高森共子さんと、あみぐるみ。

初心者あややの買い物一人旅

こんにちは、まだあみぐるみの「あ」の字も進んでいない
あややです。でも、ほら、先日は
高森先生のところへ行って“押しかけ弟子入り”してきたし、
時間だって、応募まであと2ヶ月もあるし、
とりあえず一安心かなー?
と、ぼーっとしていたら、姑化したシェフ武井が一言。
「あややさんっ! あみぐるみを、
 甘くみるんじゃありませんっ!
 だいたい、あなた、昨日、ひとりごとで
 『あみぐるみで毛糸のパンツ編もうかなー』なんて
 とんちきなこと言ってたでしょ!
 毛糸のパンツはあみぐるみじゃ、ありませんっ!」  
きゃー、ごめんなさいお母様。
そうか、2ヶ月って一見長そうだけど、
編み物というものにまったく触れたことのない
初心者のあややには
長いどころかむしろ短いんじゃないの!?
というわけで、急にあせってしまったあややは
ふたたび、高森先生のところに相談に行ってきました。

高森先生、「天使くん」を作るために、
まずやらなくてはいけないことはなんですか!?
わたし、すっごく、焦ってて、
なにから始めたらいいかわからないんですっ!

「あややちゃん、毛糸は、買った?」

……毛糸!? ま、まだでした……。
そうですよね、毛糸がなくちゃ、始まらないですよね。

「そうです。まず、毛糸を買いましょう!
 あと、道具もそろえないとね。
 何も持っていないんでしょ?」

そりゃ、そうだ!
生まれてはじめてのあみものだもの。
まずは道具やら何やらそろえるところからの
スタートだわー。
でも、道具って、なにが必要なんでしょう?
そういう間抜けな質問をするわたくしに、
高森先生はあくまでもやさしく、

「わかりました!
 あややちゃんのために
 私がお買い物リストを作ってあげましょう!」

と。先生、ありがとうございます!
そんなわけで、高森先生に何を買えばいいのか、
お買い物リストを作ってもらいました。

<高森先生によるお買い物リスト>
1.毛糸:並太以上で好きなものを2玉
2.かぎ針:5号以上。毛糸の太さに合わせてね。
3.毛糸用縫い針
4.まち針:もちろん毛糸用のね。
5.化繊綿:ぬいぐるみ用。
6.目に使うフェルトまたはボタンと、
  口に使う刺繍糸。

「この他に、ハサミもあるけど
 それは買わなくてもいいかなあ。
 まち針もふつうの布用まち針でもいんだけど、
 毛糸用のが針が太くて長いから使いやすいよ。
 化繊綿の量はあみぐるみの大きさによって違うけど、
 200グラムもあれば十分かな」

高森先生ありがとうございます!!
このリストさえあればひと安心!
あとはいざ手芸屋さんへGO! なんだけど、
どこの手芸屋さんに行ったらいいのかなあ?
先生どこかおすすめの手芸屋さんはありますか?

「やっぱりユザワヤさんかな〜。
 前にみねさんとシェフ武井も行ってたでしょ。
 あそこだったら、品揃えもよくて
 欲しい毛糸は何でも手に入るよ」

わかりましたっ。
思い立ったら吉日、
さっそくあややはクリスマス前のとある午後、
蒲田のユザワヤさんに行ってきました。



ユザワヤさんはあややが想像していた手芸屋さんの域を
はるかに超えていたっ!!
だって1号館から11号館まであって、しかも通りの名前まで
「ユザワヤ通り」っていうんですよ!?
“おもちゃ館”やら“ランジェリー館”やら
あまりにも“なんとか館”が多すぎて、
毛糸を売っていそうな館が見当たらない・・・。
超方向オンチな上に、これほどたくさんの館があると
いったいどこに入ればいいのやら、
しばしボー然とたちすくんでしまいました。
そんなとき、高森先生の一言を思い出しました!

