これはもうほんとに、
思い出いっぱいのきんつば。

あんこが大好きなんです。
とにかく洋菓子より、あんこの方が好きです。
もうとにかく大好き。
でも、いろんなお店に詳しいわけではないし、
おいしそうなものをただ食べるぐらいです。

でもきんつばだけは、あんまり
食べてきませんでした。
歯ごたえがゴムゴムしいというか、
どう楽しめばいいのかがわからなかったんです。

でもこの金沢の中田屋という和菓子屋さんの
きんつばは、全体がふかふかとふっくらしていて、
あずきの味がいっぱいするし、
皮の薄さ、弾力とか、もうすべてがばっちりなんです。

いまはもうなくなってしまったのですが、
旦那の実家が金沢だったんです。
初めて挨拶に行った日にこれを出してもらって、
「こんなにおいしいものが毎年食べられるなら
ちょっと結婚してもいいかなあ」って。
ほんとにそういう気になったんですよ。

結婚してから、そのことをお義母さんに話して、
「おかあさんに出してもらったこれが、
本当に大好きなの」
と伝えたら、私の誕生日とか、
バレンタインとか、クリスマスプレゼントに
これが届くようになったんです（笑）。

その義母は２年前に亡くなりましたが、
それまでずっと、
「ももちゃん（私の名前）の誕生日プレゼント」って、
いつもこれを送ってくれました。
クリスマスも、子どもには違うものが届き、
「ももちゃんには」って、
靴下にこれが入っていたり、リボンかけてくれたり、
ラッピングされたりして届きました。

だからこれはもうほんとに、
思い出いっぱいのきんつばなんです。

しかも、だんだん送ってくれる量が
増えていくんですよ。
前までは１本（５個入り）だったけど、
季節によって「うぐいす」が出たり、
「さくら」があったりすると、
それとあずきの１本を合わせて２本だったり、
ないときはあずきが２本だったり。

それ以来、いろんなところのきんつばと
食べくらべもしましたが、
やっぱりここのがいちばんおいしい。

きんつばって、ものによってはパキンって
割れちゃうのもありますが、
ここのは割れた感じまで、すごくきれいなんです。
粒もしっかりしているし、香りもいい。
苦手だったはずのきんつばの歯ごたえが、
大好きになりました。

夫と出会ってかれこれ20年くらいですけど、
けっこうな頻度で食べてきましたね。
お義母さんが最初にこのきんつばを
出してくれなかったら、もしかしたら
結婚してなかったかもしれない（笑）。
ほんとに「メリットがある」と思ったんですよ。
行ったらこれが食べられるんだなって。

もともとあまり好きではなかったものを
好きになったという反動も、
きっと大きいのかもしれないです。

いまは旦那が仕事の関係で週に１回、
金沢に行っているので、食べたいときには
買ってきてもらっています。

そういえば前の会社にいたとき、
このきんつばをおみやげで配ったら、
「あれをもう１回食べたい」という先輩がいて、
「いいですよ」と買ってきたこともありましたね。