ひとつだけ、えらぶなら。
「これがいちばん!」なんて言えません。
なにしろ今年は(量ではなく質の意味で)海苔のあたり年。
不作だった昨年は、「海大臣」に適する海苔をさがすのに
ちょっと苦労をしてしまったのですけれど、
ことしは12種類が揃うという状況です。
そのなかからひとつだけえらぶとしたら?
ああ、どれが、とは言えません。ぜんぶ大丈夫です。
「えいやっ!」で決めてください。
ただ、「海大臣は初めて」というひとなら、
(「しお」を除き)プレーンな焼海苔である
「壱」から「拾」からひとつ、
おえらびいただくのがよいかと思います。
ちなみに「壱」から「拾」のうち、
「壱」「弐」「参」「肆」「伍」「陸」「漆」が、
これまでの海大臣とおなじ海域で穫れたもの。
いわば「ベテラン勢」、
いままでの海大臣をご存知でしたらば、
違和感なく「うまいっ!」と言っていただけると思います。
「捌」「玖」「拾」この3つの海苔は、
ほんのすこし海域がちがいます。
といっても穫れたのは同じ有明海のなかの、
佐賀寄り、筑後川から海に流れる栄養がたっぷりのエリア。
この海苔はみずみずしい「若手」と表現するのが
適しているかもしれません。
「そんなにちがうの?」と言われると、
それほどまでには、ちがいません。
どちらがいいということじゃなくって、
「ほんとうに微妙な味のちがい」です。
ふたつ、えらぶなら。
ほんのちょっとだけ、穫れた海域が異なることで、みっつ、えらぶなら。
海域別に「壱」から「漆」まででひとつ、「海大臣っておいしいよ!」と
人にあげるなら。
プレゼント用。こうなると、間柄がどうかとか、
どういう好みの人なのかとか、
いろいろ考える要素が多いので、
相手が「海大臣を知らない人」だと仮定します。
「あの人を、びっくりさせたい」という気持ちで──。
そうするとやっぱり「壱」から「拾」のなかから
ひとつを選ぶと思います。
そちらのほうが「いつもの海苔と、こんなにちがう!」って
わかっていただける気がしますから。
そのときに、贈答用と自分用をどうするか、
ちょっと悩みますよね。
食べ物をシェアできる間柄であれば
ちがう種類を買ってはんぶんこ、というのもいいですよね。