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10月5日より、T-1ワールドカップで、
Tシャツの販売がはじまります。
T-1ワールドカップは、
もっとも多く売れたTシャツが優勝するシステムです。
どのTシャツを選ぶか、みなさんは、もう決まりましたか?
T-1のサイトで、
Tシャツの細部を眺めてじっくり選んでくださいね。
あれあれ、今日は
T-1のTシャツ制作のお手伝いと取材のお手伝いをした
シロ子さんとグレ子さんが、
T-1販売開始を前に、なにやらお話ししているようすです。
こぼれ話を、ここでちょっと
盗み聞きすることにしましょう。


グレ子
Tシャツのデザインを受け取ったり
プリントの確認に行ったり
撮影に行ったりで、
出場者のみなさんの事務所に
たくさんおうかがいしましたね。

シロ子
しましたね。
‥‥すごかったっすね。

グレ子
デザイナーさんの事務所って、
あたりまえだけど、すごくキレイでね。
いちばん驚いたのが、
佐藤可士和さんの事務所です。


シロ子
まず客人に出す「お茶」が
お茶じゃなくて水じゃなくて
ペリエでしたよね。

グレ子


それに、ドアがビョーンって、
横に開くんですよ。
ミーティングテーブルには
傷がひとつもないし。
朝いちばんに打ち合わせに行ったら、
スタッフの方が‥‥

シロ子
そうですよ‥‥スタッフの方が、
パソコンにつながった
コード一本一本に至るまで
雑巾がけをしていました!
あの事務所は、おかしなんかを不用意に
机の上に出して仕事できないですよね。

グレ子
スタッフの人も
「おかし? そうですね、
 食べるときは、そっと食べます」
とおっしゃっていました。
可士和さんの事務所は、
社内全体がパソコンの内部のような考え方で
整理された空間になっていまして。

シロ子
打ち合わせに行ったわたくしたちは
さしずめ、そこに侵入したウィルス、と、
そんなかんじでしょうか。
でも、その整理のしかたに、なんだか
可士和さんのイキイキとした雰囲気が
にじんでいて、
乙女心がキュンとなるんですよね。
美しいといえば、青木克憲さんの事務所!!
あそこは、広かったっすね。


グレ子
大きーいテーブルに
ポッツーンと数名で座ってね‥‥。
最初に打ち合わせに行ったとき、
青木さんたら、企画書にメモをするのに
油性のマジックペンを使っていましたよ。

シロ子
あああ、そうだった。
油性の、しかも茶色でメモしてました。

グレ子
ふと横をみると、
青木さんの事務所のスタッフの方も
青い油性マジックでキュッキュッと
コピー用紙にメモを取っていました。


シロ子
社風なのかもね。

グレ子
命令なのかもね。

シロ子
でも、青木さんはあんなにかっこよくて
自信満々で決断が早いのに
「いま女の子に人気があるのは
 淡い色ですよねー」って
ふと、言ったら
「え? もう一回言って?」
と、おっしゃって。

グレ子
おっしゃっていましたね。
乙女心がキュンとなりましたね。
秋山具義さんの事務所も、最上階で
すごくキレイなんですよ。

シロ子
あそこは、テラスみたいな場所があって、
ビアガーデンができるんですよね。
チカチカ電灯がついて、最高です。


グレ子
秋山さんの事務所は
おしゃれタウンにありますから、
打ち合わせの帰りに、
洋服屋さんに寄ろうと思ったんです。
場所がわからなかったから、
洋服屋さんの隣に目印のようにあると聞いていた
ラーメン屋さんの場所を秋山さんに訊ねました。
そうしたら、渋谷やら恵比寿やらいろんな場所の
ラーメン屋さんを
どんどんどんどん教えてくださって。
「ここのゆず塩ラーメンが
 おいしいから、食べてけ」
って。

シロ子
洋服屋さんに行きたいのに!
ラーメンのことは訊いてないのに!

グレ子
鉛筆でサラサラーッと
何軒ものラーメン屋さんの地図を
秋山さんみずから手描きしてくださって、
「ラーメン屋さんについて訊ねたわけではない」と
言い出せなくなってしまいました。
しかも、ラーメンを食べたあとの
ダイエットのサプリメントまで
強く勧められました。

シロ子
でも、そういう
東京下町の生まれのアニキ肌は
秋山さんの魅力ですよね。


グレ子
乙女心がキュンとなりますね。

シロ子
井上嗣也さんの事務所もすごかったっすね。
T-1サイトのインタビューにも出ましたけど、
あの本の積み方!


グレ子
それに、初対面のとき、
いきなり何をおっしゃったか、憶えてます?

