翻訳前のアメリカ。
そのあたりのこと、現地ではどんな感じ?

 

第十回配信 もしものコーナー/ゴア編Part2

そろそろ過去の人となりつつあるゴアさんですが、
近況はどんななんでしょうか?

またまた『ドリフ大爆笑風』に
もしもゴアが引き続き日記をつけていたら…


3月28日
日本のM?が皇室主催のノルウェー国王との晩餐会を
すっぽかしてスシをくっていたということで
またもや顰蹙を買っている。
ただ、私は権力の座にあった人間が
最後になにをやらかすかについてはよぉく理解している。
クリントンのすかしっぺ恩赦も間近でみてたし。

極めて単純な話で、
「日本は天皇を中心とする神の国」であると信ずるM?は、
大日本帝国憲法の支持者なのだ。
ところが現在の天皇アキヒトは、
合衆国が用意してあげた現行の日本国憲法を支持する
発言を折に触れて繰り返している。
そんな天皇アキヒトをM?は憎んでいるのだ。

そこで首相としての任期の最後に
皇室行事にわざと目立つ形で欠席して
天皇アキヒトの顔に国際的に泥を塗ったのだ。
なかなかの信念だ。腐った信念だけど。

M?はこの日スシバーで、巻き添えになった
ノルウェー国王へのせめてもの罪滅ぼしに
ノルウェー産サーモンの握りをたらふくくったらしい。

もし私が大統領になって、
2期8年務めた最後の頃には、
やっぱりこの手合いの
愚劣なすかしっぺ権力者になってたんだろうなぁ。

ああよかった大統領にならなくて。


4月1日
ビル(・クリントン)について
また顰蹙ものの噂が流れている。
ロンドンの空港で、米国ご禁制の品である
キューバ産製品を買ったというのだ。
それも葉巻。
ビルが葉巻を有効活用して、
洒落になんないえっちなことを
モニカ・ルインスキー相手にしてたという
国民の記憶と
気軽にルールを破る男キャラが
あいまっての噂だろう。

しかし、もう大統領じゃないのに
あいかわらずビルは目立ちまくりだ。

もし私が大統領になってたら、
こんなつまんない噂でもなんでも、
とばっちりで支持率に響いていたんだろうなぁ。

ああよかった大統領にならなくて。


4月4日  
大統領選挙が終わってから、     
マイアミ・ヘラルド紙とUSAトゥディなどの主導で
執念深く続いていたフロリダ無効票の
最終集計作業が終わった。
機械読取りで無効票とされて俺様が手集計を要求し、
最後の瞬間でフロリダ最高裁が再集計にNGを出した票を
いままでだらだらと再集計していたのだ。
完全に穴があいてない票とか
ちょっと凹んでるだだけの笑窪票とか
全部全部"あり"にしたゆるい規準にのっとった手集計だ。


結果は…1665票差でブッシュの勝ち。

つーか元々の537票差より差が広がってんじゃん。
痛いのー。

つーかさー、でもさー、
俺様に投票するつもりが投票用紙のデザインのせいで
パット・ブキャナンに間違って入れちゃった間抜けが
フロリダに結構いて、
実際のパット・ブキャナンの支持者の数と比べたら
統計学的にいって1000票単位の俺様の票が
ブキャナンに誤投票で流れたはずなわけじゃん?

それにさー、もっといえばさー
テキサスのエネルギー産業関係者のいいなりで
京都議定書を脱退したり…
テキサスのエネルギー産業関係者が
濡れ手に粟で大儲けしてた
カリフォルニアのエネルギー危機を放置したり…
挙句、テキサスのエネルギー産業関係者を
原潜でピクニックに連れ出した末に
痛々しい事故を起して、
犠牲者に対する補償ですらない
沈没船を引き上げるだけの費用で何千万ドルも
アメリカの納税者のお金を使ったり…

W!ってやりたい放題なわけじゃん?
その現状をみたらさー
少なくともラルフ・ネーダーに投票した
本格的環境派を自認する人達は、
単なる自己満足のために
ネーダーに投票してしまったことを
言いかえれば俺様に投票しなかったことを
深く深く反省してると思うんだよねー。

あとさー、
これはいいっこなしなのはわかってるんだけどさー、
総得票数は俺様のほうが多かったわけだよねー。
多かったわけだよ!.

