Miknits Vintage Pattern Works

ソーイングのおもしろいところは、
自分で”自分のための”とっておきをつくれるところ。
三國万里子さんがみつけた
フランスのヴィンテージワンピースをヒントに、
アールデコドレスのパターンと
イラストレーター山本祐布子さんによる
植物柄のオリジナル生地ができました。
生地の製作は、大阪の宇仁繊維さんと一緒に。

また、三國さんデザインのサマーニットも登場。
植物をモチーフにした、
レース模様が美しいクルーネックのニットは
春から秋まで活躍しそうです。
あたたかい季節に向かって芽吹き、
香り立つようなお洋服について、
つくり手のみなさんにお話をうかがいました。

01 生きるものを
デザインするおもしろさ。 三國万里子

──
三國さんがみつけられたヴィンテージワンピースの、
お好きなポイントをお聞かせいただけますか。
三國
このワンピースは1920年代フランスのもの。
ヴィンテージショップで6年ほど前にみつけたもので、
「何かの時に」と思って大事にとっていました。

1920年代というのは、ヨーロッパを中心に
ストレートシルエットのワンピースに、
ボブヘアというスタイルが流行していたんですね。
丈は長めで、ウエストは下の方に位置している、
特徴的なデザインで。
日本だと「モガ」の人たちが
よく着ていたと思います。
──
大正末期から戦前に流行った、
西洋文化の影響を受けたファッションのことですね。
「モダンガール」の略称です。
三國
私が手にしたワンピースもまさに、
1920年代を象徴するような
モダンなデザイン。
今見るととても新鮮に感じました。

それで、現代でも着やすいように、
自分自身でも縫いやすいように
デザインをし直したものが
「アールデコドレス」です。

──
特徴的なポイントはありつつも、
全体的にすっきりとした
デザインですよね。
三國
そうですね。
1920年代のファッションドローイングが好きで
集めているんですけれども、まさにその感じ。
丈は長めで、
腕周りがきれいに見えるよう
やや細めにしたので、
女性らしさを感じられると思います。
──
胸元のチェストフラップが
いいチャームポイントになっていますよね。

三國
おもしろいポイントですよね。
でも、着てみると可愛い。
腰でブラウジングをすると、
ふわっとしたドレープになります。
あとは、頭からすっぽり被って着られるように、
少し深めのVにしました。
──
Amibari柄に続いて、
今回も山本祐布子さんに柄を描いていただきました。
mitosaya薬草園蒸留所の庭を彷彿とさせる、
植物柄がとっても綺麗です。
三國
山本さんの絵と配色は今回も素晴らしいです。
色によって、着たときのイメージが
全然違うのもいいんですよ。
peacock greenはハッとするような鮮やかさ。
風景の中で主役になれるような色だと思います。

sepia roseは、グッと大人っぽく
エレガントな感じになります。
私が子どもの頃に読んでいた
少女漫画の色使いを思い出しました。
どこか憧れを感じるというか。
大人っぽいのにロマンチックな感じがします。

ice blueは上品な雰囲気。
風が吹いたような、
やさしい印象になります。
山本さんに考えていただいたネーミングも
いいですよね。

──
ソーイングのポイントについても
お伺いできますか?
三國
自分でも縫ってみたのですが、
簡単すぎず難しすぎずで、縫っていて楽しかったです。
たとえば、ショルダーフラップの肩のポイント。
タックを縫って、アイロンを都度かけながら
襞(ひだ)を作っていくところは、
こちらの気持ちが盛り上がりました。

──
前回、三國さんがソーイングのコツについて
「こまめにアイロンをかけながら、丁寧にやるのが大切」と
おっしゃっていたことを思い出します。
三國
それは、大事ですよ。
アイロンを横に置いて、
いちいちかけながらやった方が
出来上がったときの気持ち良さが違うんです。
今回は、解説の中で「アイロンマーク」をつけたので、
その通りにやってみてください。
──
他にも、ソーイングの大事なポイントはありますか?
三國
接着芯の指示があるところは、
省かずに貼った方がいいと思います。
あとは、袖のボタンをループでつけるのが、
編みもの好きなみなさんにとって
楽しいのではないかと思います。

工程が多くなったぶん
説明を詳しく書いていますし、
ミシンでも扱いやすい生地なので、
時間をかけて解説の通りに、
丁寧にやってみてください。
──
丁寧な方が、気持ちよく着られそうですしね。
一枚で様になるワンピースですが、
小物づかいなども楽しめると思いました。
三國
ぜひ、岡尾美代子さんのスタイリング
写真をじっくりみていただきたいです。
靴下と靴とワンピースの色を、
すごく素敵に合わせてくださっていたので、
参考になると思います。

──
三國さんにデザインいただいた
サマーニット「tachiaoi」について、
デザインのポイントを教えていただけますか?

三國
この頃の私は「植物」に夢中なんです。
琳派やアールデコなど、
草花の絵が好きでよく眺めているんですけど、
そこが出発点になって
植物をデザインしたように思います。

たぶん、生きている草花を図案化することの
”おもしろさ”みたいなものを、
このセーターの中で表現してみたかったんです。
それで「立葵」を思い浮かべながら、
編んでいきました。
──
「立葵」は太陽に向かってまっすぐ伸びる、
長い花茎と華やかな花が特徴です。
その要素がニットの中にあるんですね。
三國
2種類の柄を組み合わせています。
リブは普通のゴム編みの代わりに
模様を組み合わせ、
茎から花が開いていくようなイメージに。
正面は花が縦に連なって咲いている様子を、
脇には茎が真っ直ぐに伸びていく姿を
デザインしました。

花の部分は透けない程度の
レース模様になっています。
だけれど、決してフェミニンすぎない。
ポコっと丸く膨らんでいて、
おもしろいテクスチャーになっていると思います。
──
糸はサマーヤーンの標準なので、
比較的編みやすそうだと思いました。
三國
夏用のワンピースの上に着たり、
女性らしいヒラヒラしたスカートと合わせたり、
春から秋まで着られるものになったと思います。

──
三國さんが草花に惹かれるのは、
何かきっかけがあったのでしょうか?
三國
あえて言えば、
家の中にこもっているから
自然を欲しているんじゃないかと思います。
緑や草花をみて、いいなと思う感覚。
その感覚を何とかして、自分たちの中に
取り込みたいのかもしれません。
──
なるほど。
外の気配を感じられる
お洋服が揃いましたね。
三國
気がついたら、そうなりましたね。
お洋服から自然の空気を感じてもらって、
いい気分になっていただけたらと思います。

(つづきます。)

2021-03-25-THU
[販売時期・販売方法]
2021年 3月30日(火)午前11時より
数量限定販売


[出荷時期]
1~3営業日以内
スタイリング|岡尾美代子
撮影|清水奈緒、沖田悟(商品)
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|なお(Gunn's・身長161cm)

撮影協力
AWABEES ☎03-5786-1600
UTUWA ☎03-6447-0070

モデル着用アイテム (tachiaoi)
リネン素材のスカート¥16,280
リネン素材のパンツ¥15,180
(ともにfog linen work)

お問い合わせ先
fog linen work ☎03-5432-5610