ことしの海大臣は、こんな味です。
  • (01/ひ)
  • 塩味がつよめで、香ばしさの奥に
    やや「にが・あま」な印象があります。
    の複雑な要素が、食べていくうちに
    「じんわりおいしさとなって出てくるね」と評判に。
    シャクシャク噛みきれる歯ごたえもうれしい個性です。
    じつはこの海苔、二度行なった試食選考会の
    最後の最後に、林屋海苔店の相沢さんが、
    「じつは、こんな海苔もあるんですよ」
    と、そっと出してきた隠し球!
    これはたしかに海大臣らしい海苔だねと、
    全員一致で採用になりました。
    素直においしい海苔、なのですけれど、
    これを細巻にしてみたら、わぁ、とろける!
    いろいろな料理に、お使いください。
  • (02/ふ)
  • 「秋芽の一番摘み」という
    海苔の世界で使われる言葉があります。
    お茶で言えば「新茶」に近いのかもしれません。
    秋口に芽を出した海苔の苗を、そのまま海で育て、
    収穫までもっていくのですが、
    いわゆる「最上級のおいしい海苔」は、
    その芽を冷凍して(冷凍睡眠状態で!)とっておき、
    海がうんと冷たくなった頃に戻してやり、
    ゆたかな海であらためて育てる、という過程をふみます。
    それに比べると「秋芽の一番摘み」は
    まだややあたたかな海況ゆえ、
    味がものたりないことがあるのですけれど、
    ことしはちがいました。
    冷え込みがよかったせいでしょう、
    やわらかく、弾力があり、歯切がいい。
    口どけの軽さとまろやかな味が両立する、
    いい海苔が採れました。
    「最高にやわらかい!」
    秋芽の一番摘みならではこの個性、
    巻きものにもよさそうですよ。
  • (03/み)
  • 「海大臣」に選ばれる海苔は、
    味にパンチがある「ますらお」系と
    ふんわりつつまれるような
    「たおやめ」系があるねと、
    選考会でよくそんな話題になります。
    ではこの海苔はどちらなのかというと、
    ‥‥うーん、むずかしい!
    食べごたえは「ザクザク・パリパリ」ですから、
    濃い味の海苔だろうな、と想像していると、
    噛むほどに口にひろがるのは、
    やさしい海の香りと、うれしいあまさ。
    つまり、「ますらお系」の食感と
    「たおやめ系」の味、ふたつの個性を合わせ持った、
    バランスのよい海苔だと言えます。
    そしてこの海苔、独特の品のよさがあります。
    その個性が、今回の海大臣のなかで際立っています。
  • (04/よ)
  • とびぬけた個性を競い合うような
    「海大臣」のなかで、
    この海苔のもつ「おだやかさ」もまた、
    そのとくべつな個性のひとつです。
    手に取ったときのやわらかさ、しなやかさ。
    口に入れると、ふわりと海の風が香るようです。
    味の印象は「さっぱり」しているのですけれど、
    噛めば噛むほど、
    しみじみ「うまいなあ」と言いたくなるのです。
    この「前に出ないが、うまい」という個性は、
    たきたてのごはんや酢めしと合わせたときに、
    より力を発揮します。
    ふしぎなくらい「海苔の持つふかみ」を
    味わわせてくれる海苔なのです。
  • (08/や)
  • つよいミネラル感と、魚卵に似たうまみ、
    そして最後に残るのは、ほのかなにがみ。
    今回の海大臣のなかで、
    いちばん「個性的」な海苔がこれでしょう。
    食べごたえは「ザクザク」。
    厚みがあるのに、しなやかさもあって、
    口どけがとてもいい。
    そのまま食べたときには驚くこの個性ですが、
    料理に使うと、その力をより見せてくれます。
    たとえば「鉄火」に合わせたときの
    うまさ、バランスのよさといったら!