アメリカのジャーナリスト達も
民主主義のことになると、
イスラム原理主義者みたいな
見境いのなさで追及するからなー。
俺様が負けを認めたんだから、
今更そんなの数えなくてもいいじゃん。
しつこい性格は嫌われるよ。

身にしみて知ってるけど。

でも、大統領になってたらこんなしつこいジャーナリストに
ずーっと付きまとわれ続けてたんだよなぁ。

ああよかった大統領になれなくて。


4月23日 
原潜グリーンビルの元艦長、
スコット・ワドルに処分が下った。
いくつかの嫌疑で懲戒となったものの、
過失致死には問われず、
恩給つきの名誉除隊となった。

軍事法廷でちゃんと争っていたら、
辣腕弁護士がついていたし陪審員システムで
無罪になってたかもしれない。
対日配慮でなんとなく懲戒された一方、
軍重視のW!のもとで名誉除隊という形だ。
非常に政治的に処分されたと思う。

だいたい査問会議自体も、豪腕ギデンズ弁護士が、
今回の民間人の原潜ピクニックの口利きをした
マッキィ退役司令官を証人に呼びたいと話した瞬間に、
ワドル陣営が驚いたほどの性急さで
打ち切りになっていた。
マッキィの人となり(第三回配信 その1参照)が
全米に知れ渡っただけで、
そのテキサスのお友達方の人となりまで
疑われていたかもしれないし、
全てが政治的にすすめられていたのだと思う。

迂闊に軍事法廷なんかに持ち込まれて、
W!の御得意様のテキサスのエネルギー業界関係者様方が
証人にでも呼ばれて、
彼らがジャーナリズムの晒し者になることは、
なんとしても避けたかったのだろう。
証拠隠滅のために原潜グリーンビルも
速攻で修理してしまっている。

歴史を紐解けば、
大日本帝国によるパールハーバーの奇襲攻撃以前に、
彼らの暗号は米国側によって解読されており、
奇襲攻撃もF.ルーズベルト大統領はお見通しだった。
だから1941年12月7日(米国時間)、
空母は一隻もパールハーバーに停泊していなかったのだ。
そして絶望的に間抜けなワシントンの日本大使館が、
本国からの宣戦布告文の暗号解読に手間取り、
奇襲攻撃後に宣戦布告を通知するという
信じがたい失態があったことも手伝い、
戦争に消極的だった米国世論を
政治的に一気に盛り上げることに成功したのだ。
ただ、攻撃時に撃沈された
戦艦アリゾナの乗員1000人をはじめとする
多数の米国側犠牲者は、
ある意味ルーズベルトにより見殺しにされたといえる。

スコット・ワドルは、
またもやパールハーバーで
またもや大統領によって政治的な犠牲にされた
海軍軍人ということになる。
W!政権の背後にいる支持者グループを守るのに、
捨て駒にされたのだ。

つってもワドルのおかげで命を落とした人がいた一方で、
彼自身は恩給すらもらえるのに対して、
アリゾナの乗員は命を落としている。
ルーズベルトが民主党員だってこともいいっこなしだ。


今後は行方不明者の家族と被害者に対する
補償の交渉がはじまるんだろうけれど、
5月25日の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デイ)に
超大作映画『パールパーバー』が公開になるのに
見事に交渉のタイミングを合わせてきた。
少なくとも米国国内世論は味方につけようという
作戦なのだろう。

パールハーバー奇襲攻撃は、
F.ルーズベルトの陰謀にも関係する
アメリカ史のダークサイドにかかわる事件であることが
最近の研究で明らかになりつつあるわけだけど、
マイケル・ベイ監督(『ザ・ロック』『アルマゲドン』)の
映画の観客は、彼の火薬の使い方、
爆発シーンの美しさに8ドル50セント払うのであって、
史実や陰謀になんか興味ないだろう。
映画自体は歴史的な事件に翻弄される恋人達を描く、
『タイタニック』系の悲恋物語になるんじゃないかな。

主演のベン・アフレックは
私の大統領選挙キャンペーン中に
集会に参加してくれたし、
この映画を私は見に行かないわけにいかないだろう。

でも、もし大統領になってたら、
私の『パールハーバー』観賞のニュースも
国民の注目をあつめ、
事故の補償交渉で日本側の気まずさをかもし出す
いやらしいムード作りの片棒かついでたんだろうなぁ。

ああよかった大統領になれなくて。


…だめだこりゃ。
(いかりや長介の声)

2001-04-29-SUN

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