ほぼ日手帳 2016

<ほぼ日手帳 カバー特集>
		
		“伝統”と”誇り”を秘めた
		「タータン」という織り物。
		Lochcarron(ロキャロン社)デザイナー
		ドーン・ロブソンーベルさんへのインタビュー

マフラーや女子高生の制服、
デパートの紙袋まで、
わたしたちの暮らしに身近にある柄
「タータン・チェック」。
タータンには、深くて長い歴史があります。

スコットランドで生まれたタータンは、
氏族(クラン)や一族(ファミリー)を象徴する、
王族や貴族の「家紋」のような
役割を果たしていました。
しかし、敗戦したことにより
タータンの着用が禁じられます。
苦難の歴史を乗りこえたのち、
英国国王や女王、そして国民の支持を得て
世界中の人びとに愛されてきた柄なんです。

歴史の渦にのまれながらも
スコットランドの伝統と誇りを受けつぎ、
後世へとつなげていくタータン。
そのタータンをつかって
世界最大のタータンメーカー「ロキャロン社」の
膨大な生地から厳選してつくったのが
ジッパーズ
「Royal Stewart」(ロイヤル・ステュワート)
「Dress Gordon」(ドレス・ゴードン)です。

この2つのタータンは
どのような背景を持つ柄なのでしょう。

ロキャロン社のチーフデザイナーで、
セールスディレクターでもある
ドーン・ロブソンーベルさんに
うかがってみました。

ほぼ日
はじめてロキャロン社のタータンで、
「ほぼ日手帳」をつくったのが、2012年。
そのときからおせわになっています。
今日はよろしくおねがいします。 
ドーンさん
こちらこそ。
私も、2012年からずっと
ほぼ日手帳をつかっているんですよ。
ほぼ日
ありがとうございます!
ドーンさん
大きいサイズの「カズン」は、
デスクに置いてつかっています。
英語バージョンの「Hobonichi Planner」は
日記用にしています。
ほぼ日
えっ、2冊も!
ドーンさん
ええ。
とってもつかい勝手がよくって。
オフィスの机の上で仕事の予定を書いて
家に持ち帰って、朝またひらいて‥‥。
もう生活の一部なんです。
ほぼ日
手帳にはどんなことを書かれていますか?
ドーンさん
やらなければいけないことや、電話で聞いた内容、
夫の誕生日や、パスワードなんかも。
スタッフのお休みも記録しますよ。
みんなたくさん、休みをとりますからね(笑)。

そうそう、この手帳を持っていたら
友人や仕事のお客さまからも
「わあ、この手帳、いいですね」とほめられます。
とてもていねいにつくられている
「メイド・イン・ジャパン」の手帳だと
そのたびにおつたえしています。

スコットランド開発庁の方と会食をしたときに、
「ロキャロンの生地をつかって
2016年版のほぼ日手帳をつくるんです」と
お話ししたんです。

そうしたら、ぜひ政府から100冊買いたいと
おっしゃっていただいて。
ほぼ日
えっ! 100冊も!
タータンをつかったほぼ日手帳を
スコットランドのかたがたに
つかっていただけるなんて
感慨ぶかいものがあります。
ほんとうにうれしいです‥‥。
ありがとうございます。

2016年版のロキャロンのほぼ日手帳は、
「ジッパーズ」タイプになりました。
ドーンさん
いいかたちですね。実用的で好きです。
パスポートやカード、
撮影した写真や、好きな絵、
記録したメモなど何でも入りますね。
すばらしいデザイン。
ほぼ日
タータンの柄は、いろいろご提案していただいて、
400点以上あるストックの中から、
最終的に「ロイヤル・ステュワート」と
「ドレス・ゴードン」の2点を選びました。
ドーンさん
すてきな柄を選んでいただいたと思います。
クラシックではなやかな
「ロイヤル・ステュワート」は
世界でもっとも有名なタータンです。
数々の有名ブランドに採用され、
多くの人に知られているので、
親しみをもってつかっていただけると思います。
ほぼ日
王室がつかっていたタータンだと聞きました。
ドーンさん
もとはスコットランド・ステュワート一族の
タータンでした。
1746年の「カロデンの戦い」で
王位奪還の反乱をおこしたステュワート一族が
イギリス国王軍に敗れ、
すべてのタータンの着用が禁じられたんです。
ほぼ日
え、禁止に?
ドーンさん
ええ。でも約80年後に復活します。
1822年、当時ヨーロッパで高い評価をえていた
スコットランド人作家、
ウォルター・スコットの演出により、
英国国王のジョージ4世が
スコットランドの民族衣装であるキルトを着て
国王として200年ぶりに
スコットランドを公式訪問しました。

そのとき、和解の意味も込めて
国王が着用したタータンが
ロイヤル・ステュワートだったんです。
それ以来、タータンの着用が復活しました。

でもそれまでの間、多くのタータンが
この世からなくなってしまいました。
絵に描かれたタータンや切れ端などから
復元していったんです。
ほぼ日
それぐらい、スコットランド人は
タータンに対する思いいれが深いんですね。
ドーンさん
そうですね。
その後、英国女王陛下のタータンとなり
衛兵は全員このタータンを
身につけるようになりました。
ほぼ日
カズン用に選んだ「ドレスゴードン」は
どんな柄なのでしょう? 
ドーンさん
これはゴードン家のタータンです。
「ゴードン・タータン」と呼ばれるデザインの
ドレスバーションになります。
ほぼ日
タータンのドレスですか。
ドーンさん
ディナーで正装に着替えるという
習慣が広まった19世紀頃に
タータンのドレスバージョンが
つくられはじめました。 
この「ゴードン・タータン」は
社交界に参加する女性たちがドレスにし、
貴族から愛されていた柄なんです。
太めのホワイトラインがはいって
すこし明るめの色合いです。

この2つの生地の選択はとてもいいと思いますよ。
ほぼ日
実際の生地を見せていただいて、
ロキャロン社のタータンは
発色が本当にうつくしいと思いました。
ドーンさん
ありがとうございます。
生地のクオリティ基準をもうけ、
染め具合や、糸の質、
織ったときの密度などすべてこだわっています。
ほぼ日
英国王室から愛用されている理由がわかります。
ドーンさん
スコットランドでつくられた
チェック柄をタータンと呼び、
タータンにはスコットランド人の
「伝統」や「誇り」が織り込まれています。
永遠に愛され続けるもの。
後世につなげるためにも
わたしたちは、高いクオリティを維持する
努力を続けなければいけないと思います。
ほぼ日
そんなスコットランドの“歴史の1ページ”に、
ほぼ日手帳が、かかわることができてとても光栄です。
ほぼ日手帳も長く愛され続ける
手帳でありたいと思いました。
今日はありがとうございました!
ドーンさん
多くのかたにつかっていただけたら
わたしたちもとてもうれしいです。
ありがとうございました。

2015-09-30-WED

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