翻訳前のアメリカ。
そのあたりのこと、現地ではどんな感じ?

 
号外(配信番号無) !!


(※アメリカにいらっしゃる「すずきちさん」から、
  日本時間で9月12日午前10時45分ごろ、
  ほぼ日宛てに「翻訳前のいまのアメリカの状態」についての
  メールをいただきましたので、貼り付け掲載いたします)


2001年9月11日火曜日、
アメリカ合衆国は未だかつてない規模の
テロ攻撃を受けました。

未だに被害者の総数は不明です。

全米の全ての空港が閉鎖され、
戦艦5隻と空母2隻が東海岸NY海域の警戒に出動、
米国-メキシコ国境は封鎖…
など戦争が始まったかのような緊張が全米を走り、
たちまち社会機能が麻痺しました。

ニューヨークから遠く離れたカリフォルニアでも
学校・会社や、さまざまな公共機関が11日は休みになり、
お昼過ぎくらいから家路を急ぐクルマが
フリーウェイに溢れました。

各TVネットワークは、スペイン語放送局まで含めて、
事故発生直後より終日
CMなしの報道特番を放送しつづけています。

しかし、恐ろしいことにテロの範囲と規模が大きすぎて、
どこのテレビ局も今回の事件に関して
妥当な呼び名を与えることができていません。
日中まるまる特番を放送した後も
「アメリカに対する攻撃(Attack on America)」
としか名前がついていないのです。

そんな報道特番のかなり早い段階で、
ABCの看板キャスター ピーター・ジェンキンスは、
今回の事件を
「パールハーバー攻撃以来の衝撃」と説明しました。
CBSのダン・ラザーも 11日朝の段階で
「もうひとつの恥辱の日
(Another "Day of Infamy")」と呼んでいます。

パールハーバー攻撃のあった12月7日を
ルーズベルト大統領の翌日の議会演説にちなんで
「恥辱の日(Day of Infamy)」と
呼ばれるようになったのを引用したものです。
CBSのウエッブサイトでは、今回のテロ関連の情報を
そのまま"Day of Infamy"というタイトルで
コーナーをつくっています。

同じくCBSのベテラン政治記者 ボブ・シーファーは、
今回のテロに対してアメリカがどのような対応をとるか
についてのリポートの中で、
アメリカが今回のテロに対して断固とした
対応をとるであろうという見通しとともに、
「眠れる巨人を起してしまったのかもしれない」という
パールハーバー攻撃直後の山本五十六の言葉を
わざわざ引用しました。

2001年9月11日はアメリカ国民にとって
パールハーバー奇襲の1941年12月7日と並んで
永く永く記憶される日になることでしょう。


日本人にとっては、
まがりなりにも純粋な軍事行動であったパールハーバーと、
ハイジャックというそれだけでも卑劣な手段を用いて
5万人の民間人が利用している施設を攻撃するというテロとが、
同列に扱われるのは本当に釈然としません。

ただ、繰り返し繰り返し放送される
今回の事件の映像を見るうち、特にアメリカのプレスが、
第二次世界大戦のさまざまな記憶を
手繰りよせてしまったのも理解できる気がするのです。

旅客機による自爆攻撃は、まさにカミカゼを連想させます。

世界貿易センタービルの倒壊時の粉塵は、
考え過ぎかもしれませんが、
原子爆弾のきのこ雲が上下さかさまに
出現したかのようでした。

さらに、テロを主導している、そして、
テロリストを保護していると思われるのは、
ナチスや大日本帝国を彷彿とさせるような、
狂信的なイスラム原理主義者たちです。

国際テロリスト オサマ・ビン・ラーディンの名前が
今回の「アメリカに対する攻撃」テロの
首謀者としてあがっています。
彼は、バーミヤンの仏像の破壊によって非難をあび、
一躍有名になったアフガニスタンのタリバーン派に
現在身を寄せていると言われています。

皮肉なことに、ビン・ラーディンは、
ソ連によるアフガニスタン侵攻中に
CIAの支援によってアフガニスタンにつくられた
ゲリラ養成施設を利用しているとも言われます。
これに対して、山本五十六のハーバード留学歴を
引き合いに出したらこれも考え過ぎでしょうか…

報道の内容はともかくとしても、
敵がまだはっきり特定できていない現在も、
目の前の状況にたいして何かしなくてはという
アメリカの人々の思いは高まっています。
ニューヨークでは、献血窓口に長蛇の列ができ、
建設労働者達がボランティアで瓦礫の中からの
救助活動に参加しています。

こういった人々の思いにこたえるかのように、11日夜、
「これは我々に与えられたテストである」と
ブッシュ大統領は演説しました。

しかし、大統領候補時代に、
タリバーンのことを知っているかどうか、
雑誌記者にテストされたブッシュは、

「バンドの名前かなにかを言ってるのかと思ったよ。
 タリバーンね、アフガニスタンの!
 まったく抑圧的だよね」

などとお気楽な返答をしていました。

広島・長崎のきのこ雲は、
第二次世界大戦に幕を引いたわけですが、
アメリカ、ニューヨークの富の象徴のひとつ
世界貿易センタービルの、逆さ「きのこ雲」は、
何かのはじまりを不吉に暗示しているように思えます。

そんな、パールハーバー奇襲並の国難のはじまりに対して、
ブッシュ大統領はどのような舵取りをしてゆくのでしょうか。

鈴木すずきちさんへ激励や感想などは、
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2001-09-12-WED

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