今年の「海大臣」はこんな味。しっかりおいしい8種類。

ひ
口に入れたとたん「うまい!」と思える、
調和のとれた、いかにも海大臣らしい海苔です。
じつはこの海苔、林屋海苔店の相沢さんが、
「こんな個性の海苔がほしい」と、
佐賀県の生産者のみなさんに相談をして
できあがったものなんです。
厚めで風味よく、塩分がほどよく、旨味は強め。
つまりそのまま海苔だけで食べても満足のゆく味ですが、
ごはんと合わせたときは、
主役を張るのではなく、名わき役として活躍します。
ちゃんと個性をいかしながら、
ごはんや具材とみごとに調和するのですね。
このトータルな品質感は、みごとです。
ふ
しっかりした、おいしい海苔。
ツヤよし、厚さもあり、
口どけよく、シャキシャキとした歯ごたえのあと
すっと溶けてひろがり、食べ終わったあとも
おだやかな味が残ります。
今季の海大臣のラインナップが、
強めの「ますらお」な個性が多いなか、
「たおやめ」な印象の海苔だとも言えます。
香りも味も「海度」もすべてそなえていますから、
「そんなに強烈な印象じゃなくてもいいけれど、
じんわりおいしい海苔が食べたいな」というかたに、
ぜひおすすめしたい海苔だと言えます。
そして、ごはんと合わせたときの一体感は「さすが!」。
どちらが勝つことなく、お互いを引き立てますよ。
み
海大臣のおもしろいところは、
おいしさをシェアしたくなること、
「人に食べさせたくなる」こと。
きっとあの人、驚くだろうなあ! と、
ワクワクしながら想像するのに、
今季でいちばんの「適任」がこの海苔かもしれません。
なにしろ総合点が高い。
香ばしいし、味もしっかりしているし、
「海のもの」という感じもちゃんとある。
噛んでいるうちにちゃんと出てくる塩味は、
いかにも「うまい海苔を食べたなあ」と思わせてくれます。
どれかが飛び抜けて強い、という個性ではないのですが、
「まるで甘エビを食べたよう」と評した選考員がいたほど、
後味に複雑な旨味がほんのり残るのも面白いところです。
よ
この海苔の個性は、甘み。
今季の海大臣のなかで
群をぬいてそのことを感じます。
でも甘いだけではありませんよ、
「甘みのあるおいしさ」で、香りも立つ。
置いておいたら、子どもがパクパク食べちゃった、
となりそうな、ストレートなおいしさを持っています。
ちなみにこの海苔、長く海苔を選んできた選考員をして
「初めて食べる味」と言わせましたから、
なかなかの個性派であることはまちがいなしです。
そうそう、口に感じる塩気は控えめですから、
食卓ではしょうゆをつけると、よりおいしくなりますよ。
ちなみに料理に使うと、主役をほかの食材にゆずり、
引き立て役にまわりそうなバランスのよさも持っています。
い
香りの品がよく、味に甘みがあり、
ほどよい塩気があって、後味まで香ばしい。
厚みもあって、パリッと噛み切ることができ、
口の中でシャクシャクとおどる──。
そんな「おいしい海苔」のイメージどおりで、
長くつちかってきた「海大臣らしさ」もばつぐん、
選考会で高い人気だった海苔のひとつが「い」です。
("THE NORI"なんて評も、ありました。)
うんと強い個性、というよりは、バランスのよさが自慢。
余韻が長めで、米との相性もよし。
おにぎりに使ってもよさそうです。
む
「なつかしいなぁ。海のイメージが強い。
海水浴場が見えるようだよ」
そうつぶやいた、ある選考員がいました。
しっかりとした潮の香と、わずかな青っぽさ、
ほのかに、でも口にいれるとすぐに感じる塩気が、
海苔って海藻だよね! と思い出させてくれる味なんです。
また、もうひとつの多かった声が
「ごはんとの相性ばつぐん!」。
ごはんが勝つわけでも、海苔が勝つわけでもなく、
じつにバランス良く食べられる。
海苔がほどけ、口のなかでごはんに混ざる感じは、
今回、いちばんかもしれません。
な
パリッとした歯切れ、最高! 
品のよい、若やいだ印象の海苔です。
味そのものは、さらっとたんぱくで、かろやかですが、
立ち上がりと、立ち去り際がきれいなんです。
後味は、淡く、
けれども甘く残る感じが印象的で、
ほかの海苔にはない
「ひかえめだけれど、強い」個性を持っています。
選考会では「香りがいいね!」という言葉も多く、
それゆえ「おにぎりに最高だね!」という声も。
ごはんと合わせると、なるほど!
まずは具を足さず、海苔とごはんに、
ちょっとだけしょうゆをつけて食べてみてください。
この海苔の実力がおわかりいただけるはずです。
や
パンチの強さは今季の海大臣でいちばん。
口に入れたとたん「おおっ!」と大きなインパクト、
そしてニッコリ「うまいなあ」と言葉が出る、
そんな個性派の海苔が「や」です。
食べごたえのあるしっかりとしたおいしさ。
それでいて、口どけはサラリ。
すっと消える潔さの奥に
そっと海の香りがひろがります。
さらにごはんとの組み合わせで
「ぐん!」と点数アップ。
この海苔のもつはっきりとした塩気は、
「しょっぱい」とは違う旨味です。
(「うにのよう」と評した選考員もいましたよ。)
こ
「海藻」は「海草」とも書くように、海の野菜。
まさしくこの海苔にはそんな印象があります。
厚みがあって、そのまま食べると
ほのかな酸味と海苔らしい苦味を感じますが、
ごはんと合わせたとき、これがぐんと変化するんです。
「さっきまでわからなかった味が出てきたよ!」
ぱっと磯の香りが立って、
ごはんの甘みと合わさることで旨味がはっきり。
梅干との相性がいい、と感じた選考員も複数。
「いや、かんぴょうもいいですよ」
「わさびとしょうゆだけ、っていうのも」
「たくあんの刻んだのもおいしいですよ」
ふむふむ、これは今季の海大臣のなかで、
手巻きずしに一押しの海苔、ですね。
と
重量感◎、
厚み◎、
歯ごたえ◎。
ほどよい塩味と、
ほのかに魚卵ぽさのある潮の香り、
口のなかでほろほろと溶ける印象から、
「この海苔だけで、ずっと食べ続けられる味」
という評がありました。
そう、このバランスのよさは、文句なし。
そのまま食べてもおいしいこの海苔ですが、
ほんとうに驚いたのはごはんと合わせてから。
海苔の個性も残しつつ、ごはんを引き立てることから、
よりおいしく感じられるのですね。
「バクハツした!」と書き記したものがいたのは、
けっして大げさじゃありません。