はじめてのかたへ「海大臣」ってどんな海苔?

「海苔には値段の高いもの、
安いものがあるけれど、海苔は、海苔。
それぞれの個性は、そんなにないでしょう?」と、
おっしゃるかたもいるかもしれません。
そんなことは、ありません。
海苔も、海という自然が育む植物。
生産者によって、海況によって、
もちろん、その年によっても、
できあがる海苔は、ずいぶん個性がちがいます。
いつ頃のトマトはおいしいよとか、
うちはこの地方のお米に決めてるんだ、
お茶はこの産地がいいね、というようなことや、
ワインについて
「こっちの斜面のブドウは日当たりが」
「この農園の何年のものは」
なんて話すのと、ちょっと似ているかもしれません。
(でも、そんなふうには、海苔の情報って
 出回っていないんですけどね。)
真剣に仕事をしているおすし屋さんは、
海苔の仕入れでも、味がなるべく一定になるよう、
確かな目利きのできる問屋さんとよく話し合って、
年間に使う海苔の計画を考えるそうです。
「今年は、これを、これくらい確保しといてね」
なんて感じで。
予算が潤沢であれば、高い海苔を買えるでしょうが、
それだけでは、好みの個性の、よい海苔は買えない。
その「目利きのできる問屋さん」として
仕事をしているのが、
創業70年を超える老舗「林屋海苔店」の社長である、
「ほぼ日」が信頼する、相沢裕一さんです。
お客さんの好みをよく知っている相沢さんは、
産地に直接出かけて、海苔の仕入れをしています。
現地のセリに参加して、お客さんの好みに合わせ、
「あのお客さんは、この味が好みにちがいない」とか、
「あの店で使うのに最高の海苔があった」などと、
いろんなタイプの海苔を買い付けてきます。
その相沢さんの仕入れる「ある個性の海苔」に、
糸井重里が、すっかり魅了されたところから、
「海大臣」ははじまりました。

最初の出会いは、おすし屋さん。

19年以上も前のこと、
糸井重里は親しいおすし屋さんから
とてもおいしい焼き海苔を頂戴します。
それがきっかけで、そのおすし屋さんを通して
「海苔は、ずっとこれ」と決めていた糸井家。
「ほぼ日」でも販売できないものかなぁ、
と考えながらも、問屋さんである築地の相沢さんと
直接おつきあいさせていただくまでには、
ずいぶん長い時間が必要でした。
そして、2008年、
ついに相沢さんと会うことができた糸井は、
相沢さんと相談して、
「シーズン中に収穫された最高ランクの海苔」を、
「ほぼ日」とのコラボ商品として、
特別に分けていただくことに。
それが「ごちそう海苔 海大臣」の誕生でした。
有明海で採れた、店先には並ばないこの海苔。
デメリット‥‥といいますか、
意外に思われるであろう点を、先に言っておきますね。
まず“うっすら曇り”があって“小穴”があります。
つまり鏡のようにぴかぴかで、
みっしりした質感の海苔ではありません。
これは、見た目や等級に関係なく、
「味」でえらんだ結果です。
そして、昨年の海大臣と、同じ味ではありません。
海苔は海の農作物、その年の気候や海況によって
味は微妙に変化します。
そして最後に、一般的な価格よりは、
高価だと感じられることでしょう。
でも! 自信はあります。
ことしも、相沢さんが候補として
仕入れてきたなかから、味と食感を重視し、
それぞれ個性のある海苔を選びました。

すぐれたアルミパックに入れて、
おとどけします。

相沢さんが仕入れた海苔は、「火入れ乾燥」をし、
4%程度まで水分を下げた状態で保存されています。
これを、最後に「焼加工」をして、
すぐに食べられる焼海苔の状態にし、
専用のアルミパックに袋づめします。
これが「海大臣」になるわけです。
このアルミパック、酸素透過性が
ひじょうに低いので、
開封後もきっちりジップをとめておけば、
「ぱりっ!」とした状態を
長くたのしんでいただくことができますよ。

「海大臣」は高い海苔?

海大臣の価格を、一般的な海苔と比べ、
高価だと感じるかたがいらっしゃるかもしれません。
海大臣は、問屋さんが基本単位とする
「全型30枚1パック」で販売をしています。
「全型」、タテ21センチ、ヨコ19センチ。
これを「8切(はっさい)」にしたのが、
よく見かける「おかず用のカット海苔」です。
海大臣1パックは、「8切」に換算すると、
30×8=240枚ぶん、となります。

ここで、デパートなどで買うことのできる
「8切」が(5枚1組などの)パックになっている
贈答用の缶入り高級海苔を思い出してください。
「えっ?」という値段がついているものもありますよね。
じつは「8切」が240枚の缶入り高級海苔は、
1万円を超えるものも、珍しくありません。

そして世の中の高級海苔は、見た目がとても大事。
もちろん味だって大事ですけれど、
まずはピカピカで、厚くて、小穴が少ないものは、
その見た目だけで高い値がつきますし、
「8切」にして缶や箱に詰めることで、
さらにその価値をたかめています。

でも、海大臣は、等級や見た目とは関係なく、
食味検査をして「これだ!」という海苔を仕入れています。
そして「8切」にせず、缶にも入れず、
問屋さんである林屋海苔店さんが扱っている
全型30枚1パックという「いつもの姿」で
販売を行なうことで、
できるかぎりのコストをおさえています。

焼海苔が1パック4,700円。
印象として「高いなあ」と思うかたもいらっしゃると思いますが、
胸を張って「高くはないのですよ」と、
「ほぼ日ストア」は考えています。