シロ子
憶えてますよ。
「ビューンって空を飛ぶイカがいるの、
 知ってる?」

グレ子
「し、知りません」

シロ子
「ね? 世の中、知らないことだらけですよ」
って、おっしゃいました。
企画書片手に、その場に居合わせた一同あんぐり。

グレ子
続いて、うちの女性スタッフがひとり、
カモメについての詩を朗読しはじめました。

シロ子
そうそう。突然、
「ここのページ、読んでみて。
 ぐふふふふ」
と、嗣也さんに言われて。

グレ子
そのあと、おもむろに石を出してきて
「9000万年前の水がここに溜まってるんだよ。
 こんな石とかにしたら、
 スケジュールなんてどうでもいいんだよ」
と、言い出されて‥‥。

シロ子

そんな話をするうちに、
どんどん日が暮れていくんですよ。
「いま、きてるのは、太陽だよ。
 太陽、カッコいいよね、太陽。ね?」
と言われたこともありました。



グレ子
ほんと、楽しかったなぁ。
そんな嗣也さんですが、最後には必ず
エレベーターホールまで
皆を送ってくださるんです。

シロ子
乙女心がキュンとなりますね。

グレ子
のっけから驚かされた人といえば、
トム・ヴィンセントさんですね。
初回の打ち合わせのとき、トムさんに
「Tシャツをデザインしたことありますか?」
と訊ねたら、
「あんまりないです」

シロ子
「"あんまり"とは、つまり
 どういうことですか?」
と突っ込んで訊いたら
「いま、日本的にお答えしてみました」
って(笑)。
「イエス・ノーじゃなくて、
 "あんまり"とか言うでしょ、日本は」
とおっしゃって。
実はTシャツをつくったことがないのに、
あえて"あんまり"!

グレ子
わたくし、メールを出すときに気を遣って
ひらがながたくさん混じった
平易な文章を書いていたら
バリバリの漢字メールがバーッと返ってきました。
「お世話になっております」とか
「それではご査収くださいませ」などは、
あたりまえでした。

シロ子
トムさんの事務所は大きいんだけど、
閑静なところで、
なんだか迷いやすいんですよね。


グレ子
4人でうかがったりすると
2人くらいは迷って遅刻してしまう。
「近くには、いるんですけど!」
と、連絡しながらさ迷い歩くんです。

シロ子

そんなとき、トムさんはいつも
心配してくださってね。


グレ子
やさしいんですよね。

シロ子
やさしいんです。
乙女心が、

グレ子
キュンとなりますね。

シロ子
キュンとなるといえば、大橋歩さんですね。
雑誌「アルネ」の世界
そのままのような事務所でした。

グレ子
憧れの神様みたいな方ですから、
緊張して緊張してガチガチになっていたら
「私のほうが緊張してしまって、ごめんね」
とおっしゃって、卒倒しそうになりました。


シロ子
泣けましたね。

グレ子
泣けました。
大事に使い込まれたテーブルと、
絵本に出てくるような陽あたり。
目の前にいるのは、
おかっぱで、鮮やかなブルーのシャツを着た
目がキラキラの、大橋さん。
夢みたいでしたよ。
ずーーーっと、長居しそうでした。


シロ子
ほんっとに、かわいい方でした。
Tシャツの話をしていると止まらなくて
「あの、バイクに乗ってる子たちが
 宣言を書いたようなTシャツを着てるけど、
 あれは何かしら?!」
とおっしゃっていて。

グレ子
根っから、Tシャツがお好きなんですよ。

シロ子
事務所には、女性スタッフがふたり
いらっしゃって
しっとりした空間でしたね。
「アルネ」があるね、あそこには。

グレ子
「アルネ」があるねぇ。
出されたお茶がまた、
おいしくておいしくて。

シロ子
乙女心がね‥‥。

グレ子
深澤直人さんの事務所は、
インタビュー収録のとき
とても大勢でおしかけたのですが、
スタッフ全員が座れるように
椅子を運んでくださったうえに、
新品のミネラルウォーター+コップ+氷が
ひとりずつに出されました。
田舎から出てきた子どものように感動しました。

シロ子
お水を出してくださるときに
「ガス入りになさいますか? それとも
 ガスなしにしますか?」
とひとりずつに訊いてくださって、
これが都会というものじゃな、と思いましたね。
それに、考えられないくらい
おっきいテーブルがありました。


グレ子
ありました、ありました。
深澤さんは、とてもテキパキした方で、
噂どおりの理論派、それゆえの感覚派。
こちらが1訊ねたことを
800くらいにして返してくださって、
それが、すごくおもしろいお話ばかりで。
ほんとうに感動しました。


シロ子
スタッフのみなさんは、
帰るときに、出口に並んで
「さようなら、ありがとうございました」
と挨拶してくださって、とてもすてきでした。

グレ子
深澤さんのまわりにいると、
みなさんすてきになってしまいますね。

シロ子
乙女心をキュンとさせるマジックを
持っていらっしゃいますね。

グレ子
深澤さんは、
イメージどおりの方だったのですが、
佐藤卓さんは、ちがいました。

シロ子
どんなふうに思っていました?

