今年の「海大臣」はこんな味。しっかりおいしい8種類。

月
印象をひとことで表すなら「上質感」。
上品で若々しい印象の海苔です。
口にいれたとたん、
ある選考委員から出たことばは、
「合格っ!」でした。
最初の口あたりと、
鼻に抜ける香りのよさにびっくりしたんだそう。
そして噛むほどに口の中で味が出てきます。
すこしだけ繊維が長い印象があって、
口のなかでとろけたときに、
味が長持ちするのですね。
甘みと塩分のバランスが絶妙で、
それゆえにごはんとの相性がいい。
見た目は、小穴が多め。
でもほら、見た目で選んだ海苔ではありませんから!
ちなみにこの海苔は「秋芽の一番摘み」。
新物ということでよろこばれる香りの高い海苔ですが、
ことしの海大臣の秋芽は、味もいいのです。
火
インパクトのある海苔です。
なにしろ「おいしさが、攻撃的」
と評した選考委員もいたほど。
すこしだけ塩味が強めで、
香ばしさが印象的。
でも、ふしぎなことに
まろやかさもあるんです。
ぱりぱりっと噛み切れる繊維の短さゆえ、
口のなかでほどけると、磯の香りがひろがって、
甘み、そしてほんのすこしの酸味など
いろんな味がやってきます。
ちなみにこの海苔、「秋芽の一番摘み」。
通常、もっと寒くなる時期につくった
冷凍網のほうがおいしいと言われるのですけれど、
ことしの海大臣に限っては秋芽の味もいいんです。
これだけ印象的な海苔なので、
ひょっとしてごはんに勝っちゃうかも‥‥? 
と思って、ごはんを巻いて醤油で食べてみると、
でしゃばらずに、ごはんを引き立たせる側に! 
なんとまあ相性のいいこと。
今年のラインナップで、おむすびに使うなら、
この海苔がいちばんかもしれません。
水
たっぷり豊かな味わいの、実力派の海苔です。
海藻の味をはっきりと感じ、
風味に華やかさがある。
立ち上がりの香りは、ほかの海苔に比べると
「それほどでもないのかなぁ」と思うのですが、
ところが! 食べているうちに、
その香りがどんどん強くなっていくんです。
噛んだあと、口のなかで
繊維がほどける感じがあって、
そのあと、しばらく、おいしさが持続する。
さらに独特の香ばしさが
あとから追いかけてくるので、
「ちょっと磯辺焼きのような風味がする」
と評した選考委員もいました。
もちろんゴハンにもぴったり。
すめしに合わせれば、独特の甘みを引き出します。
木(冬)
磯の風味たっぷりの海苔です。
まるで生でいただく海藻のような
豊かなミネラル感があり、その風味に
「ああ、海を感じるなぁ」と、
選考委員たちが口々につぶやいたほど。
また、特筆すべきもうひとつの特長は
「シャリシャリ感」。
噛むとシャリッと音がして、
やわらかいのに歯切れよく、
口の中で踊るように旨味がひろがる感じは、
ほかの海苔とちょっとちがう個性です。
食感重視、というかたに
まずおすすめしたい海苔です。
味のバランスはとてもよく、
塩味も抑え気味ですけれど、
そのぶん、料理との相性がいい。
こと、ゴハンに合わせると
「ゴハンを引き立てる」側にまわり、
その実力を発揮してくれます。
採れた分量が少なかったので、
今回「第二期」のみの販売です。
金
しっかりした厚みがあって、
色・艶もよし。
厚みがあるのにしなやかで、
「小穴があったり、薄かったり」
する海大臣には
ちょっとめずらしいタイプの海苔です。
でもご安心ください、
口に入れたときの印象は、
ちゃんと「海大臣」ですから。
最初はつよめの塩味でおどろかせ、
「味付けじゃないの?」と
言われそうなほどの甘みがひろがります。
けれどもそのどちらもが「際立つ」わけではなく、
全体のトーンは、やさしく、まろやか。
「力があるのに表現はやさしい。
まるで歌舞伎の名女形のようだね」
ということばも出ていましたよ。
海の香りも強いので、
はじめて海大臣を食べるという人だったら、
おどろくことまちがいなしです。
ゴハンとのバランスも合格。
どちらかがでしゃばることなく、
すばらしい共演をはたします。
土
じんわりひろがる旨味、
やさしい香りと塩味、
シャクっとした食感、
そしてかろやかな香ばしさ、
ほんのり魚卵を思わせる旨味と、
食べおわって口にのこるさわやかさ。
そして甘みがきわだつ海苔です。
選考委員のなかで出た
キーワードは「確実性」。
そう、どんなふうにも食べられる、
万能選手と言える海苔なんです。
この海苔、そのままでも
もちろんおいしいのですけれど、
最大限の力を出すのは、
ゴハンと合わせたとき! 
チームプレイに秀でていますよ。
もちろん、うどんやそば、
ラーメン、スパゲッティなどにもどうぞ。
日
ひとことで言うと「若々しい」海苔です。
そして、選考会の食味審査において、
非常に高い評価を得た海苔でもあります。
なにしろ、この海苔を最高点としたひとが1人、
二番手に選んだひとは、4人、
三番手としたひとも3人。
つまりかなり「おいしい」という
評価だということがわかります。
おもしろいのは、それぞれが食べてみて発した
「おいしさ」の表現が、いろいろだということ。
当日のメモをそのまま書き起こしてみましょう。
「おいしい、香りもじわじわ立ってくる/
ややクセがあるかな/若々しさ」
「ホヤのような風味がする/
複雑なインパクトのある味」
「美味/バリ感いちばん」
「甘み・香ばしさ・塩み、バランス良し」
「さくさくおいしい◎」
「うまみ!」
「磯の香り」
「カリッと噛み切れる/ゴハンにあう」
この海苔、“もうひとくち”食べたくなる、
そんな個性でもあるんです。
海大臣ファンのかたに、ぜひ。
祝
見た目の色艶がよく、高級感いっぱい。
口に入れると、歯ごたえよく、
パリッと感が強めで、
香りが先か味が先かというくらいに、
一気に磯の香と旨味がひろがります。
そして最初のほうに感じる塩味のあとで、
やさしい甘みが出てきます。
いかにも「海大臣」らしく、
「まず、そのまま食べてみてください」
と言いたくなる海苔なんです。
持ち味の何が飛び抜けているというわけではないのに、
全体のバランスがいいので、
舞台に出るといつのまにか主役になっちゃう、
それがこの海苔の個性です。
ではゴハンには? もちろん合います。
でも「ゴハンを引き立たせる」という役割ではなく、
デュエット、ツインボーカル、ダブル主演、
そのくらいの強さがありますよ。
ちなみにこの海苔は「秋芽の一番摘み」です。
秋芽は、緑茶で言えば新茶。
例年は香りのよさが特徴ですが、
ことしの海大臣の秋芽は、
うーんと味のいいものが、揃いました。