「ユザワヤさんって、すごく大きくって
 迷っちゃうかも知れないけど、
 ディズニーランドみたいなマップがあるから、
 それを見れば、どこに行ったらいいのかわかるよ」

そうだ!
まずはマップをゲットせねば!
とりあえずいちばん近くの館に入り、
レジのお姉さんに聞いてみると、
高森先生のお言葉どおりありましたよ、
ユザワヤマップ! それを調べてみると、
あった〜〜〜“6号館・手芸館”!!
ここに行けばいいのねー。

そんなわけで、手芸館に無事到着して、
いざ毛糸選びスタートです。
クリスマス前の毛糸売場は
カップルのお客さんが大勢いましたよ。
「ねえタクぅ、どんな色がいいのー?」
「そうだなあ。渋め、がいいなあ?」
「これなんかどぉぉう?」
「さっすがミッチ! センスばっちりだよー」
なんて、仲よく彼女が彼のために編む毛糸を
選んでいました。けっ。……あ、ウソです、
「微笑ましいわ、おほほほほほっ」
と思いつつ、あややは1人、
毛糸売場を探索してみました。

しかし、毛糸のあまりの種類の多さに
何を選んでいいのかさっぱりわからない!
最初は高森先生のお買い物リストにあった
「好きな毛糸で“並太以上”」
というお言葉だけを頼りにぐるぐる回ってみました。
そこで気づいたのは、
毛糸ってほんとにそれだけでかわいい〜〜!!
もう存在だけでかわいいんですー。
どれもこれもかわいいものばかりで
あれも欲しい、これも欲しいでいっこうに決まらず。

そんな中、あややの中にひとつ疑問がわいてきました。
各毛糸に「極細」とか「並太」とか「極太」とか
表示されているけれど、
糸の太さにそんなに違いはないように見える。
これって本当に糸の太さに違いはあるの?
疑問をそのままにしておけない性格のあややは、
ユザワヤのおばちゃんに聞いてみました。

「あんた、よく見てごらんよー。
 太さが全然違うじゃないかー。
 うどんとそうめんとおんなじだよ。
 あれだって太さが違うだろ?
 毛糸にも太さの違いはあるのさ。
 それに、糸の太さによって
 出来上がりが全然違ってくるんだよ。
 セーターだって太い糸で編めば分厚くなるし、
 細い糸で編めば薄いセーターになるんだ。
 あと、一玉の長さだって太さによって全然違うよー。
 細い糸なら一玉300メートル以上のものもあるし、
 逆に一番太い糸だったら
 一玉30メートルくらいしかないものもあるんだから」

なるほどー。べらんめえだけど親切なおばちゃん、
ありがとう!
“うどん”と“そうめん”とか言われたら
なんとなくわかったよ。
カウチンセーターのような厚手のセーターと
薄手のセーターの違いって糸の太さの違いなのね。
糸の太さによって、できあがりの雰囲気が
ぜんぜん変わっちゃうんだろうなあ。
あみぐるみだったら、わたしは、太い糸の方が
断然かわいいと思う! だから高森先生も「並太以上」と
条件をつけたんだ。

太さのことは納得できたけど、
これだけ大量の種類の毛糸があると、
どれを選んだらいいのかなあ、困っちゃうなー。
ここであややは初心にかえることにしました。
それは、
「わたしは、どんな天使くんを作りたいのか?」
ということ。

これを基準に毛糸を選ぼう!
あややが作りたい天使くんは、ずばり
“ポップな天使くん”。
ポップと言えば、色は明るくパステルカラー。
というわけで、“あややが思う”ポップな毛糸を
選ぶことにしました。

ラメが入った毛糸とか、モヘアの毛糸とか
タオル生地っぽい素材毛糸とか
ポップな毛糸もほんとに種類がいっぱい!!
でも、「いいなあ」と思うものはたくさんあるけれど、
なかなかこれだ!と思うような相思相愛の毛糸には
出会えないものなんですね。
もうかれこれ2時間以上、毛糸売場を
グルグル回っているけど・・・困ったなー。

と、そのとき、
神々しく輝く一つの毛糸に目がとまりました。
薄いクリーム色とでもいいましょうか。
一瞬でひとめぼれしてしまった!!
何よりも、この毛糸で作った天使くんが
あややには想像ができたんです!!
しかもあややの作りたい天使くんのイメージに
ぴったりで!!
これに決めるきゃないでしょー。
あとはこの毛糸に合わせて羽の色も選ばなくては!
そうしたら、これまたちょうどいい色が
同じ種類の毛糸の色違いであるじゃないですか。
黄緑というか、明るい草餅色。
“草餅色”と言うと、
なーんか全然ポップじゃないじゃん!と思うでしょー。
それが、クリーム色の毛糸との色合いが
なかなかナイスだったんだなあ。



そんなわけで、さんざん悩んだ末に
毛糸選びは無事終了。
決まるときはあっけなく決まるものなんでした。

さてさて毛糸は決まったし、お次はなんだっけ?
とリストを取り出し、2番は“かぎ針”だ。
針売場へ移動!

