Miknits Vintage Pattern Works

ソーイングのおもしろいところは、
自分で”自分のための”とっておきをつくれるところ。
三國万里子さんがみつけた
フランスのヴィンテージワンピースをヒントに、
アールデコドレスのパターンと
イラストレーター山本祐布子さんによる
植物柄のオリジナル生地ができました。
生地の製作は、大阪の宇仁繊維さんと一緒に。

また、三國さんデザインのサマーニットも登場。
植物をモチーフにした、
レース模様が美しいクルーネックのニットは
春から秋まで活躍しそうです。
あたたかい季節に向かって芽吹き、
香り立つようなお洋服について、
つくり手のみなさんにお話をうかがいました。

03 肝は「マイクロスパン糸」。 宇仁繊維株式会社

1999年に創業した大阪のテキスタイルメーカー
自社工場を中心にすべて国内生産、
オリジナルテキスタイルを常時45,000種以上
在庫保管し、工夫のつまった
質のいい生地をつくられています。
今回はオリジナル生地「Plants」を
一緒につくっていただきました。
お話を伺ったのは営業担当の桑原健さんです。
宇仁繊維さんインスタグラムはこちら

──
自然素材のような風合いで、
縫いやすくて、お手入れもしやすい
生地を探していたところで、
宇仁繊維さんに出会いました。
生地を拝見した時に、
そのバリエーションの豊富さに驚きまして。
桑原
「ポリエステルを中心とした薄手の生地」
という特化している分野に関しては、
取り扱い種類が多い方かもしれません。

──
ほぼ日でははじめてご一緒するので、
会社の成り立ちからお聞かせいただけますか。
桑原
めちゃくちゃ恐縮です(笑)。
今期で23期目の大阪にある会社でして、
女性が7割、平均年齢は29歳という
割と若くて元気な会社やと思います。
北陸や兵庫県の西脇を中心とした
国内協力工場と強い連携があるので、
生地はすべて国内でつくることができます。

一般的には、2000年以降の繊維業界というのは
斜陽産業やと言われるんですが、
工業的発想で僕らなりに工夫をしていて、
売り上げはずっと前年比越えという、
ありがたい状況です。
──
すごいですね!
その、工夫というのが気になります。
桑原
あっさり教えてしまうんですけど(笑)、
僕らは薄手からやや厚手の生地だけで、
常時45,000種以上の在庫を用意しています。
会社で企画してつくった生地もあれば、
ブランドさんと組んで一緒につくるものも。
在庫を持つってスペース代もかかるし、
管理も大変ですし、
マイナスのように思われますよね。
──
たしかにそうですね。
桑原
でも、メリットもあって、
在庫があればオーダーをもらって
すぐに出荷できるんですよ。
現物をみて、判断したい人が多い業界ですから、
見本の生地をすぐにお渡しできます。
このスピード感は他にはないと思いますね
それに、ほぼすべて国内生産ですから、
品質も自信があります。
──
なるほど。
いい品質で早く商品化できるところが、
喜ばれているポイントなんですね。
桑原
ふつうは企画をして商品が出来上がるまで
3-4ヶ月、長くて半年はかかります。
でも、生地を織る時間がカットされている分、
染めやプリントのところに集中して
短い時間でいい生地がつくれるのかなと。
──
今回のオリジナル生地の特徴を
教えていただけますか?
桑原
マイクロスパン糸という、
特殊な糸を使った生地になります。
自然素材に近いやわらかさと
綿のようなしっかりとした質感という、
綿とポリエステルのいいとこ取りをした素材です。
──
特殊な加工が施されているんですね。
桑原
僕がポリエステルはおもしろいな、と思うのは、
技術を駆使すればいろんなタイプの生地が
できあがるんですよ。

マイクロスパン糸は、
わざと繊維を短く切って紡ぐことで
綿のような風合いを出しています。
でも、もともとはポリエステルなので、
シワになりにくくてしっかりしている。
ちょうどいい生地の落ち感が、
綺麗なドレープをつくるんやと思います。

──
ワンピースの胸元のドレープや
Aラインのシルエットが、
綺麗に出ていると思いました。
表面もなめらかで、
肌触りが気持ちいいです。
桑原
服にぴったりの生地ですよね。
──
あとは、取り寄せた生地の中でも、
ソーイングに向いていると思いました。
生地がやわらか過ぎないので
家庭用のミシンでも縫いやすいし、
裁ちばさみでも切りやすい生地だなと。
桑原
マイクロスパン糸は
引っかかりにくいように、
毛羽立ちの少ない糸用の仕上げを
しているからかもしれません。
──
生地はだいぶ前から
開発されていたものなんですか?
桑原
3年くらい前にできた生地です。
──
染色についても
いろいろオーダーさせてもらったのですが、
理想通りの色になり嬉しいです。

桑原
染色はいちばん難しいところなんですよね。
「黄色」といっても、
人によって思い描く「黄色」は違います。
今回はほぼ日さんから、
色をきちんと指定してもらったので、
みんなが目指す色に向かって集中して
調整できました。
──
プリントに関しても、
最後まで試行錯誤いただきました。
桑原
プリントは、友禅染の歴史がある
京都の美研繊維さんにお願いしました。
リピート部分のイメージを崩さないように
組むのが大変でしたね。
ここも、人それぞれ譲れない部分がありまして、
毎回話し合いになるんですよ。
バッチリいってよかったです。
──
バッチリでした!
最後にお手入れ方法を教えていただけますか?
桑原
手づくりの洋服なので、
できれば手洗いをおすすめします。
洗剤は中性洗剤がいいですね。
クリーニングに出す場合は、
ドライクリーニングでお店にお持ちください。
アイロンは、低温であて布をすれば、
かけていただいて大丈夫です。

(つづきます。)

2021-03-29-MON
[販売時期・販売方法]
2021年 3月30日(火)午前11時より
数量限定販売


[出荷時期]
1~3営業日以内
スタイリング|岡尾美代子
撮影|清水奈緒、沖田悟(商品)
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|なお(Gunne’s)(身長161cm)

撮影協力
AWABEES ☎03-5786-1600
UTUWA ☎03-6447-0070