(ブイヨンの歓迎をうけた大橋さん。
 ひとしきりボール遊びをしたあと、対談がはじまりました。)





糸井 とうとうブイヨンに会いましたね。
大橋 よかった。かわいいですねえ。
ブイヨンのあみぐるみは、ないのね。
糸井 じつは、あるんです。僕の家に。


(気まぐれカメら 11/10 13:05)
大橋 そうでしたね、
ありました、ありました!
糸井 あれも、タカモリ・トモコさんの作品です。
みんなが誕生日にプレゼントしてくれて、
とても嬉しかったんですよ。
大橋 きょうはわたしも、
タカモリさんの作品を持ってきました。
(と、黒いテディ・ベアを
 包みから、そっととりだす)
なんか、あまりにホコリかぶって、
日にも焼けてるから、
ちょっと恥ずかしいの。

糸井 いえいえ‥‥。
(受け取って)ああ!
(じっと見ながら)



‥‥若さのある作品、という感じがしますね。
でも今とつながっていますね。
僕らがタカモリさんの作品について
何かお手伝いできないかなと思っているときに、
大橋さんが昔のタカモリさんの
作品を持っていると聞き、
もう、運命を感じました。
本当に嬉しかったんです。
これはいつごろのものですか。
大橋 15年ほど前のものだと思います。
糸井 そんなに前になりますか。
きっと当時は
タカモリさんのことを
知らなかったでしょうけれど、
この子をお店で見たら、
なにか、思わせるものが
あったのでしょうね。
大橋 最初はチェックの赤と白のリボンが巻いてあって、
それにこのプレートが付いてたんですね。
あとでリボンは、
茶色に取り換えてしまいましたけれど。

糸井 プレートに
15番という数字が
刻印されていますね。
15番目につくった
テディ・ベアだったんでしょうか。
大橋 もう今は付いてないんですか。
ほぼ日 ええ。
今は同じものを多数つくることがないので
そういうナンバリングは特にしてないようです。
タカモリさんは、
最初はわかりやすいものをということで
いわゆるテディ・ベアを編んで
お店に並べたということです。
その当時のテディ・ベアに、
番号が付いていたようですよ。
糸井 この子は、お店のウィンドウに
いたんですか。
大橋 代官山にカドリーブラウンという
テディ・ベア屋さんがあったんです。
ある日、お昼ご飯を食べに行った帰りに、
ちょっと覗いていこうねって覗いたら、
この子がいたんです。
糸井 そうでしたか。
大橋 そう言えばダルマー
(大橋さん夫妻と暮らしている
 黒いラブラドール・レトリバー)が
12年前にうちにやってきたとき、
もうこの子がいたんです。
この子のとなりに、
コム デ ギャルソンの黒い革の
テディ・ベアがいて。
そしてもうひとつお人形があって、
並べて3つ置いてあったんですね。
そうしたらうちの犬が小さいときに
順番に噛んじゃったんですよ。
お人形はボロボロになって、
コム デ ギャルソンの革のくまは
歯形がいっぱいついて、
でもこの人だけ無事だったんです。
何もされずに。
糸井 すでに、物語がありますね。
大橋 長生きです。
しょっちゅうかわいがっているわけじゃなくて
かごの中に入っているんですけど。
糸井 離れにくい何かがありますよね。
大量生産でヒョイと置いてあるものと違って、
手放しにくい何かがありますよね。
何でしょうね。何かあるんですよね。
大橋 そうですね。不思議ですよね。
糸井 いわば目が合っちゃった
みたいなことでしょうね。
大橋 買ったときには、そうなんですが、
そのあと、ひとり預かってしまったっていうか、
命があるわけじゃないですけども、
いきもののかたちをしていると
やっぱりその分責任があるような気になって、
「うーん、増やしちゃったな」って思うんです。
「大丈夫かな、ちゃんと大事にしていけるかな」
みたいな。
でもずっとそのまま、
うちに長いこといることになりましたけれど。

糸井 いきものみたいな感じですね。
大橋 ええ。
いきもののかたちをしているものっていうのは、
出会いもあるけれど、
預かったという気持ちがありますよね。
糸井 そうですね。
作り手にしてみれば、
養子に出すみたいな気分でしょうね。
大橋 そうでしょうね。
お作りになった方は本当にそうだと思う。



(次回に、つづきます!)

2008-03-25-TUE



(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN