経済はミステリー。
末永徹が経済記事の謎を解く。

第48回 ディズニーシーとアストロバイオロジー

みなさん御存知の通り、
9月4日ディズニーシーが開業した。

同日の日経新聞の夕刊によると、
ディズニーシーを造るのに3,400億円かかった。

「ほぼ日」情報によると、
1日の入場者はギチギチに詰めこんで40,000人だから、
一年間では約1500万人(40,000人×365=1,460万人)。
約1,500万人が約5,000円の入場料を払うと、
合計は約750億円。

一方、ディズニーシーでは約10,000人が働いている。
ひとり当りの人件費が月に25万円、年300万円として、
年間では約300億円。差額の収入は、450億円。

ここまでは、わりと確実な数字。
ここから先が難しい。
入場者は、入場料のほかに、
飲食、おみやげなどでお金を使うから、
収入はもっと多い。
しかし、あれだけの施設のメインテナンスには
莫大な金がかかるだろう。

いったい収支はどうなっているんだろう?

事情通の人が教えてくれた。

まず、入場者が一日に使うお金は、
だいたい、3,000円らしい。
飲食2,000円、おみやげ1,000円くらいか。
おみやげはほとんど丸儲け、
飲食物は半分が原価として、
一人当り2,000円収入アップ(年間で300億円)。

施設のメインテナンスについては
「莫大なお金がかかる」とだけ。
ただ、結論から言うと、
「ほぼ毎日、満員。それだけではなくて、
 ホテルもフル稼動で、
 泊った人は次の日ディズニーランドに行く」
ことを予定したプロジェクトなのだ。

仮に、年間の収入を450億円として、
3,400億円を取り返すのに8年かかる。
入場者が年間1,500万人なら、1億2,000万人。
つまり、日本人が全員やってきて、
やっとチャラ(儲けは、ゼロ)。

大変なことだよね。
もちろん、韓国や台湾から来る客もいるだろうが、
テーマパークは熱狂的なリピーターなしには成り立たない
危険なビジネスなのだ。
見かけは夢一杯で楽しそうだけど。
あちこちでバブルの時に造られたテーマパークが
破綻するのは当り前だと思った。

ディズニーも、3,400億円のリスクを
抱えて所有する人より、イベントを考えたり、
着ぐるみの中に入ったりして
働いている人のほうが幸せかもね。

さて、ディズニーシーに一日遅れた9月5日、
こちらは、「みなさま御存知の」とは言い難いですが、
「インパク」で
「松井編集長のアストロバイオロジー」
がスタートしました。

東大教授の松井孝典先生は、
NHKが「宇宙もの」をやる時はきまって
「監修」を務められる、宇宙、天文の分野では
日本一、世界有数の科学者です。
実は、僕は、この「インパク松井企画」を
ちょっとだけお手伝いしております。

次回は、その話を少々。
腹を抱えて笑えるような
「おもしろさ」はありませんが、
たまには、最先端の科学に触れてみるのも、悪くない。
ぜひ、覗いて見てください。 

2001-09-07-FRI

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