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LIFEのBOOK ほぼ日手帳

LIFEのBOOK ほぼ日手帳

自分の気持ちを受けとめる手帳。

いろとりどりのフルーツを使った
あざやかなタルトがならぶ店。
キルフェボンの総店長をつとめる
橋本恵子さんは、
ほぼ日手帳を2014年版から
愛用しているそうです。
10店舗をみるというたいへんな仕事がら、
スケジュール管理? ミーティングのメモ?
と思いきや、橋本さんの手帳は、
自分の気持ちと向き合うためのツールでした。

橋本恵子さんプロフィール

はしもと・けいこ
東京都出身。2000年、キルフェボンに入社。
青山店で経験を積み、銀座店の副店長、店長を経験。
エリアマネージャーを経て総店長に。

――
きょうはよろしくおねがいします。
橋本さんはキルフェボンの総店長さんだそうですが、
総店長とはどんなお仕事ですか?
橋本
わかりやすくいうと、
エリアマネージャーのような役割ですね。
キルフェボンの全10店舗をみて、
それぞれの店長に対して指導や、アドバイスをします。
――
さいしょはどんなきっかけで、
はたらくようになったんでしょう?
橋本
ここにくる前は、病院で管理栄養士をしていました。
その病院が、患者さんの食事を
とてもていねいに、手づくりでつくるところで。
栄養士は食事をつくるのではなく指導する側ですが、
もともと料理やお菓子をつくるのは好きだったので、
つくる側にもまわってみたいなと思って、
アルバイトをはじめました。
――
ほかにもケーキ屋さんはたくさんあると思いますが、
なぜキルフェボンに?
橋本
もちろんタルトも魅力的でしたし、
みんながたのしそうに働いている。
そこが好きでした。
お店の雰囲気もあたたかくて、
ほかにはなかなかない感じで。
――
たしかに、このお店(青山店)も
すてきな雰囲気です。
ことしほぼ日手帳のカバーにもなった
笹尾光彦さんの「My favorite Table」には
キルフェボンのタルトが描かれていますが、
このお店には
笹尾さんからの絵ハガキが飾られていますね。
橋本
笹尾さんは最初、お友達からのお土産で
この店のことを知ってくださったようで、
そこからとても気に入ってくださったんです。
笹尾さんの作品が、
横浜や仙台、福岡など全7店舗に飾られています。
どれも、お店の雰囲気に
とってもなじんでいるんですよ
――
どちらもとってもあざやかだから、
親和性が高いのかもしれませんね。
橋本
そうですね。
笹尾さんご自身も、
私がアルバイトをはじめたころから
お店によく来てくださっています。
ーー
アルバイトをはじめたころは、橋本さんは
ケーキをつくる仕事をされていたんですか?
橋本
そうですね、主につくるほうです。
だから、接客は苦手でした。
ケーキに対しては、自分でいうのもなんですが
さいしょから高いこころざしでいられたと思います。
ただ正確につくるだけではなくて、
やわらかくとか、あたたかくとか、
そういうところにも心をむけてつくっていました。
けれどお客さまに対してどんなふうに接するか、
ほんとうのほんとうに実感として
そのたいせつさと、たのしさを感じられるようになるまでは、
かなり時間がかかりました。
――
それでもなんとかのりこえて、
接客のたのしさにも気づいて、
社員になって、総店長にまでなられた。
さいしょから社員になろうとおもっていましたか?
橋本
いえ、さいしょはそこまでの覚悟はありませんでした。
でもそれまで数回の転職を経験してきて、
「やめたいな」と思う気持ちって、
わたしの場合は、スランプにおちいったり、
うまくいかなかったりして、
自分と向き合わなくてはいけないときに
生まれるものだな、と気づいたんです。
いままではその気持ちに素直に
転職をしてきた。
でもそういう場面にぶつかったとき、
「今回だけは、
『それでもやるんだ』という側にまわってみよう。
そしたら自分はどうなるんだろう?」
という思いがうまれた。
そう思えたのも、当時の店長や仲間が、
「いっしょにがんばろう」とささえてくれたからだと
おもいます。
――
そしていまは、橋本さんがささえる側に
まわっているわけですね。
橋本
あ、たしかに、そうですね。
ーー
ほぼ日手帳を使ってくださっているということですが、
さいしょにほぼ日手帳を知ったのは?
橋本
わたし、2013年の気仙沼さんま寄席にひとりで参加したんです。
――
わあ、ありがとうございます!
橋本
そこでいっしょになった方たちがほぼ日手帳をたのしそうに
使ってらっしゃったので、2014年版から使うようになりました。
――
どんなふうに使っていますか?
橋本
月間ページにはスケジュールを書いていますが、
1日ページにはほんとうにプライベートなことばかりです。
考えていることを書きとめるのがほとんどです。
――
仕事のことはあまり書かれないんですか?
橋本
具体的な仕事についてはあまり書かなくて、
もっとメンタル的なこと、
「自分がいまつまづいていることはなんだろう?」
という、つぶやきのようなことを書いて、
そこから考えをめぐらせながら
「たぶん、こうなのかも」と
いちおうのこたえを書いています。

