翻訳前のアメリカ。
そのあたりのこと、現地ではどんな感じ?

 

第二十七回配信 お宝の値段

アメリカの観光地に行くと、
有名人のサイン入り商品を扱うお店が結構あります。
扱っているものはおおまかにエンタテインメント関連、
スポーツ関連、歴史関連でしょうか。
さらにニューヨークやロサンゼルスなどの大都市では
細かいジャンルことのコレクターショップがあり、
マニアや観光客があつまる界隈に店を構えています。

すずきちが冷やかしたことのあるお店だけでも、
ニューオリンズのヴィンテージ429
ラスベガスのガレリア・オブ・レジェンズ
ロサンゼルス(ユニバーサルシティ)の
オールスター・コレクティブルズ(スポーツ専門)
等があります。

ヴィンテージ429はニューオリンズという土地柄か
音楽関連のものが非常に充実しています。
特にアーティストのサイン入りギターには
凄いものがありました。

ジミー・ペイジ、キース・リチャーズ、ジェリー・ガルシア、
カルロス・サンタナ、ジェフ・ベック、
エリック・クラプトン、ピート・タウンゼント、
ブルース・スプリングスティーン、
エディ・ヴァン・ヘイレン、スティービー・レイ・ボーン
他の想像を絶する豪華アーティスト全員のサインが入った
ストラトキャスター1本 25000ドルを筆頭に、
ポール・マッカトニーのサイン入りベースギター8500ドル、
ボブ・ディランのサイン入りギター         5500ドル 
などたくさんあります。

それから、サイン入りLP盤も当然豊富です。
以下、全て本人のサイン入りで、グループの場合は当時の
メンバー全員のサイン入りのアルバムです。
 レッドツェッペリン『レッドツェッペリン』 2250ドル
 ジョン・レノン『イマジン』         4000ドル
 ボブ・マーリィ『ライブ!』         2500ドル
 スティーヴィー・レイ・ボーン
 『テキサス・フラッド ブルースの洪水』 1500ドル 
 クイーン『世界に捧ぐ』          1395ドル

 ピンクフロイド『雲の影』          895ドル
 ボブ・ディラン『グレーテストヒッツVol.2』895ドル
 ブルース・スプリングスティーン
 『ボーン・イン・ザUSA』           995ドル
 マドンナ『ライク・ア・バージン』      595ドル
 イーグルス『ライブ』             795ドル

こうしてみると故人もしくは故人となったメンバーの
サインが入ったアルバムとそうでないアルバムとの間に
明確に価格の壁があることがわかります。
存命中のアーティストのアルバムには
1000ドル以上の値段はつかないようですね。
ちなみに『レッドツェッペリン』にはちゃんと
故ジョン・ボーナムのサインも入ってます。
一方、995ドルをつけたスプリングスティーンは、
ほとんど現人神レベルってとこでしょうか。

以上はビンテージ429のウエッブサイトでも確認できる
目玉商品ですが、実際のお店の片隅には、
サイン入りLPだけを普通の中古盤屋さんのように並べて、
20ドル程のお手頃な価格で売っている一角もありました。
安い!と思って一生懸命そのコーナーを漁ったのですが、
そこで見つけたのはのは確か、
マイケル・ボルトン、ポーラ・アブドゥル、ジノ・ヴァネリ、
デビー・ギブソン…
もし既にサイン入りのレコードを持ってたとしても
うっかりゴミの日にだしちゃいそうなラインナップ。
中にはサイン入りのLPなのに、
本当に普通の中古盤屋なみに
在庫が2枚以上あった人もいました。
ファンのために気さくにサインしてあげた結果、
そのサインが流れ流れてニューオリンズのお店の片隅で
晒しものにされるなんて、なかなかつらい人生です。

さて、スポーツ関係のお宝ですが、
ラスベガス、アラジンホテル内のショッピングモールにある
ガレリア・オブ・レジェンドに珍しいものがあったのを
覚えています。
ジョー・ディマジオとマリリン・モンロー
二人のサインが入ったボール         4000ドル。
世界に3個しかないもの内のひとつらしいのですが、
意外にお買得な価格設定ですよね。買いませんでしたけど。

そもそも野球のサインボール自体は一般的にそんなに
金額が張るものではないらしく、
移籍契約総額2億5200万ドルの男
アレックス・ロドリゲス(テキサスレンジャーズ)169ドル、
超精密機械投手
グレッグ・マダックス(アトランタブレーブス)189ドル、
王貞治の前のホームラン記録保持者
ハンク・アーロンですら179ドルです。

別格はヤンキースの大投手ロジャー・クレメンスで279ドル、
さらにその上を行くのがジョー・ディマジオ。
普通のサインボールでも499ドル。
ユニバーサルスタジオがあるユニバーサルシティの中の、
オールスターコレクティブルズというお店での価格です。

そういえば、イチローのサインボールが
ラスベガスで 1個500ドルだったのを思い出しました。
ジョー・ディマジオに1ドルですが勝ってます。
不謹慎な想像ですが、イチローと弓子夫人と
二人でサインしたボールがもしあったら、
いったいいくらの値段がつくんでしょうね。

オールスターコレクティブルズには、
野球のサインボールの他にも、
様々なスポーツ選手のサイン入り商品がありました。

アイスホッケーのかつてのスーパースター、
ウェイン・グレツキーのサイン入りのユニフォーム
(LAキングス)額入が            999ドル。
NBAマイケル・ジョーダンの
サイン入りユニフォーム(シカゴブルズ)を
トレカのセットと一緒に額装したものが 2895ドル。
女子サッカーワールドカップで優勝した 
アメリカチームのストライカー 
ミア・ハムのサイン入りユニフォーム   399ドル。

こういった商品が流通するシステムとしては、
選手のキャラクター商品のビジネスと
同様の形態がとられます。
例えば、ベースボールカードビジネスの代表的な企業
アッパーデックは、
マイケル・ジョーダン、タイガー・ウッズ、
ケン・グリフィーJr.など多くの一流スポーツ選手と
契約しています。
具体的には、マイケル・ジョーダンのユニフォームの
忠実なレプリカをアッパーデックが一定の数量用意し
本人がそれにサイン、サイン済みのユニフォームのまわりに
トレーディングカードをちりばめて美しく額に入れ、
シリアルナンバーを入れて証紙を貼り点数限定で、
各地のコレクターショップおよびオンライン上で
販売するというようなビジネスです。

こういった各種サイン入り商品を扱っている企業が
全米に数社存在し、さまざまなアイディアが盛り込まれた
商品が開発されています。

例えば、アッパーデックのサイトでは、
ソルトレイクシティー デルタ・センターの床板に
マイケルジョーダンのペインティングを施してなおかつ
ジョーダンがサインしたものが、
彼の背番号23にちなんで限定23点、 
7999.99ドルで販売されています。
デルタセンターは、97年そして98年のNBAファイナルで
シカゴブルズとユタジャズが2年続けて死闘を演じ、
98年ファイナルの最終戦でジョーダンが
逆転決勝シュートを決めた地だそうです。

ちなみにデルタ・センターは多目的アリーナで、
スケート場にも早変りできるようになっており、
床板を取り外すこと自体はそう難しくないそうです。
ソルトレイクシティ・オリンピックでフィギュアスケートの
会場となった「ソルトレイク・アイスセンター」とは、
実はデルタ・センターだったんですね。

だからといって、どうやったら
敵地のアリーナの床板を
しかも 23なんていう半端な数で入手して、
絵まで描いて商品化できるのか不思議ですが、とにかく、
バスケットボールのコートの床板までも商売のネタにする、
根性とクリエイティビティは見習いたいものです。

観光地のコレクターショップだけでなく、
高級美術品オークションで有名なサザビーズのサイトでも
各種の有名人サイン入り商品が販売されていますし、
数は多くても信用のある商品が流通しているのがわかります。
ただし、いくら本物のサイン付きでも
サインボールぐらいじゃあたいした値段がつかず、
立派な額とか、トレカとか、床板とか、
大仕掛けな商品を用意して付加価値を高める企業努力が
アメリカのお宝市場をささえているようです。

無論、コレクター市場には、
消費者向けに「量産」されたサイン入り商品とは別に、
選手が試合で実際に使用した用具やユニフォーム等、
ごく限られた点数しか存在しないアイテムも
サイン付きで流通しています。

やはりプロスポーツ商品を扱う企業が、
選手自身もしくは、選手から直接それを手に入れた人から、
購入するケースが多いようです。
数がない分、使用済みのものは当然高値になりますし、
流通経路もオークションなどが中心になるようですね。

ちなみに、鳥越さんがチーム内での盗難事件を
先日話題にしていらした、
ヤンキースのデレク・ジーターは、ESPNによれば、
試合で使用した野球用具はほとんどのものを
スタイナー・スポーツ・メモラビリアという
コレクター向け商品を扱う企業に販売し、
それだけで年間25万ドルの収益をあげているそうです。
そしてその全額は子供達のための慈善基金へ寄付。
彼が試合で使用したバット1本には、
2500ドルから10000ドルの値がつくのですが、
グローブには特別の愛着があり絶対に売らないとのことです。

かたや、彼のバットとグローブを盗んだリビエラ選手は、 
それを2500ドルでとあるプロスポーツグッズ扱い商に
売ったそうですが、この事件が発覚した結果、
彼自身が今年獲得したばかりだったヤンキースとの契約、
年棒100万ドルをフイにしたそうです。

合理的な背景とよべるほどの背景は報道されていませんが、
小遣い稼ぎという目的自体が間違っているし、
その癖、盗品を売り渡した値段も非常に安く、
挙句、自分自身の契約までが吹き飛んでしまったという
事件ですから、何だか虚しい気持ちがまき起こるばかりです。

ルーベン・リビエラ選手は28歳、
ルーベンに盗品の販売先を紹介したとして
同じく解雇された
マニー・アレクサンダーは31歳。
二人とも野球選手としては
そんなに若くはありませんでした。
それでも、35歳を過ぎた超一流選手だってたくさんいる
メジャーリーグのこと、これから頑張って、
自分のサイン入り商品で一儲けしたり、
自分のバットを売ったお金をチャリティに寄付したりする
選手になれるチャンスだって、あったんでしょうにね。

2002-03-26-TUE

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