届いたばかりの
une pincée を囲んで


ジュエリーには
“好き”と“物語”が
あふれてる。

届いたばかりの une pincée を囲んで


ジュエリーには
“好き”と“物語”があふれてる。

「ユヌパンセ」は、
ほぼ日の鶴見の、さり気なく、
素顔まで美しく見せるジュエリーを
作りたいという思いから生まれました。
鶴見が、ほぼ日のスタイリングでも
おなじみの髙品逸実さんに、
「いまつけているピアス、素敵ですね」と
話しかけたことがきっかけで、
偶然にも、ふたりが20代の頃から通う
大好きなお店があることがわかりました。
そのお店とは、SOURCE objects。
杉山慎治さんがオーナーを務める、
ジュエリーのセレクトショップです。
髙品さんのセンスと、杉山さんの眼、
そして、鶴見の想いが出会い、
ファーストコレクションが完成しました。

01

変わらない魅力

ファーストコレクション、完成しましたね。
すごく素敵です。

杉山

ありがとうございます。

いかがですか、できあがってみて。

杉山

今回は、もらったお題を
形にしていく感じだったので、
僕がどうこうっていうのはじつはあまりなかったんです。
しいていえば、使うときにケガしないようにとか、
使い勝手のことだったりとか、そのあたりを考えました。

なるほど。今日は髙品さんもいらっしゃるので。
どういうふうにお題を出されたんですか?

髙品

私、もともとSOURCEさんのジュエリーを
いろいろ持っているんです。
その付け心地をもとに、
たとえばSOURCEの定番のネックレスを、
ちょっと太めにしてもらったりとか、
少しだけ変えてもらう形で進めていただきました。
このリング(オープンリング)なんかは、
隙間をあけるアイディアを
杉山さんが提案してくださったんです。

おもしろいですよね。
あえて隙間を見せてもいいし。

髙品

そうなんです。杉山さんと一緒に作るなかで、
いろんな発見がありました。

杉山

できあがってみて思うこととしては、
すごくシンプルなものになっていますよね。
誰かのために商品を作るときって、
みなさん、わりと盛ることが多いんです。
ちょっと派手にしてみたりとか。

でも、ユヌパンセは、あえてそうせず。

杉山

長くジュエリーを楽しまれてるかたって、
結局これがいいよねって立ち返るのは、
やっぱりシンプルなものだと思うんです。
そのなかで、長く使い続けられるのは、
素材が良いものだったりしますよね。
メッキだと、経年変化していくうちに、
どうしても劣化していってしまうんですけど、
ゴールドやシルバーは、手入れさえしていけば、
自分色にツヤが変わるというか、
変わらない魅力があると思うので。
今回のユヌパンセのゴールドのコレクションも、
そんなものに仕上がっていると思います。

変わらない魅力って、グッときました。
杉山さんが思う、変わらない魅力って、なんでしょう?

杉山

変わらない魅力‥‥そうですね、
たとえば洋服だと、毛玉ができて嫌だなあとか、
洗濯を繰り返していくうちに、
劣化することってあると思うんです。
でも、デニムなんかは逆で、
新品の頃は履かされているようだったものが、
体型に合うように変わっていったりします。
ジュエリーも後者のほうになるんじゃないかなあ。
僕たちもお店をやっていますから、
自分たちで作ったり、輸入しているものに関しても、
お店に並んでいるときが一番素敵なのではなくて、
お客さんが使っていくうちに変化して、
ようやく自分にしっくり来るような、
そういうものであってほしいと思うんです。

買ったときの気持ちが、もっと育って、
好きで居続けられるような。

杉山

そうですね。
ユヌパンセのこのコレクションも、最終的には、
自分の一部になっていくものだと感じます。

ほぼ日の鶴見から
初めてプロジェクトの話を聞いたときも、
「自分の一部」という表現が出てきました。
今日このコレクションを見て、
「こういうことがやりたかったんだな」
っていうのが、すぐに分かりました。
最初にゴールドの7点をそろえた理由は?

髙品

リング、ネックレス、バングル、ピアス。
基本的なひと通りが揃っていて、
ほかのアイテムとも合わせやすくて、
違和感がないようにしたいと思って。

なるほど。やっぱり、髙品さんご自身が
身に付けたいものっていう視点が大きいですか?

髙品

そうですね。
スタイリングで使いたいものというよりは、
自分が普段使いたいものです。

杉山

髙品さんが最終的に気にされていたのは、
すごく細かいディテールなんです。
たとえば、このネックレスのパーツ。
よくあるのは「引き輪」といって、
丸いパーツで
ちょっと飛び出してるものが多いんですが、
ユヌパンセでは、より一体になるものを選んでいます。

たしかに。指や服にひっかかるストレスがないです。

髙品

小さな金具の主張みたいなのものは、
極力ないほうがいいと思っていて、
そこは諦めずに詰めていった感じです。

杉山

ピアスも、見てください。
ゴールドって、コストパフォーマンスを良くするために、
内側は削り取ることが業界的には珍しくないんです。
それで価格が1万円から8000円に下がる世界なので。
でも、髙品さんはそうじゃなくて、
内側もスムーズにしたいっていう希望がありましたね。

なるほど、同じ太さですっと線が引かれているみたい。
先ほどリングの話が出ました。この隙間も、おもしろい。

髙品

最初は全部閉じてる、いわゆる輪っかでした。
重ねづけを提案したいねっていう話をしていて、
細いリングを何点か作ろうとしていたんです。
そんなときに、杉山さんが、ふと、
「バングルとおそろいの形もあったらいいんじゃない?」
と言ってくださったんです。
で、試作を見せていただいたら、かわいくて!

杉山

太さも、リングによってちょっと変えてるんです。
こっちのオープンリングは、
断面が楕円になってるんです。
バングルも楕円になっているから、姉妹っぽい感じ。
でもこのプレーンリングは断面が丸いんです。
実際に着用していただくと、
微妙な違いを楽しんでもらえると思います。

本当だ。こういう細かいところが、
ジュエリーのたのしさですよね。

(つづきます)

©HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN