「カレーの恩返し」第2回販売にあたり、
糸井重里とほぼ日スパイスチームは
「カレーの恩返し」を作っているスパイス工場を訪れました。

工場を訪れた目的は、2つ。
1つは、袋詰めの工程を見せていただくこと。
(スパイスを挽いている別の工場は
以前、見学させていただいたのですが、
こちらはまだだったのでした)
もう1つは、「カレーの恩返し」の商品化に際し
開発のリーダーを務めてくださった、
近藤さんにお会いすること。

こちらが商品開発チームのリーダー、近藤恭子さん。
明るくて気さくな方ですが、
スパイスの知識は相当に広く、深く、
社内では「スパイスの魔女(?)」と呼ばれることもあるとか。
また、その舌には社内でも相当な信頼があるそうです。

この日は、開発チームのみなさんが作ってくださった
スパイスやハーブたっぷりの料理をいただきながら、
近藤さんとみんなで、
いろんなスパイスの話をさせていただきました。

糸井・
ほぼ日
おいしいです。おいしい。
‥‥おいしーい!
近藤 あぁ、よかったです。
今日は、カレーとはまた違う
スパイスの使い方をたのしんでいただけたらと、
トルコ料理を作りました。
トルコもスパイスをたくさん使うんですよ。
ちなみに、スープには「カレーの恩返し」を使っています。
ほぼ日 あ、そうなんですか。
近藤 はい。香味野菜と煮たレンズ豆のポタージュを、
塩だけで味つけして、
「カレーの恩返し」とバターで風味づけしました。
糸井 スープも、ほかのどの料理も、本当においしいです。
なんだかお茶屋さんにきて、新鮮なお茶を
いただいている気分に近いです。
フレッシュなスパイスをたっぷり使った料理の
おいしさというのは、すごいものですね。
近藤 はい、スパイスも鮮度がとても大切で、
新鮮なものほど味がいいんです。
スパイスって、ずっと使えるような
イメージを持たれることも多いんですけど、
いちど封を開けたら、やっぱり
早く使っていただいたほうが、確実においしいです。
ほぼ日 ‥‥繰り返しになりますが、本当においしいです。
近藤 スパイスって、香りを出すだけでなく、
「味を引き締めておいしくする」というのもあるんですね。
ちょっとした苦みが、料理の味をよくする。
味を複雑にもしますしね。
砂糖や塩だけでは味が広がってしまうときに、
スパイスを使うことで、味がしまる。
そんな「隠し味」としての効果もあるんです。
ほぼ日 では、「カレーの恩返し」も?
近藤 はい、カレーに入れたとき、「香り」とともに、
その「味わい」のほうにも影響して、
両方から、おいしさを引き出しているはずですよ。
ほぼ日 そうやって説明していただけると
なんだか、とてもうれしいです。
近藤 実は今回、このお話をいただいて、
わたしたち自身も、とってもうれしかったんです。
正直、あの量をああやって使うというのは、
じつは、まったく考えたことのなかった使い方で(笑)。
糸井 けっこう変わった使い方だろうな、というのは
うすうす思ってはいたんですが(笑)。
近藤 はい、そのとおりです。
でも、それも含めてうれしかったんです。
わたしたちスパイス屋って、ついつい、
これまでと同じ使い方ばかり、しがちなものですから。
だから、とっても新鮮でおもしろかったです。
糸井 きっと、量も普通の使い方より
かなり多めですよね。
近藤 日本の一般的な感覚から言えば、確実に(笑)。
でも、わたしも自分でカレーを作るときに
気づくとコリアンダーを大さじ3杯とか、
1瓶分とか、大量に使っていることがあるんです。
だから、その感覚からいけば、ぜんぜん問題ないんです。
スパイスって、実はそういう使い方もできる。
ただ、けっこうな量を使うし、個人的にたのしむだけで、
ほかの方にすすめるという発想は、
まったく思いもしなかったんですけど。
一同 (笑)
近藤 でも「カレーの恩返し」の場合は、
そういう使い方を積極的におすすめしていて、
さらに、ちゃんと大勢のみなさんに
「おいしい」と喜んでもらえるものになっている。
だから、すごくありがたいな、と思いました。
ほぼ日 スパイスの使い方、というのは
ある程度「この料理にはこう」というのが
決まっているものなのでしょうか。
近藤 もちろん、ある程度はありますね。
ただ、基本的にスパイスって、いろんな人が
ほんとうにいろんな使い方をしているものですから、
「こうじゃなきゃいけない」といったことは
あんまりないんです。
ただ、かなり昔に出た本に、
20種類くらいカレーがのっている本があるんですが、
いろんな本などは、その同じ元資料から引用したのを
受け継いでいるような感じはありますね。
糸井 ああ、そういうことなんですね。
ああいう本のスパイスって
全体にターメリックがどれも多いな、と思っていたのですが、
