日本に住んでいた頃からうさぎモチーフが好きで、
いまもイギリスでアンティークやヴィンテージの
うさぎジュエリーに出合うと反射的に
手がのびてしまいます。
自分の店のために仕入れるかどうかは
いつも選り好むので、実際のところ
購入する数は年間ほんのわずかなのですが、
19世紀のヴィクトリア時代から現代まで、
時代の移り変わりとともに作られてきた
さまざまなうさぎジュエリーを手にとり、
あるいは本などで見つけて
「こんなデザイン、素材もあるのか」と
発見したり、比較したりすることは
私の愉しみのひとつです。
こちらの連載で、イギリスの人びとはうさぎを
「ヘア(hare)」と「ラビット(rabbit)」の
2種類に大別していて、アンティークジュエリーにも
その両方があります、という話を書きました。
もちろん、どちらなのか判別が難しい
うさぎジュエリーもたくさんありますが
大勢のイギリス人がラビットをペットとして
飼うようになった19世紀のあたりから、
うさぎジュエリー、とくにラビットと思われる
ジュエリーはぐんと種類が増えたように思います。
今回販売するラビットジュエリーは、
イギリス、エドワーディアンの
アンティークジュエリーから
インスピレーションを得て作った品々です。
指輪のシャンク部分の立体的な装飾は月桂樹の葉で
古代からジュエリーデザインに使われてきた
モチーフながら、ヴィクトリアン末期~
エドワーディアンの時代にも大流行しました。
ラビットのころんとした背中と愛らしい口もとは
高い技術をもつ蝋型職人さんが
手作業で丁寧に彫り込んでくださったおかげで、
鋳造したあとも美しく仕上がりました。
素材はシルバーを使ったものと
ゴールドを使ったもの、
2種類をご用意しました。
後者の指輪は瞳にダイヤモンドを使用しています。
胸に、あるいは指に、イギリスで作られた
小さなラビットを乗せてみてください。
2019.3
イセキアヤコ
京都出身。2004年よりイギリス、ロンドン在住。
アンティークやヴィンテージのジュエリーを扱う
ロンドン発信のオンラインショップ、
「tinycrown(タイニークラウン)」
を運営している。
美大卒業後、
手縫いで作るすべて1点物の人形制作をはじめ、
イラストレーターとしても活動。
イセキアヤコさんとのコラボレーションによる
展示会「Rosa」2012年開催。
Blog:
http://hibi-no-rakugaki.blogspot.jp