信楽の町からすこし車を走らせた北の高台に、
大谷哲也さん、大谷桃子さんの暮らす
工房兼住まいがあります。


信楽も、大津寄りのこのあたりは、
なんともいい感じにのんびりしていて、
作陶にぴったりの環境。
玄関を入って左手が工房、
右手が住まいとなっています。

まず住まいのほうにお邪魔したのですが、
空気がすうっと通るというのでしょうか、
なんとも気配のよい、あかるい空間が広がっていました。
中央に大きなテーブル、
その背後に長いカウンター兼食器棚、
さらにその奥が、オープンキッチンになっています。
そのキッチンが‥‥大きい!

「“台所に住む”っていうコンセプトで、
 この家を建てたんです」

と、大谷さん。夫婦とも料理が好きで、
じぶんたちのつくるうつわはもちろん、
いろいろな作家ものが、日常使いのものとして
食器棚に並んでいました。

ご夫妻と、娘さん3人、犬のハチと猫のマメとミミ。
みんながあつまるのが、
このリビングダイニングキッチンで、
食事も、日々の雑事も、くつろぐのも、
ぜんぶこの大きな空間なのだそう。

大谷さんの一日は、朝5時にはじまります。
起床後すぐに、メールでの連絡の仕事をすませつつ、
6時には起きてくるこどもたちのために
朝食をつくります。

「料理、好きなんですよ。
 ちなみに朝食と昼食はボクの担当。
 夕飯が妻の担当です」

こどもたちを送って、夜7時半くらいまでが、
集中して作陶にむかう時間。
作陶が好きであるゆえに、
それが仕事であるという線引きがなく、
休みもなかなか取らないといいます。

いっしょにうかがった伊藤まさこさんから、
「こんな素敵な空間だったら、
 ごろごろお昼寝、したくなりませんか?」
という質問が出たのですけれど、
「‥‥したいんですけれど、時間がとれなくって。
 お客さんから、素敵なスローライフですねって
 言ってもらうんですが、
 じっさいは、めまぐるしい暮らしなんです」。


それでも、仕事をおえて、
桃子さんの料理でお酒を飲むのが至福の時間です。

さて! そんな暮らしの大谷さん、
いろいろたずねてみると、
パンを捏ねて焼くことや、
コーヒーを生豆から焙煎して煎れることも
なさっているとのこと。
しかも、その焙煎は、
「白いお店」で販売している
「白い鍋」でしているときき、
実演をしていただくことになりました。

「そんなに難しいことはありません。
 強火で煎っていくだけです。
 ほんの10分ほどで、焙煎ができますよ」

‥‥見る限り、かなりの強火です。
けれどもこの鍋は、空だきをしても割れないように
土を調合しているので、だいじょうぶ。
アーモンドや胡桃などのローストも、
生豆を買ってきてこの鍋でしています。

「大豆を煎ってきな粉を作ったり、
 玄米を煎ったり、
 そういう使い方もできるんですよ

強火で煎りはじめたコーヒー豆は、
途中で二度爆(は)ぜ、
ぷっくりふくらんで油を出し、
いい香りを出しながら、つやつやと黒くなります。

「弱火にしてしまうと、煙が出ます。
 ずっと強火でやるのがポイント」

ただ、こうした使い方は、
白い鍋肌が黒ずんでいく要因にも。
そう、このうつわは、
「ずっと白いまま」といううつわではありません。
いろいろな用途に使うなかで、
自分だけのものに成長していく鍋でもあるのです。

「大谷哲也さんの白い鍋」は、
直径18センチ、高さ8センチの「深」と、
直径27センチ、高さ6.5センチの「浅」の2種類。
12月6日(金)、「伊藤まさこさんの白いお店」で
販売を再開いたします。
どうぞおたのしみに!

 

 
6300円
外径21cm、内径18cm、高さ8cm
重さ740g  満水容量1400cc
16800円
外径30cm、内径27cm、高さ6.5cm
重さ1750g  満水容量2400cc
 
*価格はすべて税込・配送手数料別  *われもののため海外出荷はできません。 *IH不可



大谷哲也さん
1971年 神戸市生まれ
1995年 京都工芸繊維大学 工芸学部 造形工学科 意匠コース卒業
1996年〜2008年 滋賀県立信楽窯業試験場勤務
2008年 同じく陶芸家である大谷桃子さんとともに大谷製陶所を信楽町田代に設立 現在に至る


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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN