Miknits Vintage Pattern WorksMiknits Vintage Pattern Works

ニットデザイナーの三國万里子さんが、夏に登場です。
ニットだけでなく、実はソーイングも得意な三國さん。
イギリスに買い付けに行ったときにみつけた
ヴィンテージワンピースをヒントに、
涼しげなサマードレスのパターンと生地をつくりました。
気軽に洋服づくりにチャレンジしてもらえるよう、
あまり裁縫をしたことがない方にも
縫いやすいアレンジになっています。

プリント生地はオリジナル。
三國さんの相棒「編み針」をモチーフに、
ソーイングのお店CHECK & STRIPEさん、
イラストレーターの山本祐布子さんとご一緒に、
上品で愛らしい生地をつくりました。
「いますぐ着たい!」という方には、
完成品のサマードレスをお届けします。

また、サマードレスに合わせたサマーニットカーディガンを
三國さんがデザインしてくれました。
冷房のきいた場所でサッと羽織れて、
軽くて、着心地のいいサマーニット。
ボタン専門店COーさんセレクトの貝ボタンがアクセントです。
モダンな色展開で、サマードレスやワンピースはもちろん、
Tシャツやキャミソールにも合わせやすい一着です。

夏に思いきり着たくなる、
自分のためのお洋服。
どんなものになったのか、
つくり手のみなさんにお話をうかがいました。

05 ソーイングのコツ。 CHECK & STRIPE

1992年より布の販売をスタート。
神戸や芦屋、自由が丘、吉祥寺や鎌倉に直営店をかまえる。
オリジナルの布、リバティプリント、パターンや手芸周りの雑貨などを取り扱っている。
オリジナルのパターンや書籍のパターンを好きな布でお仕立てするハンドワークスも好評。

──
サマードレスのパターンや、
Amibari柄のオリジナル生地の製作は、
これまで何度もご一緒している
ソーイングのお店、
CHECK & STRIPEさんにお願いしました。

サマードレスは、
はじめて裁縫される方も挑戦しやすいお洋服。
そこで、CHECK & STRIPEの福島さんと脇田さんに
初心者のための「ソーイングのコツ」を
お伺いできればと思います。

脇田
あくまでも個人の意見ですが、
みなさんのお役に立てたらうれしいです。
──
初心者はパターンを広げたところから
「?」がいっぱいだと思います。
どんなことからはじめるとよいでしょうか。
福島
まずは、生地の水通しをお願いします。
せっかくつくったお洋服が、
洗濯したら縮んで形が崩れてしまったら
悲しいですよね。
裁断前に水通ししておけば大幅な縮みを防げます。
1時間ほど水につけて、干して、
乾かしてから裁断してください。
──
裁断で気をつけることはありますか?
脇田
布には「方向」がありまして、
生地の縦地(耳)に対して型紙の布目線を
平行におくことを、
気をつけてもらえればと思います。

 
この生地は柄合わせをしなくていいし、
上下もないので、
初心者の入門編にはぴったりではないかと!
生地も、縫いやすそうです。
福島
薄手だけどしっかりしている、
ツヤ感のある扱いやすい生地です。
シワになりにくいので、
干すときにパンパンと伸ばしてもらうと
アイロン掛けをしなくても着られます。
──
わたしは大きめのお洋服が好きでして、
体型に合わせて生地を裁断することは、
できるのでしょうか?
福島
このサマードレスの場合は
そこまで凝った形ではないので、
型紙の線に沿って長くして、
自分の好みに合わせて裁断してもいいと思います。
その場合は、型紙の線に沿って
まっすぐ線を伸ばして、
裁断されてください。
──
自分に合わせたサイズをたのしめるのが、
手づくりのいいところですよね。
福島
そうですね。
あとは、ウエストでブラウジングして
丈を調整できるのも、
このパターンの長所だと思います。
──
身幅を大きくすることは、できますか?
福島
身幅を変えると、
全体的なバランスを調整しないといけないので、
結構難易度が高いです。
そこも、ウエストを活用いただくのがいいですね。
ゆったりめのドレスにしたい場合は、
ゴムをちょっと長めに切って、
ゆるめにつくるといいです。

──
ゴムの長さの測りかたというのは、
どのように採寸するのがいいでしょうか。
脇田
ご自身のウエストに巻いてみたり、
お持ちのスカートでウエストがゴムのものと
比べてみたりすると、わかりやすいと思います。
ある程度長さを決めたらゴムを通して
着ながら調整すると、
ちょうどいい長さをみつけやすいですね。
──
なるほど、
最初は長めにとっておいて、
徐々に短く調整していけばいい。
脇田
丈も同じですよね。
長く切っておいて、着てから調整すると、
ちょうどいい長さがみつかると思います。

初心者の方がつくりやすいように、
生地も、型紙も、
余裕を持ってつくっています。
──
それは安心です!

──
裁断をしたあと、
ミシンがいちばん緊張します。
家庭用ミシンできれいに仕上げるコツはありますか?
福島
お洋服の場合はジグザグ縫いになると思いますが、
マスキングテープを使うと、
上手にできますよ!
──
文房具の、マスキングテープですか?
脇田
そうです。
マスキングテープをミシン台の、
針の下にある針板に貼ってください。
針板にも線が入っているのですが、
マスキングテープのほうが目立つので
マスキングのラインと生地端が沿うように
ミシンを進めると、
縫い代の幅を保ってまっすぐ縫えます。
幅が揃っているだけで、
ずいぶんきれいにみえますよ。

──
なるほどー、
そんな技があるのですね。
脇田
慣れていないかたは、
針の早さを「ゆっくり」にすると縫いやすいです。
襟元のカーブなど、すこし難しいところもあるので。
──
カーブは難しそうです。
脇田
そういうときも、
ゆっくり、急がないでくださいね。
──
ミシン糸はどんなものを選べばよいでしょうか?
福島
今回の生地は、普通地用で大丈夫です。
色は同じ色があればベストですが、
ない場合は薄い色よりも濃い色を選んだほうが
生地から浮きません。
──
ミシンを持っていないかたもいると思うので、
購入する場合のおすすめ機能はありますか?
脇田
いまはいろいろなミシンがあります。
私たちがお店で使用しているミシンは職業用で
直線縫いしかできませんが、
馬力があって、薄物も厚物もきれいに縫えます。
でも、初心者の方であれば
一台で最低限の機能がついている家庭用ミシンで
充分かと思います。

あまりたくさん機能がついているものよりは、
直線縫い、ジグザグ縫いとボタンホール。
お洋服づくりには、
この三つの機能があれば充分だと思います。
福島
ミシンを選ぶときは、
万が一のために修理を
受け付けてくれる物がいいと思います。
ミシンを使う頻度が上がってきたら、
もう一段階上のミシンを
検討してもいいかもしれないです。
──
今回のワンピースですこし苦戦しそうなのが、
襟ぐりのギャザー寄せかなと思っています。
きれいに仕上げるコツを教えていただけますか?

脇田
まず、襟の中心がわかるように、
印をつけておきます。
そして、ギャザーを寄せる部分に
粗ミシンをかけます。
粗ミシンは、ダイヤルの縫い目の幅を
大きくして縫うことなんですが、
3と4の間ぐらいにするとザクザク縫えます。

片方から一気に寄せるのではなくて、
左右からすこしずつ寄せていく。
左右のブロックが均等に寄せられていれば
いちばん理想的です。
福島
そうすると、片方だけにギャザーが寄らず、
バランスのいい襟ぐりになると思います。
脇田
寄せた後にアイロンですこし抑えると
ギャザーが固定されて、
次のパイピングの工程が楽チンになります。
福島
とにかく、工程ごとにアイロンですね。
面倒ですけど、
仕上がりが全然違います。
──
三國さんも「工程ごとのアイロン」が
とっても大切だとおっしゃっていました。
脇田
きれいに仕上がりますし、そのあとが楽です。
パイピングがきれいに仕上がっていないと、
襟元なので目立つんですね。
なので、アイロンをかけてしつけ糸をして、
ミシンをゆっくりと進めるといいと思います。
──
カーブですし、
慎重に丁寧にやらないといけませんね。
うまくいかなかったら、やり直しもできるのでしょうか?
脇田
できますよ!
穴が空いてしまって気になるようでしたら、
スチームアイロンを当ててカバーをしてください。
目が詰まっている生地なので、
そこまで目立たないと思います。
──
急がず、気にしすぎず、
やり直せるときはやり直そう、ですね。
脇田
そうですね。
慣れていないかたはタグもしつけたほうが、
間違いなくきれいにできると思います。

──
ウエスト部分も一見難しそうですが、
どうでしょうか。
福島
そこまでテクニックはいらないと思います。
上身頃とスカートのパターンが別々なので、
上下をドッキングさせます。
縫い代の幅を意識しながらまっすぐ縫うと、
ゴムも通しやすいですよ。
脇田
幅が狭くなるとゴムを通しにくいので、
ステッチの幅を保つのが大事です。
あとは、ゴムの長さを長めにとってください。
──
ミシンをかけながら、
余計な糸がからまってつくりにくいこともあって。
脇田
それは……
余計な糸は気づいた時に切ったほうがよいかと(笑)。
──
ズボラでした(笑)。
都度アイロン、都度切る。
きちんとやります。
仕上げは、どんなところを
チェックすればよいでしょうか?
脇田
糸が出ていないかチェックをして、
アイロンをかけて、終わりです。
糸始末は普通に切るだけで大丈夫です。
──
やっぱり、丁寧につくることが
大事なんだなと思いました。
脇田
急いでつくると、雑なものができあがるんですよね。
ゴールが近くなると早く着たくて、
急いじゃうんですよ。
それで、夜0時過ぎにミシンでダーッと縫うと、
残念な仕上がりになってしまって。
大体、ミシンの縫い目が曲がっています(笑)。

──
明日着たい! という気持ち、わかります。
それが手づくりの原動力ですよね。
脇田
はじめて手芸をされるお客さんから
「何からはじめるのがいいですか?」と聞かれたときは、
着てみたい! と思えるものをおすすめしたいです。
もちろん初心者のかたに向き不向きの型紙はありますが、
つくりたい気持ちがいちばん大事ですね。
──
おまけレシピもあるので、
ほしいものがあれば、
どんどん挑戦していただきたいですね。
脇田
デイリープルオーバーは、
私たちのお店で長年配っているものです。
型紙がいらなくて、
ほぼ長方形に切れば、終わり。
とっても簡単にできます。

 
スカートも型紙が入らないので気楽です。
ギャザー寄せはありますが、
丈はお好きな長さに調整してください。

──
プルオーバーとスカートを同じ生地でつくって、
セットアップ風に着てもかわいいですね。
脇田
それはいいですね!
バッグはお洋服よりも簡単なので、
心配なかたはバッグから始めてみるのもいいですね。

福島
縫う距離が短いと楽ですよね。
リバーシブルだからお得感もありますし。
お好きなものをつくって、
手づくりをたのしんでほしいです。
──
最後に、持っていると安心な便利グッズを
教えていただけないでしょうか。
脇田
何かあったときに印づけできるので、
「水で消えるチャコペン」は便利です。
あとは、しつけ糸と目打ちですかね。
目打ちは先が尖っているもので、
しつけ糸をとるときや、
生地が余っているときに目打ちで寄せて
つじつま合わせをしたり、結構使えます。

福島
あと、アイロン定規もおすすめです。
定規を生地にあてながらアイロンをかけられるので、
三つ折りするときや、裾の調整や、
いろんなところで活躍します。

──
御守りがわりに持っておきたいと思います!

(つづきます。)

2020-07-13-MON
スタイリング|岡尾美代子
撮影|清水奈緒(イメージ写真)、
沖田悟(商品写真)
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|岩崎咲(身長・154cm)
(étrenne)