 だから、洗濯機で不便でも、
自分が2回やればいいじゃない、
っていうのがマリオ。
自分をセットで考えるんですよね。
だから、ものぐさじゃない人は
不便なものを平気で使えるし、
カッコよければ重くても持つし。
大橋 ああ、言えてます(笑)。
わたしもそうです。
糸井 でも「こんな重いの持てない」というのが
今なんだと思うんです。
面倒くさがりじゃないんだ、
2人とも多分。
伊藤 すごい発見が(笑)。

「使ってる時以外のことを考える」こと、
ものをつくっているなかで、
うっかり忘れがちなんですよね。
それこそ「使い手」の声なのに。
なんだかいろんなことがわかってきたところで
次回につづきます!
2010-10-07-THU

まえへ
このコンテンツのトップへ
つぎへ