    海のミネラルをぎゅっと閉じこめたような
    味わいだけに、
    強めの海の食材との相性がいいのですね。
    ‥‥と思って酢めしだけを巻いてみたら、
    これはこれで「あっ! うまい‥‥」という声。
    「ちょっとクセになりそうだなあ」
    そんな評もありましたよ。
  • (09/こ)
  • 「緑茶のような味がしませんか?」
    試食選考会で2人がほぼ同時に言いました。
    たしかに。
    上等で鮮度のいい煎茶のもつうまみに近い味が、
    ほんのすこし、この海苔の中に含まれています。
    また、にがみから入り、
    徐々にあまみに変化していく、
    その印象もまた緑茶的です。
    「うまいなあ。しみじみうまい」
    「これは、おもちやごはんに合いますね」
    と声があがりました。
    ごはんの味も、しょうゆの味もそこなわずに、
    でもしっかり海苔らしさを主張しながら、
    やさしい味にまとまります。
  • (10/と)
  • 「海藻」の味は「うまみ」であると、
    フランスやスペイン、イタリアなどの
    先端の料理の世界では、
    このごろ評価が高まっているのだとか。
    (私たち、そのおいしさ、
    ずっと前から知ってますよね!)
    この海苔を食べたら、きっと彼の地の料理人たちも、
    おおこれはまさしく海藻だと
    おどろくのではないでしょうか。
    最初はうす味だと感じるのですけれど、
    そのうちに香りと味、どちらもがきわだってきます。
    カリッとした歯ごたえ、
    食べごたえも「おいしさ」の要素。
    そして後半には、あまみ、そしてほのかなにがみ。
    海藻ならではの風味が残ります。
    塩味は「ほどほど」ですから、
    ごま塩やしょうゆなどと
    合わせるのも、おすすめです。
  • (11/とおあまりひとつ)
  • 噛むとカリッ、バリッ! と気持ちのいい音が。
    海大臣らしい、真っ正直な食べごたえの海苔です。
    厚みのある海苔のイメージそのままに、
    塩味という特徴を強く感じさせる」「濃い」味。
    試食選考会で半数のひとが
    「塩分が濃いめで、そこがいい」と評しました。
    こういう「ますらお系」の海苔って、
    その印象がすべて、となるものが多いのですが、
    この海苔は食べ進むと、塩味以外のうまみが
    じわっと出てきます。
    あまみが強すぎませんから、
    キリッとした上品な印象も。
    強さだけじゃない複雑さゆえに、
    「まるで、味を問いかけてくるようだ」
    という評もありました。
  • (12/とおあまりふたつ)
  • 「ぶさいくだなあ!」
    って、ひどい言い方ですよね。
    たしかに小穴が多く、でこぼこしていて、
    正直なところ見た目はよくない。
    でも、いいんですよ、
    海大臣は「味」で選ぶ海苔!
    食味審査をせずに見た目だけで選ばれる
    一般的な高級海苔とはちがうんです。
    この海苔、まずあまみがいい。
    味がたっぷり、香りもよし。
    塩味もつよめですから、
    「まずはそのまま食べてみてください」と言いたい
    海大臣としては、最高のバランスなんです。
    食感は、最初のパリッと感から、
    やわらかく口の中でとろけるところもいい。
    ぶさいくだなんて言って申し訳なかった、
    「海大臣らしさ」をお求めのかたは、ぜひこちらを。
  • (13/とおあまりみっつ)
  • 「焼き立ての、おせんべいみたいだ!」
    そんな評判をとったこの海苔、
    たしかに食感がザクザク、パリパリ、
    となりにいると噛む音がはっきり聞こえそうな、
    そんな厚みとハリがあるんです。
    でも、歯ごたえだけじゃありません。
    口のなかでやさしいあまみと香ばしさがひろがって、
    だんだん、ねっとり、とけていく感じは、
    ほかの海苔とは、またちがう個性です。
    最後にほんのり残る苦みは、
    「さわやか」な後味として印象にのこります。
    そのままおつまみとして
    食べてもおいしいのですけれど、
    ごはんとの相性がまた、いいんですよ。
  • (15/しお ふ)
  • おいしいけれど、ちょっとクセが強い。
    そんな海大臣候補の海苔を、
    あえて「しお」加工しました。
    もととなった海苔は、シャクシャク歯切れがよく、
    口の中の感覚は、とてもこまやか。
    グレープフルーツのようなにがみがあって、
    海のミネラルの、とくに鉄分を感じる味でもあり、
    「うまさが続く、なかなかの実力派」でした。
    そんな個性ゆえ、
    「そのまま海大臣として出すべきじゃないか」
    と、試食選考会で議論になりました。
    この海苔、梅干しやしょうゆに合わせると、
    強いクセだと思っていた部分がうまく中和されることから、
    思い切って「しお」加工をすることに。
    結果は大成功!
    いつもの年とはちがう、
    個性のつよい「しお」ができました。
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