横浜でつくられるハンカチのこと。

ブルーミング中西株式会社のアーカイブから
数十年前のハンカチ柄を再現して
手帳カバーにした
「アンティークハンカチーフ」シリーズ。
手帳カバーのためにつくったデザインを
ふたたびハンカチにしたものも、
いっしょに販売しています。
じつはこのハンカチ、
すべて手捺染(機械を使わず、手で染めること)で
つくられているんです。
そのようすを見に、
横浜にある工場に行ってきました。

手捺染のハンカチやスカーフは、
横浜の地場産業。
1859年に横浜港が開港し、
生糸の貿易が盛んになりました。
そのなかで、柄の美しい
輸出もののスカーフやハンカチが
たくさんつくられるようになったのだとか。
最盛期には100を超える染物工場が
集まっていた横浜。
しかしいまもハンカチやスカーフづくりを
続けているところは、
数えるほどしかないそうです。

まずうかがったのは有限会社共栄製版。
ハンカチを刷るための「版」をつくっている会社です。

スライドショーでごらんください

版をつくるための指示書。デザインに、細かな指示がびっしり書き込まれています。

1つの色につき1つの版が必要。プリントしたフィルムをデザインに重ねてみて、柄が正しく出ているかを確認します。

ライトボックスでフィルムを何枚も重ねていって…

デザインが再現されているかを確認します。このデザインの場合は7色、7枚の版を重ねて完成します。

現在は版はすべてPCでつくります。デザインをそのまま分解すればいいのではなく、わずかずつ形を大きくとって、重ねたときに空きなくきれいになるように調整する必要があります。

かつては版も手書きだったそうです。

この細かな柄、すべて手描き!

完成したフィルムを紗(蚊帳などに使われる織物)に感光させ、版をつくります。感光していない部分が柄になるので、水で丁寧に洗い流します。この作業に1~2時間かかるそう。

できあがった版を捺染工場に送る前に試し刷り。正しく版ができているかどうかを確認して、完成です。


次にうかがったのが、
同じく横浜市内にある吉原産業株式会社。
創業50年、いまも手捺染のスカーフやハンカチを
つくりつづけています。

スライドショーでごらんください

染料はデザインごとに調色。測色機で色をつくりますが、完成までの微妙な調整はすべて人の目で行うそうです。

染料を混ぜ合わせて、海藻を原料とした糊を加えます。

こちらが手捺染を行う場所。柱がなく、ずっと先まで台が続いています。

まずはここに生地を張っていきます。

ここで少しでもずれていたら、商品になりません。何人もの手で丁寧に、空気が入ったりずれたりしないようにピンと張っていきます。

ようやく生地を張ることができたら、まず1枚目の型。ハンカチの場合は上下で2枚同時に刷るので、ひとつの型に2枚分の柄が転写されています。型の下にある溝に染料を流し込んで‥‥。

木の持ち手の先にゴムのついたへらで一気に染料を上まで持ち上げ、おろしていきます。

ハンカチのふちの色が刷られました。テンポよく、型を横に動かしては刷っていきます。

最初に刷った色がかわくのを待ってから二版、三版と重ねていきます。これは三版ほど重ねた状態。

刷った人のあとに、きれいに刷れているかをチェックする人も。

七版、すべて刷り終えて、完成。色数にもよりますが、一日に刷ることができる生地はおよそ10反ほど。ハンカチにして1000~1500枚分くらいです。

下の、製品にはならないところにタブのように各版の印がついていて、これで全色きちんと刷れたかどうかのチェックをします。

教えてもらって、私たちも試してみました。力加減が難しい! そう簡単には均等に刷ることができません。(プロの方が刷ったものだけが、商品として販売されています。ご安心を)

完成した生地は乾かし、蒸して色を定着させたうえで、縫製工場へと向かいます。


手捺染は、機械で刷るものと違って
色数の制限がありません。
そして乾燥にも時間をかけているので、
色のキワがぼけたりせず、
柄がシャープに出るのだとか。
そして何よりも、
色の深みがあるそうです。

昔ながらの技法でつくられたハンカチ、
そして数十年前のハンカチの図案を
手帳カバーに落とし込んだ
「アンティークハンカチーフ」シリーズは、
こちらで販売しています。