もう一度、リストをよく見ると、
おや?
“3番・毛糸用縫い針”、“4番・まち針”
って書いてある。
なんで針が3種類も必要なの?
疑問をそのままにしておけないあややは
ユザワヤのおばちゃんにまたまた聞いてみました。

「使うところが違うんだよ。
 かぎ針っつうのは、編むときに使って、
 毛糸用縫い針は最後に腕とか胴体の部分とかを
 つなぎ合わせるときに使う針。
 そんでまち針ってのは、
 こことここを縫い合わせますよ
 っていうしるしに使うのさ」

えっとー、じゃあ縫い針は私も持ってるなあ。
高校生のとき学校で買った気がする。

「縫い針って言っても、綿糸用じゃダメだよ。
 よく見てごらんよ。
 毛糸用の縫い針は穴が大きいだろ。
 綿糸用針じゃ穴が小さすぎて毛糸は通らないよ
 それと、毛糸用の縫い針は先が少し丸いだろ。
 これは毛糸の素材を壊さないために
 丸くしてるんだよ」

おっ、初心者あややにこれは盲点。
そうか、たしかに綿糸と毛糸じゃ全然太さも
素材も違うもんね。
同じ針じゃダメだよね。

それぞれの針の用途がわかったところで
じゃあ、まずはかぎ針から選ぼうっと。
さっき買った毛糸は並太で
針は5〜7号って書いてあったから、
かぎ針は5号以上のものを選べばいいんだな。
おっ、ここでまた新たな疑問が。
かぎ針は各袋に1本しか入っていない!
編み物と言えば、おばあちゃんやお母さんが
編んでるときは、いつも両手に針を持って
ハの字型を作って編んでいたような・・・。

「それは棒針だよ。
 かぎ針は1本だけで編むのさ。
 棒針は左側の目に毛糸を通して、編み終わったら
 右の棒に移して、
 どんどん編み目が重なっていくように
 編んでいくのさ。
 かぎ針は編み方はいろいろだけど、
 1本でくさりを編んで、
 そのくさりが編んでいくうちに
 どんどん下に落ちていくようになるんだよ」

ほお〜〜。
これまた勉強になりましたわ。
やっぱりわからないことは聞いておくもんだねー。
ということは、かぎ針は1本でいいんですね。

「あんた、かぎ針も5号と9号を
 よく見くらべてごらん。
 先っちょのかぎの部分が5号にくらべて9号の方が
 だいぶ大きいだろ?
 先が大きければ大きいほど、
 太い糸をひかっけることができるんだよ」

ということは、あややがさっき買った毛糸は
5号から7号のかぎ針に
ちょうど合う太さってことなんだー。

「あんた、編み物はじめてなんだろう?
 だったら、“両かぎ”にしときな」

“両かぎ”?

「片方の先が5号で、もう片方が7号ってことさ。
 1本で5号も7号もついてれば、
 5号がダメだからって
 7号をもう1回買いなおす必要がないだろう。
 かぎ針は大事に使えば一生もんだよ」

そんなこんなでおばちゃんのアドバイスにしたがって、
5号と7号の両方がついている
“両かぎ針”を買いました。
毛糸用の縫い針も、まち針もちゃんと買って、
さあ、最後は中につめる綿と
目につかうフェルトかボタンと口に使う刺繍糸だな。

目と口は、毛糸がクリーム色だから、
黒より茶色がいいなー。
目はあややはボタンよりフェルトにしたよ。
その方が色がえらびやすかったんだー。
口の刺繍糸もフェルトの色に合わせて茶色にして、
お買い物終了!!!

ちょっと時間がかかったけど、
はじめてのお買い物にしては、
どれも納得して買ったものばかり。
上出来、上出来。

最後にあややにずーっとアドバイスをくれた
親切なおばちゃんが
またまたナイスなアドバイスをくれました。

「あんた、はじめのうちは器用とか不器用とか
 そんなこたぁ、関係ないんだよ。
 ひたすら編みつづける!これに限るね。
 練習あるのみさ。
 そんで、失敗したら、
 その毛糸はたわし代わりにして
 食器でも洗えばいいのさ。
 とにかく数多く編むんだよ、わかったね」

失敗した毛糸で食器を洗うんですね・・・
その食器で食べると、繊維をたくさん吸収して
お通じがよくなりそうですね・・・
おばちゃん、すてきなアドバイスありがとう!!!

そんなわけで、無事お買い物も終了したし、、
次回はいよいよ高森先生が作ってくれた
“天使くん”の設計図を発表しますよー!!
お楽しみに。

それでは、また!

あややでしたっ

あみぐるみコンテストの応募要項は、
 こちらをごらんください。

2000-12-28-THU

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