ほぼ日手帳2011 spring 春の手帳マンガまつり!
春の手帳インタビューまつり! 4月はじまりの「ほぼ日手帳 2011 spring」。 それに合わせて販売される新カバーの ドルフィンスルーとレースメッシュ、 新TOOLS&TOYSの「ほぼ日のクロスステッチ」に関して たずさわった方々にお話をうかがいました。 マンガのあとはインタビューをどうぞ。
インタビュー#1	ドルフィンスルー	2011-01-27-THU インタビュー#2	レースメッシュ	2011-01-28-FRI インタビュー#3	ほぼ日のクロスステッチ	2011-01-31-MON


佐藤卓さんに訊く、 ドルフィンスルーのこと。 〜銀座の交差点にいい波が来た〜  「ほぼ日手帳 2011 spring」で 新たにカバーラインナップに加わるドルフィンスルー。 薄めのブルーにサーファーと植物が描かれた とってもさわやかなアロハ柄は、 佐藤卓さんのデザインによるものです。 そんな卓さんにドルフィンスルーについてお訊きしたところ デザインの話だけでなく、サーフィンとの出会いから、 サーフィンから学んだ人生観にまで及ぶことに。 ドルフィンスルーはこういう方がデザインしたんです。
佐藤卓さんプロフィール
ハングテン、チーターファイブ、 そしてドルフィンスルー。
ほぼ日 2009年版のTSアロハ、
2010年版のcheater fiveに続いて
今回のドルフィンスルーも
卓さんに手がけていただきました。
佐藤卓 このサーファーが隠れているビジュアルも
もう3回目なんですね。

▲左から2009年版のTSアロハ、2010年版のTSアロハ(cheater five)、
 そして2011年版のドルフィンスルー。
ほぼ日 はい、早いもので。
あっという間に3回目ですね。
佐藤卓 毎回、サーフボードの乗りかたを
モチーフにしてきましたけど、
毎回、僕ができない乗りかたで(笑)。
ほぼ日 2009年版はボードの一番前に乗るHang Ten、
2010年版はボードの前に片足の指をかける
cheater fiveでしたね。
ということは、このドルフィンスルーも?
佐藤卓 そう、いまだにうまくできない、
憧れのワザ(笑)。
ほぼ日 そもそもドルフィンスルーというのは
どういうワザなんですか?
佐藤卓 ドルフィンスルーは
「ショートボード」と呼ばれる
比較的短いサーフボードに乗るときに使うワザです。
ほぼ日 はい。
佐藤卓 波に乗るために、サーフボードにうつ伏せで乗って
沖に向かってパドリング(腕で漕ぐこと)
するんですけど、
向こうからくる波を越えながら
進まなくてはいけないわけです。
ほぼ日 サーファーが両手で必死に漕いでいる姿、
想像できます。
佐藤卓 それで、波には崩れていない形が整った状態と
崩れた状態があるんですね。
崩れていないときは、
ただパドリングしていれば越えられます。
しかし、崩れているとき、
もしくは崩れかけているときに
パドリングのまま突っ込むと
波に巻き込まれてしまうんです。
ほぼ日 へぇー。
佐藤卓 その状態を回避するために
ショートボードのサーファーは
サーフボードごと、
一瞬波の下に潜って波をやり過ごします。
そのテクニックがドルフィンスルーなんです。
ほぼ日 一瞬潜って波をやり過ごし、
また浮上する、というわけですね。
佐藤卓 ショートボードに乗る人は、
これを当たり前のように次々にキメて、
沖へ沖へと進んで行きます。
ほぼ日 かっこいい!
佐藤卓 でしょ? 僕も最初、
「ドルフィンスルーをキメる姿」にも憧れて、
ショートボードでサーフィンを始めたんですね。
でも、実際にやってみると、
ショートボードはロングボードよりも
浮力が小さくて、乗るのが難しいんです。
あっという間に落とされちゃう。
だから、すぐにロングボードに換えました(笑)。
ほぼ日 短いからカンタンそうですけど、
そうじゃないんですね。
佐藤卓 ちなみにロングボードで大きな波を回避するには
ひっくり返ってやり過ごすという方法と、
ボードをいったん放り投げて波をくぐり、
あとで引き寄せるという方法があります。
ほぼ日 どっちも豪快な方法だ(笑)。
佐藤卓 そういった意味で、ドルフィンスルーは
いまでも憧れのテクニックのひとつなんです。
ショートの人には、
あたりまえなんですけどね(笑)。
ほぼ日 なるほど。
佐藤卓 カバーのほうの話に戻ると、
今回は波の下にもぐるテクニックだから
植物も水中の海草があしらってあります。
このあたりは日下部(※)のアイデアですね。

※日下部昌子さん。
佐藤卓事務所所属の卓さんの
右腕とも言える敏腕デザイナー。
「イーラーショシュ」も彼女の手によるもの。
ほぼ日 やっぱり。
今回は海中のような感じがしてたんですよ。
佐藤卓 サーフィンをやっている僕の熱い部分を
サーフィンをまったく知らない日下部が
いい感じに中和してくれましたね。
銀座の交差点に見えるいい波。
ほぼ日 卓さんとサーフィンの出会いって
いつだったんですか?
佐藤卓 27歳のときですね。
『ビッグ・ウェンズデー』(※)っていう映画で
学生のときにサーフィンにちょっと興味が湧いて、
まだ僕が会社員だったとき、
知り合ったカメラマンの人に
連れて行ってもらったんです。

※ビッグ・ウェンズデー
1979年製作のアメリカ映画。
伝説の大波「ビッグ・ウェンズデー」に挑む
サーファーたちの物語。

ほぼ日 そのときの感覚って覚えてます?
佐藤卓 最初だからボードに寝そべったまま
波を滑り降りるくらいのことしか
できなかったんですが、その瞬間に
「なんだこれは!?」という衝撃を受けましたね。
で、「もう1回行きたい」の気持ちで
何度か続けていくうちに、
今度はほんの一瞬だけ立てるようになるんです。
それが「動いている水の上に立つ」という
初めての経験で、えらく興奮するわけですよ。
ほぼ日 うんうん。
佐藤卓 まさか27歳でこんなに感動するものに
出会えるとは思ってもいませんでした。
そのくらい衝撃的なものだったんです。
そしてサーフィンを始めて1年くらいのときに
勤めていた会社辞めました。
ほぼ日 えぇっ?!
佐藤卓 「あいつはサーフィンで会社を辞めた」って
言われました。
ほぼ日 そりゃ、言われますよ‥‥。
佐藤卓 もともと独立しようと思ってたころだったんです。
でも、あながち間違いじゃなくて
独立したいという気持ちを
サーフィンが後押ししてくれたのは事実ですね。
ほぼ日 わ、半分本当じゃないですか。
佐藤卓 そう、半分本当。
当時、銀座に会社があったんです。
仕事をしている最中も
「なんで俺はいまここにいるんだろう。
 みんないまごろ
 サーフィンやってるのに」なんて思ったり
銀座の交差点に波が立っているのが
見えたりもしました。
「こういう波が来たら、こう乗る」
みたいなことを
銀座の交差点でシミュレーションしてるんです。

▲このくらいの高さの波が来たら、こう乗って‥‥。

▲ぎゅわぁーんってなって。

▲こう! こんな感じなんです。
ほぼ日 ‥‥。
佐藤卓 ちょうど同じくらいに始めた
資生堂のアートディレクターをやっている
澁谷克彦(※)や
ほかのコピーライターたちと
よくサーフィンに行ってたんです。

※澁谷克彦
1957年東京生まれ。
1981年資生堂宣伝部入社。現在に至る。

ほぼ日 はい。
佐藤卓 彼らといっしょに
銀座でランチしているときなんかに
僕が「ほら、向こうからさ、いい波きてるよ!」
なんて言うと
彼らも「お、ホントだホントだ!」
なんてことを言うわけですよ。
バカですよねぇ〜(笑)。
ほぼ日 (笑)‥‥それはもう、
波が見えているわけですよね。
佐藤卓 どんな景色を見ても
波をダブらせて見るようになっちゃったんです。
それこそ、そこの壁の高さくらいの
波が来たら、こうやってこう乗るな、
とかすぐに想像できるんです。

▲このくらいの高さの波が来たら‥‥。

▲こう、乗って‥‥。

▲こうやって‥‥。

▲こう! こんな感じなんです。(日下部さんマジ顔)
ほぼ日 もうそれはかなり‥‥。
佐藤卓 そう、かなり重症だよね(笑)。
でも、ドロップアウトして
サーフィンばっかりな人もたくさん見てきたので
キチンと仕事をするときは仕事をしていましたよ。
ほぼ日 (ホントかな‥‥。)
 サーフィンは「生きててよかった。」
佐藤卓 今話してきたとおり、僕にとってサーフィンは
「人生観を変えたもの」なんですが、
こういうことを言っていると、
「佐藤さん、デザインとサーフィン、
 どっちが大切なんですか?」って訊かれるんです。
ほぼ日 まさしく、今、それを訊こうと思ってました。
佐藤卓 ハッキリ言って「比べられるものじゃない」です。
デザインというものは第三者のためにすることで
そこには相手に伝えるために言語化したり、
意味を込めたりする作業が発生します。
それはすごく大事なことだし、それを仕事にしました。
ほぼ日 はい。
佐藤卓 でも、サーフィンは
言葉も意味も何にもいらないんです。
波とボードと身体があればいい。
無心に波に乗って、ただ楽しむ。
それだけでいいんです。
ほぼ日 あえて言葉で表すとするとどうなります?
佐藤卓 そうだなぁ‥‥。
「生きててよかった」、ですかね。
ほぼ日 あぁ、そこまで言い切れるものなんですね。
佐藤卓 そうですね‥‥
うん、やっぱり「生きててよかった」ですね。
ほぼ日 卓さんにそこまで言わすサーフィンは
卓さんのデザインという仕事に
どんな影響を与えていますか?
佐藤卓 うーん、よく訊かれるんですが、
サーフィンはサーフィン、デザインはデザイン。
直接には影響はないですね。
ただ、仕事や社会への接しかたは
教えてくれると思うんです。
ほぼ日 と言いますと?
佐藤卓 サーフィンって自分が体力がないときに
いい波が来たからといって
無理して乗ったりしたら、
死に至る場合もあるんです。
ほぼ日 えぇ?! 恐ろしい‥‥。
佐藤卓 それって仕事も同じじゃないですか。
まわりの状況や自分の調子を読み間違うと
失敗することがあるし、
それがいろいろな意味での
大事故に繋がることもあります。
無理してもしょうがないとか流れを読むとか。
そういうことをサーフィンは教えてくれるんです。
ほぼ日 なるほど。
佐藤卓 だから、そういった意味で
今回のドルフィンスルーも同じです。
人生にも「波をどうかわすか」
みたいな局面ありますよね。
まともに対峙してたらかなわない相手や事象と
向き合わなくちゃいけないとき。
向かわなくちゃいけない相手の状況を
瞬時に把握して、かわしかたを判断、実行する。
ほぼ日 ドルフィンスルーなら、
「相手の影響を受けないところでかわす」ですね。
佐藤卓 そうそう。
こういうふうにサーフィンっていうのは
人生に照らし合わせられるんですよ。
  (おわり)

2009年、2010年のspring版で登場し
好評を博した限定カバー
「TS アロハ」シリーズの第3弾です。
グラフィックデザイナー佐藤卓さんによる
オリジナルのアロハ柄をプリントしました。
カバーの名前の「ドルフィンスルー」は、
イルカのように海に潜って、大波をくぐる
サーフィンのショートボードの
テクニックのひとつ。
さわやかなブルーを基調にした
6色の絶妙な組み合わせは、
元気な明るさと大人っぽさを兼ね備えた、
老若男女問わずお使いいただけるカバーです。

2011-01-27-THU


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