ほぼ日手帳2012年版から登場した
「ジッパーズ・ハリス」シリーズ。
スコットランドのハリス島で作られる
世界的に有名なツイード生地、
ハリスツイードを使った特別なカバーです。
今回、といっても昨年11月の話になりますが
なんとハリスツイード協会の元会長
イアン・マッケンジーさんが、
ほぼ日にいらっしゃいました。
商品は既に完売しつつ‥‥ありますが‥‥
(これを書いているいま、ほんとうに微妙)
ハリスシリーズをお持ちの方やファンの方々に、
イアンさんとのいろんなお話、
たのしんでいただければ、うれしいです。

 
イアンさん、ようこそ「ほぼ日」へ。
── はじめまして。
イアン はじめまして。ハリスツイード・ヘブリディーズ社の
イアン・マッケンジーといいます。
── みんな、お会いできるのを楽しみにしていました。
イアン ありがとうございます。
ほぼ日手帳は何冊くらいあるんですか?
── 最初はナイロンの2種類だけでしたが、
だんだん増えて、10年で68種類にまで増えました。
今回は、はじめてハリスツイードを使わせていただき、
ユーザーにも好評なんです。
イアン うれしいです。100周年のラベルも入っていますね。
── イアンさんの会社、ハリスツイード・ヘブリディーズ社は
どのような仕事をされているんですか?
イアン 糸を織り子さんに渡して、
織り上がったものに仕上げをする会社です。
織は島の各家庭で行うことが定められていて。
僕も、若い頃は織ってましたよ。
── 織るところからスタートされたんですね。
イアン はい、織り子からはじめて、組合、そして協会と
ハリスツイードに関する過程をすべて経験してきました。
── すごいですね。ハリスツイードの生地には
厳しい定義があると聞きましたが‥‥。
イアン はい、織から仕上げまでのすべてを
アウター・ヘブリディーズ諸島のハリス島(ルイス島)で
行ったものしかハリス・ツイードと呼べません。
後で話しますが、ぜんぶで4つの条件があります。
── 楽しみです。今回は、そんなイアンさんに
ハリスツイードにまつわるお話を
聞かせていただければと思います。
イアン もちろん!
── ところで、イアンさん、半袖なのですが、
ちょっと寒くありませんか? (取材は11月です)
イアン ちょうどいいです。だって、ハリス島では、
気温が25度以上になったら、
ものすごく暑いという感覚なんです。
日本の夏は35度にもなると聞いて‥‥
未知の世界です(笑)。
 
ハリスツイードのあれこれ、イアンさんにおしえていただきました。
  ハリスツイードが生まれたきっかけは?
スコットランドの北西にあるハリス島、
この島の住人は、何百年も羊毛を使って
ツイード生地の洋服を作っていたんです。
産業目的ではなく、自分たちが着るために。
その生地に目をつけたのが、島の東部を
所有していた領主のダンモア婦人という方でした。
「この生地は商売になる」と踏んだ彼女は、
ロンドンまで運び、売りはじめたんです。
それがハリスツイードの、産業としての
最初のスタートでした。
トレードマークが生まれた理由は?
ロンドンに広まったハリスツイードの服は
まずは、おしゃれな富裕層の支持を得ました。
その後、彼らは守衛や漁師たちに着させたんです。
その理由は、当時の生地が強くて丈夫、
さらに自然と水を防ぐ素材だったからです。
ただ、成功の影でコピー商品が出まわってしまい、
その対策としてトレードマークを登録しました。
それがイギリス国内のトレードマーク第1号
なんですよ。今年はその100周年ということで、
限定ラベルを生地に付けています。
 
  ハリスツイードが国から守られたのはなぜ?
1990年代、漁業以外の産業がなかった
ハリス島の人々の暮らしは貧しかったんです。
このことが国会で取り上げられ、
「ハリスツイード産業を守ることこそ島の
 人々にとって有益なこと」という考えのもと、
ハリスツイードを国が保護することが
議論されました。この特例扱いに当然ながら他の
テキスタイルメーカーから抗議もありましたが、
本当に幸運なことに、1993年には
「ハリスツイード条例」が可決されたんです。

ハリスツイード条例の内容を知りたいです。
ハリスツイードには「4つの条件」があります。

1.手織りであること
2.島に住む織り子さん自身の家で織られること
3.100%ピュアな新しい羊毛で織られること
4.糸の撚り、染め、仕上げなど、全工程を島に
  住む人が行うこと

この厳格な4つの条件をすべて満たさないと、
ハリスツイードとは呼べないんです。

 
  カラフルな色のひみつ、教えてください!
ハリスツイードの色は、とてもカラフルですが
これらは島々にある色から作られているんです。
海の青、大地の緑と茶色、そして空も。
ふつうは、布や糸ができあがった後で染めますが、
ハリスツイードは、糸を作る「原毛」を染めます。
染めた原毛を糸にし、それを織って
色を出していくんです。
それこそがハリスツイードが持つ
奥行きのある色の理由であり、
たくさんの色を作り出せる強みでもあるんですよ。
最後に、ひとことお願いします!
私たちは、世界の小さな片隅からきた人間ですし
スコットランドはどこからも遠い土地です。
でも、世界各国からオファーがあるおかげで
毎日、日本やニューヨーク、パリ、ロンドンなど
世界中の人と話しています。いろんな人に出会い、
知り合えます。私はハリスツイードのおかげで、
いい人生を送らせてもらっています。
私たちの家族も、島のみんなもそう思っている
はずです。だから、ハリスツイードは私にとって、
とても大切なものなんです。
 
イアンさん、今日はほんとうに、ありがとうございました!
     
  ハリスツイード協会の会長を14年務めたのち、
今度はハリスツイードを世界により広めていくために
自らハリスツイード・ヘブリディーズ社を立ち上げたイアンさん。
そういう肩書きとは裏腹に大変気さくでやさしく、
なによりもその人生をハリスツイードに捧げんばかりの
愛にあふれるナイスジェントルマンでした。
今やハリスツイードの世界シェアは日本が最も高く、
洋服だけでなく、バッグや小物などにまで展開している
さまを見て、「これからは日本がハリスツイードにとっての
トレンドセッターだ」と仰られていたのが印象的でした。
 
     
 
     
  私がいちばんときめいたのが、黒と白以外は、
2色以上の羊毛をまぜて色糸を作っているということでした。
基本となる55色の羊毛を、レシピにそって組み合わせ、
決められた割合で混ぜて糸を作っていくそうです。
「100年受け継がれている、色を作るためのレシピ」。
なんて魔法的な響きなんだ‥‥(うっとり)。
さらに「その色はハリス島の景色の色なんですよ」と聞いて、
ハリスツイードの魅力の理由が分かった気がしたのでした。
 
     
 
2012-02-11-SAT
最新の特集コンテンツヘ特集コンテンツをもっと見る