それは、みんな参考にしている本が同じだから、
ということですか。
近藤 たぶん、そうなんだと思います。
ターメリック、火を入れないと土くささが残りますし、
実際、少なく使ってもいいんですけど。
‥‥あと、わたしが「カレーの恩返し」で
特にすごいな、と思ったのはピンクペッパーです。
なんだか、すごく女性的なイメージで
さいしょ、配合だけ見たときには
男の人が作ったスパイスとは思えなかったんですね。
一同 (笑)
近藤 だけど、使い方を見て、
「あ、この人、男の人だ」と思ったんですけど(笑)。
この使い方、すごく新鮮でした。
糸井 「カレーの恩返し」のピンクペッパーって
かわいさのために入っているように
思う人もいるかもしれないですが、違いますしね。
近藤 ぜんぜん、違いますよ。
ないと、食べたときの印象が全くちがいますから。
使い方としても、すごくおもしろいし。
あれは、どういったところから思いついたんでしょう?
糸井 もともとぼくは、エスニック料理に入っている
ピンクペッパーが好きなんです。
その延長で「塩ちゃんこ」に
ピンクペッパーとコリアンダーを入れて食べるのも
好きなんですね。
それで、その「塩ちゃんこ」に入れたときの
エスニック感をイメージしてカレーに入れてみたら、
印象ががらっと変わるので、おもしろくて。
そこから、自分のカレーに入れるようになったんです。
近藤 あと、ほかのいろいろなスパイスもそれぞれ、
すごく効いてますよね。カルダモンとか。
糸井 カルダモン、ぼく、好きなんです。
近藤 あ、わたしもカルダモン、大好きです。
カルダモンは、頭の血流をよくするから、
一時期「頭をよくするスパイス」として
有名になったことがありますね。受験勉強にいい、とか。
糸井 あ、ほんとに?
じゃあ、たっぷり入っているから、
いいですね(笑)。
近藤 どこまで効果があるのかはわかりませんけど、
わたしも毎日カルダモンのお水を飲んでいます。
それじたい、すごくおいしいんですね。
カップにお湯をそそいで、カルダモンをポンと入れておくと、
種のまわりの成分が溶け出して、カルダモンのお水ができるんです。
わたしはそれにときどきお湯をさしながら、1日中飲んでます。
あと、カルダモンは消化も助けますし、
昔の紳士たちが背広のポケットに
カルダモンを2、3粒ひそませておいて
朝、酔い覚ましに飲んでいた、という話もありますね。
糸井 そうなんですか。
やっぱりスパイスって、いろいろ効能がありますね。
近藤 ええ、それぞれに、ありますね。
マスコット
フーズの方
最近わりとよく聞く話では、
「カレーを食べると幸せになる」というものがありますね。
カレーを食べると、スパイスによって腸が刺激されて、
幸せホルモンが出るんだそうです。
糸井 あ、幸福感が増す。
じゃあ、機嫌が悪いときに食べるといいのかな。
マスコット
フーズの方
たぶん、そうなんだと思います。
それも、スパイスたっぷりのカレーが良いらしいです。
ほぼ日 たしかに、カレーを食べると元気になります。
近藤 ただ、カレーを食べて「幸せ」になるかというと、
インドの人たちのことを思うと‥‥どうなんでしょう。
糸井 あ、道でよく怒ってる人がいるから(笑)。
一同 (笑)
ほぼ日 今日はスープに使ってくださっていますが、
近藤さんとしては「カレーの恩返し」って、
そのほか、どんなお料理に合うと思いますか?
近藤 そうですね、すごく簡単なもので言うと、
塩と合わせてふりかけのように使う、というのが
どの方でもすぐつかいやすいかな、と思います。
ピラフなどに、ぱらぱらっとかけてもおいしいと思いますよ。
ほぼ日 あ、かんたんで、おいしそうです。
近藤 「カレーの恩返し」じたいには塩味が入っていないので、
塩気を適度にプラスして‥‥と考えていくと、
いろんな料理に応用しやすいと思います。

そして、おいしい料理をおなかいっぱいいただいた後、
工場のほうに移動して、
「カレーの恩返し」の袋詰めの工程を
見学させてもらいました。
さまざまな方が関わった、最後の工程で、
次々と「カレーの恩返し」が完成していく様子には
なんだか、感慨深いものがありました。

こちらは、ピンクペッパーを入れているところ。
どの袋にも正確に同じ量のピンクペッパーが入るように、
最後の袋詰めは手作業でおこなっています。
(手間はかかりますが、とてもだいじなポイントです)

たくさんのご家庭で、活躍してくれますように‥‥。

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(C) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN