その手帳、 もしもなくしたとしたら?  ──そのとき、を考えてみる。
 

みなさんは、
手帳をなくしたことって、
ありますか?

旅先でかばんごとなくしたりといった
大事件はあまり起こらないかもしれませんが、
どこかの荷物に紛れてしまったり、
ミーティングのあとで会議室に置き忘れたり、
といった、ちいさな「行方不明」なら
けっこう多くの方も
経験があるかもしれません。

実は、ある日の「ほぼ日」社内で
ふと、「ほぼ日手帳をなくす」ことについて
話をしてみたら、なんというか、
みんなの会話のテンションが変わったんです。
あ、いつもつかってるこの手帳を
なくす可能性があるんだ、って。
それは困る。なにが困る?

おかしな言い方になりますが、
その話をして、それぞれが、
「自分がなくしたら」ということについて考えるのは、
とても、おもしろかったんです。

「なくすこと」ひとつとっても、
人によって、受け取り方や、考えることはさまざま。
今回はそんな、ちょっと変わった特集です。

まずは、「ほぼ日」乗組員たちに
「手帳をなくすこと」について、取材してみました。

ほぼ日手帳に限らず、手帳をなくしたことがある?
もしくは、なくしそうになったことがある?
なくしたら、なにがいちばん困る?

いさわ

「電話を掛けながらメモして、
 そのままその場に置いてきてしまったことが
 何度かあります。
 あと、普段使わない鞄に入れると、
 そのまま数か月、行方が分からない状態に
 なることが多いです。

 以前、手帳をなくしたときは、
 知り合いの連絡先を手帳にだけ書いていたために
 連絡がしばらく
 取れなくなってしまったこともありました。

 なくした手帳は
 しばらくして家の中で見つかったのですが、
 手帳の後ろに、食べ物屋のリストを書いていたのを
 その際家族に見られてしまい、
 全て食べ放題の店だったことを指摘されました。」

やえ

「私の手帳は、仕事専用なので、
 会社におきっぱなしです。
 昔、情報漏洩管理がきびしい会社につとめていたので、
 手帳の持ち出しをひんぱんにする習慣がありません。
 なので、なくすとしたら社内です。

 会社内では、書き留めていたメモがなくなる、
 というのが一番困ります。
 外でなくしたときに困ることは、それに加えて、
 自分の個人情報や、仕事の情報が
 流出する可能性もあることにドキドキします。」

むねひろ

「前職在籍中、
 同業他社が集まる忘年会の幹事をやったときに、
 自分の手帳のメモページを使って出欠をとっていて、
 そのまま会場の店において帰ってしまいました。
 そのときは同業他社の人が
 預かってくれていたのですが、 
 他社の人(しかも同業者)に見せたくない
 仕事の情報を書き込んでいたので、いやでした。」

ふじた

「高校の卒業シーズンに
 仲良しグループで隣県の道後温泉に行く途中、
 電車のなかで手帳をひらいていたら
 そのまま座席にわすれてしまいました。
 あとで駅にTELしたらみつかりましたが
 恥ずかしい内容満載だったので
 取りに行くのが恥ずかしかったです。」

さとう

「日記にしていたり、
 体重とか書いてあったら
 見られることがイヤというか、恐怖」

ちひろ

「とくに困ることは無いと思うけど、
 もの自体への愛着があるので悲しい」

たぐち

「僕は努力‥‥ですかねえ。
 特に見返したりするわけではないんですけど、
 がんばって書いてきた努力の跡が
 なくなってしまうのがちょっと」

永田

「2008年からつかっていて
 かなりいい色になっている
 ヌメ革のカバーをなくすのがいやです。
 中のメモや覚え書きは、まぁ、あきらめる、
 ‥‥と思ったけど、今年はわりと
 ちゃんと書いてるから、
 やっぱり、それもいやだなあ」

コウノ

「うーん‥‥あの、私、手帳に、
 すごい秘密ばっかり書いてあるんですよ
 だから、ぜんぶ嫌。カギをかけたいくらい。

 たとえば私、このところ一年の最初に
 同じ人にタロット占いをしてもらって、
 そこで占ってもらった運勢を 
 最初のページに書いているんですね。
 で、そのメモを読まれると思うとね‥‥。

 たとえばね、今年ならね。
 『友好関係‥‥地味』とかね、
 『お金‥‥厳しい』とかね、
 『出会い‥‥ない』とかね‥‥
 どれだけ悪いんだろうね、今年ね‥‥。
 拾った人に私のこの、
 さえない運勢を知られるのはいやですね」

おおたか

「思ったこと、感じたこと、考えたこと、
 知らないこと、知っていきたいことが
 書かれているので、
 これが丸々なくなるのは、
 自分の記憶をなくすようなものです」

シェフ

「想像するに、手帳をなくしたら、
 財布をなくすよりも
 もっと深いため息が出るのではないかと。
 とりかえしがつかないな、と。
 現金は諦めてカードは再発行、
 財布そのものは買い替えればいいけど、
 『使ってる途中の手帳』は違う気がします。
 そんなに頼り切っちゃいないけれど、
 それでもまいにちの暮らしを
 ともにしてきた『仲間』であり
 『ともだち』のような存在になっているので、
 そいつが突然、いなくなっちゃうわけです。
 それって、どうにもやりきれない気持ちが
 するんじゃないか。
 そのことが、いちばん、嫌だと思います」

こんなふうに、
「なくす」というテーマひとつだけでも
本当にさまざまな話を聞くことができました。

みなさんの場合はいかがですか?
自分の場合を考えてみると、
思いがけず、自分の「大事なもの」に
あらためて気づくかもしれませんよ。
まわりの人と、そういうことについて
話してみるのも、なかなかおもしろいです。

ちなみに「ほぼ日」乗組員の話を総合すると、
家でなくしたと思ったとき、
「普段使わないカバンに入ってた」は
みんなけっこうやりがち、みたいです。
ですからもしも、なくした! と思ったときには
まずは使わないカバンをチェック。

それから、基本中の基本ですが、
手帳の最後にある
「Personal Notes」。
個人情報を書きたくないという人も
いらっしゃるかもしれませんが、
「万が一、落としたときのために」、
名前や連絡先など、最低限の情報だけでも
書いておくといいかもしれません。

いえ、もちろん、なくさないのがいちばん!
ですけどね。

2012-04-23-MON
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