島田製粉のこと。

深大寺そばの「そば粉」を
一手につくっている会社が「島田製粉」です。
大正時代から深大寺周辺でとれたそばの実を
水車と石臼で挽いて粉にする仕事をはじめ、
深大寺周辺でそばの栽培が行なわれなくなったいまでも、
厳選した国産のそばの実を集めて、
石臼挽きでそば粉をつくり、
深大寺そばの各店に納品するほか、
同じそば粉を使って、
乾めんや生めんの製造をおこなっています。

「100年近く続く製法を守っているんです」
と、社長の島田栄造さん。
それは、そばの実を製粉する前に、
脱皮機でていねいに皮をとるところからはじまります。
ここで職人さんが、粒の大きさ、
生育具合をチェックし、手選別。
「おいしい実」だけを選ぶ作業です。
このごろ、コーヒー豆を丁寧に手選別するようすを
メディアで見かけることがありますが、
島田製粉ではこれを
100年以上も前から続けているんですね。

この実を、石臼を使ってじっくり粉にすることで、
摩擦熱が発生せず、香りや口触りを保ちます。
そこからの水回し・練り・製麺のようすは、
こちらの動画でごらんいただけますよ。

一番粉・二番粉・三番粉・末粉(さなご)。

そばの実を脱穀すると、
その中は「四重構造」になっています。

中心部分は、白っぽい「一番粉」。
蕎麦の風味は少ないのですが、
栄養価が高く、ほのかな甘みがあります。
これを使ったそばを「更科」(さらしな)といい、
江戸っ子が好んだのがこのそばです。

その周りが「二番粉」。
淡い緑色をしており、
そばらしい風味があって、栄養価も高い部分です。

さらにその周りが「三番粉」。
挽きたてはうすい緑色をしていて、
そば本来の香りがいちばん強い部分です。
栄養価が高い反面、すこし繊維質です。

その外側が「末粉」(さなご)。
やや黒く繊維質、殻の破片がまじることもあり、
あまり食用に適してはいませんが、
細かく挽いて混ぜることもあります。

島田製粉のそばは、
一番粉を中心に、二番粉、三番粉をブレンド。
末粉は使いません。
割粉(つなぎ)は厳選した地粉(国産小麦粉の中力粉)で、
添加物を使わず、塩と水のみで練り上げています。
そば粉と地粉の割合は、
茹でたとき、食べるときの切れにくさ、
おいしい食感をめざして、68:32です。

そしてもうひとつの特徴は、長さ。
およそ30センチ(一尺)です。
プロのそば屋が手打ちで蕎麦切りをするときの長さを
乾めんにも採用しました。
一般的なそばの乾めんは
「八寸」(24センチ強)ですから、
より、食べたときの「お店みたい」という印象が
強くなっているんです。