図案家、グラフィックデザイナーの セキユリヲさんの |
 |
| ほぼ日 | 今回はとつぜんに、「ハラマキのデザイン」と聞いて、 どう思われましたか？ |
| セキ | うれしかったですね。 ハラマキ自体はもともと、興味があったんです。 「ハラマキ作ってみたいな」とか、 「ハラマキ作ったらいいのに」って 言ってくれるひともいたりして。 市販のものを買ったこともあったけど、 どうしても「これだ」と思うものに、 出会えてなかったんです。 |
| ほぼ日 | 市販のものだと、しめつけすぎたり、 ダルダルになっちゃったりするんですよね‥‥。 |
| セキ | そうなんです。 今回、はじめて「ほぼ日ハラマキ」を、 巻かせていただいたんですが、 かなり活用しています。いいですよ。 ほんと、お腹をあたためるのは、大事ですから。 |
 |
|
| ほぼ日 | それだけで、なんだか調子がいいような感じがします。 |
| セキ | そして、「かわいい」というのも、いいですよね。 |
| ほぼ日 | そうなんです！ あたたかさと同じくらいに、大事ですね。 さて、今回のハラマキは、 セキさんの図案集にあるものを、 ハラマキ用に起こしてくださったのですが、 平面のものが、形になるということに関しては、 ご自分で、いろいろなモノづくりをされているので、 慣れてらっしゃると思うのですが。 |
| セキ | いやいや。 |
| ほぼ日 | どれくらい、完成形が見えているものなんですか？ たとえばこの「ひなたの花」の、杢の表現は、 紙ではぜったいに表現できないものですよね。 ほんとうに、すごいなぁと思っているんです。 |
 |
|
| セキ | ん〜、その杢になった経緯は、なんだっけな〜？ デザインを始める前の打ち合わせで、 二色の掛け合わせが可能。ということがわかって、 チェック柄のものを 見せてもらったりしていたんですよね。 |
| ほぼ日 | 「へぇ〜、出来るんだ」と、おっしゃっていたのは、 覚えてます。 こんな感じ。ということは、 見えてらっしゃったんですよね？ |
| セキ | そうですよね。 以前、ジャガードのタオルのデザインを したことがあって、 そのときに、掛け合わせで表現したことがあるんです。 なんとなくのイメージはついていたけど、 編み地って、モノによってちがうので、 やっぱりドキドキしました。 |
| ほぼ日 | 「ほぼ日ハラマキ」の歴史の中でも、 初体験のことだったので、おもしろかったです。 |
| セキ | サンプルもすぐ出してもらえて、 確認できてよかったです。 モノを作るときは、いつも新しいことに チャレンジしたいと思っているんです。 前にやったことをやっても、おもしろくないので。 編み地自体は、靴下を作ったときに、やっていたので、 「色数の制限がある」ということや 「あまり細か過ぎるのは、表現出来ない」ということなど 認識はだいたいしていました。 |
 ショールームに展示してある、『サルビア』の靴下。 |
|
| その中で、新しいことをしてみたい。 という気持ちでしたね。 杢は、うちのスタッフが「大丈夫ですかね？」なんて、 ちょっと心配してたんだけど（笑）。 「大丈夫だよ、やってみようよ」って。 |
|
| ほぼ日 | じっさい、われわれも始めはわからなかったです。 「どんなのになるんだろう」と思ってました。 お互いに、新しい一歩だったんですね。 |
| セキ | 裏面も、おもしろいですよね。 どっちも、楽しめそうだと思います。 |
 |
| ほぼ日 | 「ひなたの花」のデザインはもともと 「shakuyaku」という図案の名前だったんですが、 あの、花のシャクヤク、なんですよね？ |
| セキ | そうですね。 一般的には、花が華やかにひらいたイメージのある シャクヤクですが、 わたしは、その手前の、つぼみの感じが、 好きなんです。 |
| ほぼ日 | あ、これは、つぼみの状態なんですね。 |
 |
|
| セキ | ひらいた後も、きれいなんですが、 つぼみの状態にひかれます。 |
| ほぼ日 | なるほどー。 もうひとつの「深い森」の方は、 もともとは「４月のパリ」という図案だったんですが、 それはどういう意味だったんですか？ |
| セキ | これは、去年の４月にパリに行ったんですよ。 |
| ほぼ日 | なるほど。 |
| セキ | そのときに、パリの街路樹が一斉に芽吹いていて、 それにほーんとうに、感動したんです。 「やっぱり木がある街って、いいなぁ」と、 つくづく思いました。 |
 |
|
| ほぼ日 | はい、なるほど！ |
| セキ | ちょっと針葉樹っぽいんです。 |
| ほぼ日 | ４月が、そういう時期だったんですね。 |
| セキ | そうなんです。 日本でも、もちろんそういう時期はあるけれど、 木の種類が違って、とても新鮮に映りました。 |
