「広告サミット2005 糸井重里×佐藤可士和」佐藤可士和くんから、
「ほぼ日」の「デザイン論」の対談が
おもしろかったから、そのつづきを話しませんか?
とさそわれて実現した企画を、
広告サミット運営委員会さんのご厚意により、
「ほぼ日」で、ほとんどまるごと、おとどけしますね。

第4回 つまらなく変化することもある



糸井 「千年間も壊さずに残しているもの」
が、京都にあるというのも
なかなかすごいことで、途中には、
壊したくなる時期もあったと思うんですね。

時間を保存しているみたいな場所と、
作りなおせばあたらしくなる場所と、
両方、自分のいる場所を作ったとしたら、
人として、
健康にいられるんじゃないかなと思いまして。
それも、距離の話ですよね。
佐藤 インターネットも
携帯電話も進化していくから、
やっぱり、
人の距離感も変わっていきますよね。
糸井 コミュニケーションが
「つまらなく変わる」
ということも
予想できますよね。

ボタンを押せば
なんでも手に入ることを
よしとする人々の群れになったら、
つまらないですもん。
そんなふうには人間はできていないと思う。

人間が持っている潜在能力からすれば、
家の中で、
頭だけで考えることというのは、
一部分にしかすぎないんじゃないかなぁ。

だから、
頭の中だけでなにかを考えていると、
腹が立ってきちゃうというか、
「腹が立つ」という文字にも
見事に内臓が入っているように、
病気になるし、ダメになると思うんですね。

怒ったからといっても、
他人のやっている格闘技を見ることだけで
満足するかといえば、そんなことはないし。
佐藤 はい。



糸井 自分が
生きものとしてどう生きるか。
それを満足させないかぎりは、
どんなに知識が増えても
不幸になると思うんです。

だから、
可士和くんのしている仕事の
「歩いていった場所にあるもの」
というイメージはいいですよね。
動きまわることで
メッセージを伝えあうという
おもしろさが
進化しているというか。

SMAPの仕事は、
「予算のない
 仕事だったんでしょう?」
と言いたくなるような……
つまり、テレビのメディアを
たくさん買うことは、
お金さえあればできますけど、
それは、しなかった、
ということですよね。

だけど、CDの業界は
いくら売れても、
総売りあげのおおきさからすれば、
そんなにたくさんの
広告費が使えるはずがないんですよ。
佐藤 SMAPは5年ぐらい前の仕事で
TUG BOATの多田さんとやったんですけど、
打ち合わせの途中で、
テレビCMはどうしましょうという話の時に、
1年前からSMAPの仕事をしていた多田さんが
「テレビCM、
やっても、なかなか見かけないんだよね」
SMAPの予算は、いわゆる
アーティストのキャンペーンとしては
すごくおおきいんですけど、もちろん、
クルマやビールに比べたら10分の1程度です。

だから、
ふつうにやると、深夜に
チョコッと流れておしまいになっちゃう。
「それなら、SMAPの3色のティッシュを
 2億円ぶんぐらいまいたら
 すごい量になるんじゃない?
 渋谷と青山がティッシュであふれるよ」
とか、そういうことを考えて、
「ぜんぶの広告をグラフィックでやれば、
 それは、そうとう見かけるものになるよね」
という考えで、サッとCMをやめたことが
あの広告につながったわけです。
(明日に、つづきます)

2006-01-27-FRI