「日本植物分類学の父」として知られる
牧野富太郎博士が描いた、
膨大な数の植物図の中から選ばれた4点を
A4サイズの額絵にしました。
額絵で描かれている
「ホテイラン」「ジョウロウホトトギス」
「バイカオウレン」「ヒメキリンソウ」
という4つの植物は、
牧野富太郎博士が発見したり、
和名をつけたり、好んだりしたものなど
博士にゆかりのある草花です。
どの植物図も、徹底した観察によって
極めて精密に描かれています。



これら4点の植物図は、
学術的な目的で描かれたものですが、
額に入れて飾ることで、
美しい芸術としてもたのしめます。
お部屋に花を飾るように、
季節や気分にあわせて
額絵を入れ替えることもできそうです。



額絵の裏面に記載されている、
それぞれの植物の和名と学名、
簡単な解説を、以下にご紹介します。
※解説文は額絵裏面の文言を
そのまま記載しています。



ホテイラン（ラン科）
Calypso bulbosa(L.)
Oakes var. speciosa (Schltr.) Makino
石版画、多色刷「大日本植物志」
第一巻第四集第十六図版。
全16図版中、唯一の彩色図。
本州中部の針葉樹林下に生える珍しいラン。
5～6月に香りのある淡紅紫色の美花を1個つける。
和名は、唇弁の形が布袋の腹を思わせることによる。



ジョウロウホトトギス（ユリ科）
Tricyrtis macrantha Maxim.
石版画、手彩色「日本植物志図篇」
第一巻第一集第一図版。
牧野が1887年に高知県越知町横倉山で発見。
学名をロシアの植物学者マキシモヴィッチ博士が、
和名を牧野がつけた。花は10月。



バイカオウレン（キンポウゲ科）
Coptis quinquefolia Miq.
和紙、筆、墨
本州（中部・西部）、四国に分布する小型の多年草。
牧野富太郎の郷里高知県佐川町などに見られ、
牧野のこよなく好んだ植物のひとつ。
和名は梅の花に似ていることによる。
花は低地で3月、高地では4～5月。



ヒメキリンソウ（ベンケイソウ科）
和紙、筆、墨、水彩「日本植物志図篇」
第一巻第十集第六四図版。
Phedimus sikokianum (Maxim. ex Makino) 't Hart
1889年に高知県産の採集品に和名をつけ、
1891年に「日本植物志図篇」で
ロシアの植物学者マキシモヴィッチ博士が
命名した学名とともに発表した。
四国の山地に生える多年草。花は7月頃。
和名は小型の麒麟草の意。