グレ子
もっとインテリのバリバリの
近寄りがたい大御所‥‥。

シロ子
卓さん、
めちゃめちゃエネルギーのある方ですよね。


グレ子
テンションが高くバイタリティがあり
いっっっっっろんなことを
考えていらっしゃる。
やはり、こうでないと
あんなお仕事はできないですよ、と
魂がうちふるえました。
乙女心などの騒ぎではないです。

シロ子
テープおこしをしたインタビューの文字量も
卓さんと深澤さんが圧倒的に多かったです。
ここは、もういわずもがなですが、
事務所がすてきでしたね。

グレ子
入ったらまず、ハテ、どちらが入り口?
歩いていたら、おっとこちらはつきあたり。
なんて、すごく楽しかったですね。
また、行きたいなぁ。


シロ子
行きたいですね。

グレ子
卓さんの事務所だけでなく、どこも
これぞトップデザイナーのオフィスなり、
というかんじの、洗練された空間でしたね。

シロ子
デザイナーさんの事務所って
あらためて並べるとすごいですね。

グレ子
さ、最後に残った方は。

シロ子
洗練されたデザイン事務所とは
ひと味ちがうかもしれない空間でお仕事の
祖父江慎さん‥‥。

グレ子
どちらかといえば、書店の倉庫でお仕事
‥‥ってかんじでしたよね。
で、シロ子さん、合計何時間いました?

シロ子
グレ子さんこそ。
予想はしていましたが、この方が
Tシャツデザイン案の
最後の提出者でいらっしゃいましたね。

グレ子
しかも、ブービー賞の人を
ダントツで引き離してね‥‥。

シロ子
打ち合わせのとき、〆切の日付の下に
「ふん、ふん、うん、うん」と頷きながら
ものすごく太い線を引いてらっしゃったのに。


グレ子
打ち合わせ中、テーブルの上に
突然生きものを放したりなさったりして、
結局は頭に入っていなかったようでしたね。
わたくし、最終のデザイン受け取りのときに
何時間か祖父江さんの事務所ですごしまして
いろんな方とご挨拶しながら
アガリを待ちました。
完成して、お話しをしているうちに
「あ、チョコッとこっちを直しちゃおっかな!」
と手直しをされまして、
「この色指定のチップ、貼ってくれるかな?
 どっちがどっちの色かわかるかなー?
 ア、正解♪、正解だー♪(小躍り)」
というのをくり返しまして。
ずいぶん長く私なんかとお話しされるなぁ、
と思っていたら、
その間に提出用のフロッピーを焼いたり
控えのコピーをとったりなさっているんですよ。

シロ子
うわははははは。

グレ子
おしゃべりはいいんで、
そういう作業に集中しちゃってください、
と思うんですが、
こっちもおしゃべりしながら
指定を書き込んだり確認したり
封筒を閉じたりするのを
一生懸命手伝っちゃって。
さあ、「じゃ、デザインお預かりしますね!」
と帰ろうとしたときに
祖父江さんがいつのまにか着替えていたんですよ。

シロ子
うわははははは。

グレ子
玄関で笑顔で
「じゃねー! えへへへ」と
小躍りで見送ってくださる祖父江さんが
着替えている。
おっかしいなぁ、と思ったんですが、
事務所を出て道を歩いた3分後、
インクの種類を
確認しなければいけないことに気づいて
携帯から電話をしたんです。
そうしたら、スタッフの方が
「祖父江は出張で、
 最終の新幹線に乗るようでして、
 いま出て行きました」
と、ごく普通のトーンでおっしゃいました。

シロ子
うわははははは。

グレ子
急いでいるなら、そう言ってくださいよ、と
思いました。
祖父江慎さんといったら、
グラフィックデザイン界のスーパースターですよ。
このとき、乙女心がね。

シロ子
キュンとなりますねぇ‥‥。


クロ子
おいおい、おまえたち。

ふたり
あ、クロ子にいさん。

クロ子
もう乙女心と言っている年でもなかろう。
もうじき販売がはじまるぞ。
落ち着いたように見えるがな、
俺はものすごくドキドキしてんだぞ。

シロ子
知っていますよ。
だってクロ子さん、泣きそうだもん。
昨日も意味なく
コーヒーを口から噴出していたもん。

クロ子
9人の出場者のみなさんが
心臓バクバクしてると思うとな。

グレ子
そうですね。
いよいよですね。

クロ子
いよいよ、幕が、開くな。
T-1ワールドカップでは、明日から
Tシャツの販売がスタートします。
サイト内の、プリントのアップの写真や
着用写真をじっくりごらんになって、
できれば今夜のうちに
心を整理しておいてくださいね。
それでは、また!


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2005-10-04-TUE