われら、スジナシ応援団!笑福亭鶴瓶の即興ドラマに酔え。

アフター『劇場スジナシ』#03 生瀬勝久さんとの『鼻緒から。』
で、2日目のゲストが生瀬勝久さん。
あいつ、あんなおもろいやつや
思えへんかった。
おもしろいですよねえ!
あれおもろい!
生瀬がようやく‥‥、
いや、いいやつやし、俺、だいすきやし。
そやねんけど、おもろさでいうたら
べつにそんなめちゃめちゃおもろい
とかっていうんじゃないでしょ?
「役者」だと思って見てた?
そうそうそう。
ところが役者じゃなく、
「バラエティ」としても
ひじょうにおもろい人だと。
コツわかってるもん。
おもしろい、おもしろい!
それはぼくね、見抜いてたというか、
即興ができるのは、わかってたんですよ。
三宅裕司さんとセットで出てる番組
(『ワークパラダイス』)で、
いろんな職業のふりをして
出てくるっていうのがあって。
「床屋さんです」って言ったら床屋さんだし、
「カラスを飼ってる人です」って言ったら
カラスを飼っている人で、
しらばっくれて「そうです!」ってやるんだけど、
それ全部即興なんですよ。
「誰、この人?!」と思ったんですよ。
あんまりおもしろくて。
その番組おもろいでんなあ。
ビデオがあったら見たらいいですよ。
生瀬は、昔、ぼくの弟役で
ドラマに出てたんですよ。
『純ちゃんの応援歌』。
もう18年くらい前や。
だから、すごいうれしいですよね。
「ああ、生瀬がこんなになったんや」
という感じですよね。
会場も「今日は、生瀬勝久さん」って言ったら
「ウォー!」ってなって。
そんなにめちゃめちゃ
人気の中心におるわけやないのにもかかわらず、
「ウォー!」ってなったから。
ああ、やっぱたいしたもんやなあって。

プレイバック『劇場スジナシ』その1

生瀬勝久×笑福亭鶴瓶
『鼻緒から。』

本番直前、舞台裏で、
生瀬さんと鶴瓶さんがはじめて顔を合わせる。
この映像は舞台上のモニターに流れていて、
観客はここではじめてその日のゲストを知る。


ところが、舞台はおかしなことに‥‥。
舞台がぜんぶ終わった瞬間、本人が
「おかしい! おかしい! おかしい!」
言いながら出てきましたからね。
あのセリフは最高ですよね。
もっとなんか運よくうまくいくと
思ってたんでしょうね。生瀬さんは。
(笑)
つまり、俺と鶴瓶さんがいるんだから、
なんかはずしたなりに‥‥
いけるやろうと。
そう。つまり、
ホームランにはならなかったけど、
審判がこう回しちゃったとか、
なんかあると思って、
降りてくるものに期待したんでしょうね(笑)。
そうやんな。でも、しゃあない。
あっちが、ものっすごい
先行して走ってたからね。
そうねぇ(笑)。

プレイバック『劇場スジナシ』その2

生瀬勝久×笑福亭鶴瓶
『鼻緒から。』

舞台はホテルのロビー。
なにやら困った様子をつくろいながら、
相手の出方を見る鶴瓶さん。
ところが生瀬さんは、
「やりますか‥‥」と
どんどん「なにか」を進行させていく。
しかし、その「なにか」は
まったくわからないままで‥‥。


なんかゴールはあんねんな、思たんや。
しゃあないから、もう、
「ゴールあるんですか」みたいなこと言うたら、
あいつ、ものすごい顔して、
(お客さんから見えないように口の端で)
「‥‥なんもない‥‥」って!
目だけ大きくってね(笑)。
あれは、最高やったね。
あのひと、もともと顔芸だよね?
顔芸。顔芸。
舞台の人どうこうやなしに、
やっぱり生瀬の顔芸が
いちばんぼくのなかではお笑いのツボに入ってる。
(笑)

プレイバック『劇場スジナシ』その3

生瀬勝久×笑福亭鶴瓶
『鼻緒から。』

鶴瓶さんは、どうやら、
結婚式をやめさせるための偽装屋を演じている。
ところが生瀬さんはまったくそれを理解せず、
鶴瓶さんに謎の練習をやらせ続ける。
あまりの行く先の見えなさに、
「こんなことが何になるんですか」と
鶴瓶さんが訊くと
生瀬さんは、鶴瓶さんにだけわかるように、
ものすごい形相でつぶやいた。
「‥‥なんにも‥‥ない‥‥」


そっからもう俺、
おまえは向こう行っとけ、言うて(笑)。
俺が処理する、ていうことですわ。
わっからんようになんねんから。
おまえが入るとややこしい、と。
でもあの生瀬さんの気持ちは、
わりとじぶんに近いな、と思いましたね。
ほお。
なんかのときにはね、
なんとかなるだろうって気持ちが。
ちっちゃいときから
ああして生きてきたんじゃないですか。
まあま、そうやろね。
それがいちばん出たんが、
「おかしい! おかしい! おかしい!」やね(笑)。
ぜんぶ終わった後、
「おかしい! おかしい! おかしい!」
言うて出てきたんやん。
おまえがおかしい(笑)。

プレイバック『劇場スジナシ』その4

生瀬勝久×笑福亭鶴瓶
『鼻緒から。』

すったもんだのすえ、
ふたりが舞台上からいなくなって
ようやく即興劇は終了。
拍手の中、舞台に再登場した生瀬さんは
こんなはずじゃなかった! という表情で叫ぶ。
「おかしい! おかしい! おかしい!」


ドキュメンタリーが
かかっちゃうんですよね。
そうそうそう。
だからあの選択、
そこはもうアドリブのいちばん最高の、
『スジナシ』のなかで
終わった後のいちばんの最大の言葉ですよ。
「おかしい! おかしい! おかしい!」
センスですよねえ。
「おかしい! おかしい! おかしい!」
て、そんな3回言うて。
あの顔でね。
あの顔で。

(続きます)

2006-08-24-THU