思い切って、黒一色のタオルをつくりました。
名前は「ノワール」。
フランス語でnoireは黒をあらわすことば。
でもただの黒ではなく、
この黒、すごくニュアンスがあって、
かなり濃い、深い色をしているんです。

そもそも、
いままで「やさしいタオル」では
黒いタオルをつくったことがありませんでした。
なぜかというと、染めの関係で、
濃い色になるほど、糸がかたくなり、
水を吸いづらくなってしまうから。
なので、濃い色は紺が限界だと考えていたのです。
それが今回、「やさしいタオル」をつくる
今治のタオルメーカー・藤高のみなさんの努力で、
あたらしい染料を開発。
やわらかさがあり、吸水性を保った、
「黒い」タオルをつくることができました。

使用しているあたらしい染料は、
これまで藤高が使ってきたものと比べて、
濃度が1.6倍(!)あるのにもかかわらず、
吸水性をよく保つのが特徴です。
つまり、同じ分量の染料を使用しても、
品質をかえず、より黒くなる効果があるんです。
さらに、従来から使用している「LA加工」
(糸じたいの細胞壁を形状記憶し、
つぶれてもふっくらと立ち上げる加工)は、
糸のすべりがよく、加工していないものに比べて
光沢を与える特徴がありますから、
このあたらしい染料の効果とあいまって、
発色がはっきりと、
より黒く見えるようになっているんです。

シンプルな黒のタオルですが、
その黒のニュアンスを出したくて、
あえて、平織りのガーゼではなく、
ヘリンボーンの綾織りを使いました。
光によってすこしずつ変化する黒は、
インテリア性も高く、使う場所をえらびません。
「やさしいタオル」の写真の
スタイリングを担当している伊藤まさこさんは、
「このタオル、髪を染めたときに拭くのに、
すごくいいかも!」と。
なるほど、そんな使い方もいいですよね。


ノワール


2020-08-14-FRI

スタイリング:伊藤まさこ
撮影:有賀傑
商品撮影:さとうしんすけ