ふだんはあまり書いたものを読み返しませんが、
新年に手帳を変えるときだけ、
ちょっと読むことがあるんですよ。
すると、
「けっこういいこと言ってるじゃん」と思えたり、
いま悩んでいることについて、
数か月前の自分が答えを出していたりする。
「あ、このときもこうやって悩んで、
こういう結論を出していたんだな」と気づく。
それがすごくおもしろいんです。
――
じゃあ、悩んでいる時期のほうが
手帳への書き込みが増えたり‥‥?
橋本
そうかもしれません(笑)。
毎日かならず書くというわけではなく、
ちょっといきづまって、
もやもやした気持ちを抱えているときに書いています。
でも、ネガティブというわけでもなく、
書いて、解決策を探して、
結果的に「あ、がんばろう!」となることがほとんどです。
――
書くうちに前向きになっていくんでしょうか?
橋本
そうですね。
本当に自分のプライベートな気持ちなので、
取材に来ていただいたのに申し訳ないと思いつつ、
なかなかお見せできないんですけれど‥‥。
――
だいじょうぶです(笑)。
橋本
あ、そういうページばかりではなくて、
チケットや人からもらったカードなども貼っていて、
そのページは見せられますよ。
――
「梅ちゃんの梅干し」と書いてあります。
橋本
梅ちゃんという店長がいて、
そのお父さんから梅をいただいたんです(笑)。
あとはチケットをよく貼っています。
――
演劇、映画、展覧会。
たくさんありますね。
橋本
学生時代に演劇部だったこともあって、
昔からよく観に行っているんです。
これは映画のチケットかな。
母の誕生日に映画を観て、母のリクエストで
二人でキルフェボンのケーキを食べました(笑)。
――
総店長さんという立場は、
おやすみがないくらいお忙しいのかと思いましたが、
プライベートも充実されているんですね。
橋本
でもここ3、4年でやっと、
時間をうまく使えるようになってきました。
それまで10年間くらいは、
曜日を決めて休むことがなかなか難しかったり、
早く帰れなかったりしました。
でもそれは、自分の問題だったんです。
自分で決めてうまく調整すれば、
時間をつくることもできるようになった。
いまは休みの日にいろんな場所に行くこともありますが、
「この日はからだを休める」と決めたら
しっかり休むこともあります。
ひたすら時間を埋めるようなつかいかたは
しないようにしています。
手帳も同じ。
毎日書くと決めずに、ゆるく続けています。
――
お仕事をされていて、
たのしいことってなんでしょう?
橋本
うーん、自分自身がどうこうではなくて、
「いま。この場がすごくいい感じになったな」とか、
新しく店長になった人がいろんなことを経験して、
「このお店、いい空気になったな」という瞬間でしょうか。
店ごとに状況も違いますから、
「いいお店をめざそう」という目標は同じでも、
そこに至るまでのアプローチは違う。
それぞれの店に対して
さまざまなトライ&エラーを繰り返して、
そこからこぼれた感情が、
ちょっと手帳に書かれているという感じです。
――
日々の仕事のなかで生まれた感情と、
おやすみの日のたのしい思い出とがつまっている。
橋本
そうです。だから、読み返すと
「これ、本当に自分が書いたことなのかな?」
と思うこともあるんです。
書くことによって一旦忘れられるというのは、
おおきいかもしれません。
――
2014年版からもう3年、
つづけて使ってくださっているんですね。
ほぼ日手帳がつづく理由はなんでしょう。
橋本
なんだろう‥‥。
いままでの手帳は、秋ごろに次の年の手帳を買うと
すぐに新しいほうの手帳に移行してしまっていたんです。
だから、10月以降は一切書かれていない手帳が
たくさんありました。
でも、ほぼ日手帳は12月31日まで
使いたくなるんですよね。
「日々の言葉」を読むだけでも
使っている気分になれるというのもあるかな。
自分の気持ちにあわせて書く、
そのせいで空白があったりしてもべつにいい。
そういうゆるい使い方を
許容してくれている手帳という気がします。
――
これからも気持ちを整理する場所として、
使いつづけてくださるとうれしいです。
ありがとうございました。
橋本
ありがとうございました。

笹尾光彦さんの原画展「新しい発見」

11月18日(土)〜28日(火)、
TOBICHI 2で笹尾光彦さんの展覧会が開催されます。
キルフェボン青山店では
笹尾さんとコラボしたタルトやお菓子の販売も。
TOBICHI 2、キルフェボン、
そして同時期に開催されるBunkamuraの展覧会と
3か所のスタンプラリーも実施します。