| ほぼ日 | だから、こういうぷっくりした感じの木が デザインされているんですね。 |
 このトリたちは、何の種類なんですか？ |
|
| セキ | ニワトリですかね。 元々は、この図案の中にはいないもので、 はじめのデザインを出した段階では、 いなかったんですよね。 ワンポイントだったら、もう一色入れられる。 ということだったんで。 その条件を、いかしちゃいたいなと。 |
| ほぼ日 | 後からトリを入れた、ということですね。 |
| セキ | ワンポイントで何かを。と考えていたときに、 どこかにトリちゃんがいたら 「森にいる動物」っぽさも出て、かわいいかなぁ。と。 入れたほうが、おもしろいと思って、入れました。 |
| ほぼ日 | どちらのデザインも、つぼみとか、 そういう状態のものなんですね。 |
| セキ | そうですね。 これから芽生えていく。 桜も、満開の少し手前のときに、感動しますね。 |
| ほぼ日 | 「これから」感ですね。 ちょっと話はそれますが、松任谷由実さんの 「14番目の月」という曲はご存知ですか？ |
| セキ | 知らないです（笑）。 |
| ほぼ日 | 15日目の満月よりも、 その１日前の、14番目の月が一番好き。 という歌詞なんですよ。 |
| セキ | わかるっ（笑）！ |
 |
|
| ほぼ日 | 恋も、告白をする前の時間が、好き！？ |
| セキ | そのドキドキ感ですよね。 わかる！ それです！！ |
| ほぼ日 | あ〜、よかったぁ〜（笑）。 ぜひ聴いてみてください。 話がそれてしまったんですが、元に戻しますと。 レッグウォーマーも、作っていただきまして。 |
| セキ | レッグウォーマーも、いいですよね。 |
| ほぼ日 | ハラマキと一緒に着けたときに、 「きたっ！」と、思いましたね〜。 モデルさんが着けた瞬間に、 「ワーーー！」と、チームがわきました。 |
| セキ | え〜、そうですか！ |
| ほぼ日 | さすがでした。 セキさんは、他にもモノ作りを、 コラボレーションという形でいろいろと 作られていますよね。 |
| セキ | そうですね。 レインコートとかもありますよ。 |
| ほぼ日 | かわいいんですよね〜。 やっぱり、コラボレーションのたのしさって、 ありますか？ |
| セキ | そうですね。やれることが広がりますからね。 ひとりで考えているだけでは出てこないアイディアも 出てくるし、おもしろいです。 わたしはけっきょく、絵しか描けないので、 現場で作っていく方々と、一緒にやらせていただけると、 ほんとうに、たのしいです。 実際、このハラマキにしても、 工場の方がひとつひとつドットで絵を作っていく。 という話を聞いたりすると、 「ここが、もうちょっとガタガタしてなければなー」 とか思っても、その苦労も考えちゃいますけど。 |
| ほぼ日 | そうなんですよね。 実はこのレッグウォーマーも、 トリのお腹の部分を一列、けずってもらったんですよね。 そうしたら今度は、痩せすぎちゃったので、 「やっぱり元に戻そう」ということになって。 丁寧に見ていただけたおかげで、 いいモノが出来てよかったです。 |
 元にもどった、トリさんのお腹。 |
|
| セキ | 今回、ハラマキを作らせていただいて、 トリのお腹のように、 細かく、何回かやらせていただけてよかったです。 ふつうはあんまり細かいことを言うと、工場の方に 「ちょっと嫌がられちゃうかな」とか 思うものだと思うんですよ。 |
| ほぼ日 | 工場とも長いお付き合いなので、 工場の方は、工場の方で、 デザイナーさんの要望に応えて、喜んでいただきたい。 そして、いいモノをお客さんに届けて、 喜んでいただきたい。 というのがあるんだと思いますね。 |
| セキ | そういう何度も何度も試行錯誤した積み重ねは、 きっとお客さんにも、わかってもらえると思います。 |
| ほぼ日 | そうですね。 伝えられると、愛情を持って、 大事に巻いてもらえますよね。 セキさんはこれから、 何か作ってみたいものってありますか？ 個人的には、寝具とか、ぜったい合うと思うのですが！ |
| セキ | うん、寝具とか、興味ありますね。 ピローケースとか、布団カバーとか。 前に話してたのは、 体が悪い方とか、病院で生活をしている方とかって 真っ白いシーツを使ってたりしているけど、 そういう生活の方が、ピローケースひとつだけでも 元気が出るような柄のものとか、 明るい色のものを使ってたら、 気持ちが元気になったりして、 いいんじゃないかなと思ったことも、ありますね。 |
 |
|
| ほぼ日 | セキさんデザインのものがあったら、 きっとかわいくて、いい気分で睡眠出来る気がします！ 楽しみに待たせていただきます。 セキさん、ありがとうございました！ |
セキさん、ありがとうございました！ また、セキさんはゴールデンウィーク中にも、 |
